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基本ラテン文字A a】を取り上げます。
文字名称エー, エイ / AY
大文字(半)A、(全)A
小文字(半)a、(全)a
ラテン語名アー / A
IPANo.304 非円唇前舌広母音/第4基本母音
NATO式呼称アルファ / ALFA
異称エース / ACE
セム系文字原義雄牛(の頭)
源流フェニキア文字アレフ, アルフ / ALEPH, ALF《𐤀》
源流ギリシャ文字アルファ / ALPHA《Α α》
源流古イタリア文字アー / A《𐌀》
ユニコード(半角)(大)U+0041、(小)U+0061
ユニコード(全角)(大)U+FF21、(小)U+FF41
文字参照(半角)(大)A、(小)a
文字参照(全角)(大)A、(小)a
画数(大)3画或いは2画、(小)《活字体a》2画;《ブロック体ɑ》2画
仮名転写ア[a / ɑ]、(英語の)ア/イャ[æ]、(英語の)エイ[eɪ]、(曖昧母音の)ア[ə]、(ポルトガル語の)ア[ɐ]、(ハンガリー語の)ア[ɒ]
ローマ数字数価(ドイツ)5000、(古代ローマ)50或いは500
16進数価10
モールス信号・-[トンツー]
点字DOTS-1《⠁》(U+2801)
母音調和後舌母音グループ
スモールキャップᴀ (U+1D00)
上付き文字ᴬ (U+1D2C)、ᵃ (U+1D43)
下付き文字ₐ (U+2090)
イタリックA a 《𝐴 𝑎》(U+1D434 , U+1D44E)
ドイツ文字アー / A《𝔄 𝔞》(U+1D504 , U+1D51E)
フレイザーア / A《ꓮ》(U+A4EE)
リガチャÆ[AE]、æ[ae]
異体字ALPHA《ɑ》(U+0251)、TURNED V《Ʌ》(U+0245)

解説

ラテン文字第1字母である《A a》は、源流であるギリシャ文字アルファ《Α α》やその派生であるキリル文字アー《А а》の大文字は同型であり、小文字はキリル文字と共通。
ちなみに小文字はカロリンガ体由来である。
そのためタイポグラフィでは字母を流用しやすいのが利点だが、日本語フォント明朝体ではキリル文字の同型大文字が微妙に異なることが多い。
音声学者や言語学者によっては、IPAの《ɑ》と混用しているものが多い。

数価

ローマ数字としてのAは、ドイツのみで「5000」を表していて、『独和大辞典』(小学館)などのドイツ語辞書にも記載されている。

発音

ほとんどの言語ではア(IPAの[a]或いは[ɑ])音であり、アルファベット順では第1字母に位置している。
英語の短音のアはAE[æ]音で、C[k]やG[ɡ]の後の場合、仮名文字転写ではキャ, ギャと表記される。
微妙に異なるア音では、ポルトガル語の[ɐ]音とハンガリー語の[ɒ]音がその代表で、IPAでも派生字で表記されている。
ウラル語族及びチュルク語派の母音調和では、《o》や《u》などと同じく後舌母音に属する。なお、スウェーデン語でもGやKの後に続く場合の硬母音という似たような分類が行われている(《å》含む)。

字形

小文字の変種として、フーツラやブロック体では筆記体由来の簡易な字形・アルファ《ɑ》(スクリプトAとも)が使われる。
異体字として、ラスティック体の字形としても使われていた変種で、ラムダ大文字《Λ》に似たターンドV?《Ʌ》が近年固有名詞などで使用される。

筆記体

筆記体大文字では、活字体に似た一般式と小文字の《ɑ》字をそのまま大文字サイズにしたアメリカ式(日本でも使用)とは大幅に異なっている。

点字

DOTS-1《⠁》が基本字形。世界各国の諸言語のラテン翻字は一部を除き、これに沿っている。
例外として、中国式はDOTS-35《⠔》で示される。

派生文字

  • チェロキー文字は字形のみを借用したGO《Ꭺ》と派生字のHI《Ꭿ》を使用。
  • ポラード文字を改良した規範ミャオ文字では、ラテン大文字《A》から字形のみを借用した字母ZTLが使われる。
  • ウォレアイ文字では、ラテン大文字《A》の先端を丸み帯びさせたものに変化させたUと、上下逆にしたYA《∀》、という2つの派生字を使用。
  • ラテン文字筆記体を改造したフォックス文字(フォックス語)とその後継のホチャック文字(ウィニベゴ語)では、小文字《a》が[a]音、大文字《A》が[h]音(フォックス文字では長音[aː])を示した改造字母となっている。
    • 他にホチャック文字では大文字《A》由来の字母(有声音を無声音化)を組み合わせたリガチャを生み出している (dA[ʃ], ttA[ʧ], KA[k], lA[p], rA[s], tA[t], xA[x])。

特殊用法

スモールキャピタル

フレイザー文字

  • リス語フレイザー文字では通常のラテン文字とほぼ同じく[a~ɑ]音を示すが、子音字はインド系文字と同じく /a/ 音を含めて発音するため、省略される。

配列が異なる言語

  • ソマリアのソマリ語ではアブジャド配列による並びが採用されていて、《A》は第23字母となっていて、Y の後に配置され E がその前となっている(ちなみに第1字母はアラビア文字アリフ《ﺍ》の転写が由来となっているアレフ ALEF と呼称されるアポストロフィ《'》となっている)。

備考

  • 旧ソ連のコーカサス諸語のラテン文字表記では、小文字がスモールキャピタルになっている。
  • 中国語フォントのピンイン部分では、字形がALPHA《ɑ》となっているものが多い。
  • IPAによる英語の音声表記やフェッフェッ語(アフリカ)のように《a》とブロック体の《ɑ》が別字となっているときの筆記体として、活字体の方の《a》はギリシャ文字のεとιのリガチャのような筆記体が使用される。この筆記体の区別は1840年代イギリスのアイザック・ピットマン卿らによる人工文字・フォノタイプから生まれた。
    • しかしIPAで《a》か《ɑ》のどちらか一方しか使用しない場合、活字体が《a》でも筆記体は一般筆記体の《ɑ》を使用することができる。

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記号説明

  • [ ]…IPA発音表記及びフリガナ/意味
  • 【 】…特殊文字見出し
  • 《 》…特殊文字
  • 〈 〉…連字
  • 『 』…作品名
  • 〓…ユニコード未登録の字母
  • †…廃字, 携帯電話絵文字の代替テキスト
    • ‡…特殊な字母, 代用表記, 異体字


【略称】
  • IPA…国際音声記号
  • キルシェン…キルシェンバウム音声記号
  • i.t.a.…イニシャル・ティーチング・アルファベット
  • 大…大文字/小…小文字
  • 半…半角形/全…全角形

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