俺はその日、道端で奇妙な人形を見つけた。
「なんだこれ?」
それは赤い目をしたイタチの人形だった。
「いらないや」
(ポイッ)
「ヨクモ、ステタナ…」
「えっ?」
一瞬声が聞こえたような気がしたが、気のせいだろう。練習に疲れていた俺は急いで家に向かった。
深夜。俺は寝苦しさに目を覚ました。
すると枕元にあの人形があるではないか!
「ヨクモ…ヨクモ…」
ただのガラスだった目はまるで生きているかのようにらんらんと輝き、裂けんばかりに開いた口からは掠れた恐ろしい声が滲み出ている。
恐怖で身動き一つ出来ない俺に、人形から立ち上る黒い霧が襲い掛かった!
「そこまででござる!」
そこへ突如、現れたのは寺生まれで霊感の強いOくんだった。
「物の怪の類いか…後ろに下がってるでござる!」
そう言うとOくんは片手を前に突きだし印を結び始めた。
「オンバサラバラバラソワカ…キェ破ぁー!!」
Oくんの手から放たれた青白い光弾が黒い霧をかき消すと、人形のあったはずの場所にイタチコスの瑠璃花がいた。
「なによ!あなたのためにこんなかっこうしてる訳じゃないんですからね!!」
寺生まれってスゴイ。俺は改めてそう思った。

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