細胞生物学
■研究手法の成長
細胞生物学は、文字通り細胞を観察・解析することを主眼としています。特に、最近自由にタンパクを操作できる
様になってきて「細胞の中の特定のタンパク質の動き」を
解析する研究が顕著になってきました。
それを紹介します。
■タンパク質を追う
細胞を観察する時、細胞の状態が2種類あることを知っておかなくてはなりません。
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特徴
�＼犬�た細胞
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昔は、死んだ細胞しか観察できませんでした。
何故なら、死んだ細胞に対しては「抗体」を使って
タンパク質を光らせて解析していました、そこで
抗体を使う時に、細胞を"固定"しなければならないのですが
固定溶液で細胞が死んでしまっていたからです。
参考：抗体とは
近年になって流行出したのが、
「蛍光タンパクを結合させる」という手法です。
これは生きた細胞でも観察できるので
より実際の体内に近い状況を観察できる！
ということで爆発的に広まりました。
蛍光タンパクは「●FP」という名前で呼ばれます。
主に用いられているのはGFP（Green Fluorescent Protein）や
YFP（Yellow Fluorescent Protein）などです。
GFPはクラゲの一種から抽出されたものです。
どういう風に用いるかと言うと、
目的のタンパク質をコードしている遺伝子の後ろに
蛍光タンパクを結合させて、細胞内で発現させます。
（図）
すると、細胞の中を顕微鏡で見たとき、
タンパク質が存在しているところが光ります。
これでタンパク質がどこにいるかわかるのです。
■タンパク質の「相互作用」を解析する
2000年前後から流行り出したのが「相互作用」という概念です。
相互作用を解析する手法としては
Two-Hybrid法や免疫沈降法等がありますが、
細胞生物学においてはGFP・YFPがよく用いられます。
原理としては、A・Bというタンパクがあって
その相互作用を証明したいという場合、
AにGFPを付け、BにYFPを付けて細胞内に導入します。
そして、AとBが同じところで発色していれば
「局在が同じ→相互作用しているのではないか」と
言えるわけです。
しかしこれでは単に挙動が同じことを示しているだけで、
互いに何か作用しているかどうかまではわかりません。
そこで用いられているのが
「FRET（フレット：Fluorescence Resonance Energy Transfer）」
という手法です。
噛み砕いて言うと、
GFPをつけたタンパクは緑色に光り、
YFPをつけたタンパクは黄色に光りますが、
AとBの二つが相互作用していた場合、
蛍光エネルギーが互いに影響して、蛍光色が変わるので
それで「相互作用」しているかどうかを判定するという手法です。
FRETで問題になっているのは、
試験管内で実験したら(in vitro)成功したが（色が変わった）が、
細胞の中で実験したら(in vivo)色が変わらなかった、という事例です。
これは、細胞内に、AやBと相互作用する第三のタンパクの存在を
示唆しています。
タンパクの「動き」を詳しく解析するのに
「FRAP（フラップ：Fluorescence Recovery After Photobleaching）」があります。
これは蛍光タンパク質を結合した対象タンパク質を細胞に入れ
発現させた後、その一部に強いレーザーを当てて、蛍光タンパクを
「Quench (クエンチ：退色)」させることで、レーザーを当てた部分が
「黒く」なります。その部分を追っていけば、対象タンパクの
動きが分析できる、という原理です。
2006年10月04日(水) 13:36:35 Modified by psyberformula