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拡張ラテン文字辞典】カテゴリです。
基本ラテン文字C c】を取り上げます。
文字名称シー, スィー / CEE
大文字(半)C、(全)C
小文字(半)c、(全)c
ラテン語名ケー / CE
IPANo.107 無声硬口蓋破裂音
NATO式呼称チャーリー / CHARLIE
セム系文字原義ブーメラン; ラクダ
源流フェニキア文字ギメル, ガムル / GIMEL, GAML《𐤂》
源流ギリシャ文字ガンマ / GAMMA《Γ γ》
源流古イタリア文字ケー / KE《𐌂》
ユニコード(半角)(大)U+0043、(小)U+0063
ユニコード(全角)(大)U+FF23、(小)U+FF43
文字参照(半角)(大)C、(小)c
文字参照(全角)(大)C、(小)c
画数(大)1画、(小)1画
仮名転写ク[k]、ス[s]、チ[ʧ]、キュ/チュ[c]、ツ[ts]、ヂ/ジ[ʤ]、(有気音の)ツ[tsʰ]、不明(歯吸着音)[ǀ]、(ベルベル語の)シュ[ʃ]、(フィジー語の)ズ[ð]、(ソマリ語の)ウ[ʕ]
ローマ数字数価100《Ⅽ ⅽ》
16進数価12
モールス信号-・-・[ツートンツートン]
点字DOTS-14《⠉》(U+2809)
スモールキャップᴄ (U+1D04)
上付き文字ᶜ (U+1D9C)
下付き文字ユニコード未登録
イタリックC c 《𝐶 𝑐》(U+1D436 , U+1D450)
ドイツ文字ツェー / CE《ℭ 𝔠》(U+212D , U+1D520)
フレイザーチャ / CA《ꓚ》(U+A4DA)
異体字-

解説

ラテン文字第3字母で、キリル文字エス《С с》は字形は大小共に共通だが、シグマ《Σ》由来の別系統字母であるため[s]音。
由来はギリシャ文字ガンマ《Γ γ》が半円弧状になったエトルリア文字ケーである。
マレー語や日本語の字母名称では、発音には外来語以外関係がないにも関わらず英語寄りになっている。

数価

ローマ数字100としての由来は、ギリシャ文字シータ《Θ θ》が変化したものである。

発音

紀元前3世紀にスプリウス・カルウィリウス・ルーガによって《G》が作られるまで、ク[k]とグ[ɡ]、双方の音を表記していて、初期の頃の[k]音としては後ろの母音が eとi の場合のみで使用されていたが、《K》の代わりにaの後でも標準で使用されるようになり、の時が経つにつれ、地域変種の俗ラテン語では後ろの母音がAとOの場合のみ[k]になるようになった。
バチカン市国やイタリアでは、20世紀頃にイタリア式の発音に統一されたカトリック・ラテン語に統一されたため母音 eとi の前ではチ[ʧ]音になっている。
なお、母音 eとi の前でのC発音がドイツ語に合わせて大幅に変化したドイツ・ラテン語ではツ[ts]音に変わっている。
各言語の発音
発音が多彩な字母で、ラテン語がカ行[k]音のみだったが、のちに地域ごとの発音の変化の影響によって生まれた、eとi (言語によっては yとダイエレシス付き字母も含む) が後続で変化する音の系統は軟音のC Soft C と呼ばれ、ス[s]音系統(英語, フランス語など)、チ[ʧ]音系統(イタリア語など)、ツ[ts]音系統(ドイツ語。しかし、外来語表記では原則的に同音の《Z》に置き換えられる)などに分化している。従来の[k]音の系統は硬音のC Hard C と呼ばれ、
単独で本来のク[k]音のみ及びそれに近い発音形式は、アイルランド語、ウェールズ語などのケルト諸語やベトナム語(eとiの前には絶対に書かれない)などである。
単音字
1字1音になっている言語はスラブ諸語・ハンガリー語・バルト諸語・エスペラント語のツ[ts]音、1972年以降のマレー諸語のチ[ʧ]音、チュルク諸語のヂ[ʤ]音、中国語の有気音のツ[tsʰ]音。
ちなみに、1928年のトルコ語ラテン文字から発するチュルク諸語正書法では、セディラ抜きのCの発音は、フェニキア文字ギメルから派生したアラビア文字ジーム《ﺝ》からの発想であろう (ジームの派生字TCHEH《ﭺ》とセディラ付き《Ç》はチ[ʧ]音)だが、旧ソ連の汎チュルク文字ではその逆の発音(《C》が[ʧ]で《Ç》で[ʤ])になっているチュルク諸語のものやセディラ付きが放出音となるカフカズ諸語のものに分かれている。
特殊な発音
ズールー語などバンツー諸語・コイサン諸語の正書法では、[ǀ](旧IPAでは[ʇ])と表記される吸着音を示す。
ソマリ語やアファル語では有声咽頭摩擦音[ʕ] (アラビア語アイン《ﻉ》の音)を表す。
珍しい発音としては、ベルベル語のシュ[ʃ]音、フィジー語のズ[ð]音(英語の有声〈TH〉音)がある。
単独では特別な場合以外使用されない言語
外来語や固有名詞以外の場合、日本語ヘボン式ローマ字やスワヒリ語などにおける〈CH〉という連字のみや、マルタ語の上点付きの《Ċ》という特殊な綴りのみでしか使われない言語もある。
発音記号
IPAではハンガリー語の〈TY〉の音を表し、アイヌ語の音韻表記が近い。仮名文字表記ではハンガリー語の〈TY〉の場合は“チュ”、トルコ語などの《K》では“キュ”と書かれることが多い。1989年まで《tʃ》
アメリカ音声記号やスラヴ言語学の音声表記では、伝統的にツ[ts]の発音を表記している。
翻字法では、インド系文字翻字は伝統的に[ʧ]音を示す。

字形

筆記体
筆記体は大小共に活字体とあまり変わらないものが多いが、ジュッターリン体では大文字が《L》筆記体に似ている。

点字

DOTS-14《⠉》が基本字形。
ラテン翻字では、キリル文字《Ц》なら[ts]音を示しているクロアチア語ラテン文字表記である《C》といった風に、関連する発音を合わせている。

派生文字

  • ルーン文字KAUNA《ᚲ》は、碑文を彫りやすくするために形状が鋭くなっている。
  • チェロキー文字では字形のみを借用したTLI《Ꮯ》と、派生字TSA《Ꮳ》とTSV《Ꮸ》が存在する。
  • デセレット文字では小文字の字形を借用したと思われるCHEE《𐐕 𐐽》がある。

特殊用法

スモールキャピタル

  • スモールキャピタル【C】?を参照。

フレイザー文字

おそらく英語〈CH〉からの発想で《C》で[ʧ]音を示す。単独では[ʧa]という音節を示す。
逆さにした字母CHAは有気音を示す (オープン【O】参照)。

備考

  • IPAでは無声後部歯茎破擦音(英語charchの[チ]音)の公式表記がスラー付き連字 ([t͡ʃ]或いは[t͜ʃ]と表記されるが、フォントによってはスラーがずれるエラーがある) に統一される前は、本来のIPAでは無声硬口蓋破裂音を示すこの字母で代替できることが許容されていた。

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記号説明

  • [ ]…IPA発音表記及びフリガナ/意味
  • 【 】…特殊文字見出し
  • 《 》…特殊文字
  • 〈 〉…連字
  • 『 』…作品名
  • 〓…ユニコード未登録の字母
  • †…廃字, 携帯電話絵文字の代替テキスト
    • ‡…特殊な字母, 代用表記, 異体字


【略称】
  • IPA…国際音声記号
  • キルシェン…キルシェンバウム音声記号
  • i.t.a.…イニシャル・ティーチング・アルファベット
  • 大…大文字/小…小文字
  • 半…半角形/全…全角形

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