【人工文字・改良文字編】カテゴリです。
国際音声記号 (以下、IPA) 以外の音声記号をまとめます。
1880年代からフランス語の方言研究用に使用されている。
『音聲學』(岩波書店)によると《u》が[y]音を表し、IPAの[u]音に相当する字母は左上の部分にフック記号を付加しているものになっている。
独特の特殊文字が多く使用されている。
左下に4種類の曲線が母音字に付加されていたり、リング記号が字母と一体化している字母がある。
N3555から登録申請が行われている。
。
Om phonetiska bokstäfver (1856)で発表された、ラテン文字による音声記号。
大文字・小文字の別があり、筆記体も存在する。
ほとんどの字母はスウェーデン方言字母で採用された。
国際音声記号 (以下、IPA) 以外の音声記号をまとめます。
- IPAから派生した音声記号は【IPA派生の音声記号】、言語学者が独自に作成した音声記号については【拡張発音記号】へ。
- 視話法は【視話法】へ。
- 19世紀以前のものは【IPA以前の特殊音声記号】へ。
- 翻字・転写関連は【特殊翻字・転写用文字】へ。
- インド系文字関連は【インド系文字による音声記号】へ。
1880年代後半、アメリカ先住民の言語の発音研究のために考案された音声記号がベース。
IPAと発音や字形が異なる字母もある。
1947年のパイク式と一部字母を除いてIPAに近くなった現行式がある。
子音字にキャロンを付加(č[ʧ], ǯ[ʤ]等)するなどダイアクリティカルマークも多用される。
無声子音には大文字が使われる(ŋ→[Ŋ])。
IPAと発音や字形が異なる字母もある。
1947年のパイク式と一部字母を除いてIPAに近くなった現行式がある。
子音字にキャロンを付加(č[ʧ], ǯ[ʤ]等)するなどダイアクリティカルマークも多用される。
無声子音には大文字が使われる(ŋ→[Ŋ])。
アメリカ音声記号のルーツで、アメリカ先住民諸言語の音声を表記するために作成されたラテン文字ベースの音声記号。
感嘆符《!》を放出閉鎖音として取り入れたり、AやLのスモールキャピタル体を取り入れている。
感嘆符《!》を放出閉鎖音として取り入れたり、AやLのスモールキャピタル体を取り入れている。
エスキモー・アレウト諸言語の研究用に作成された音声記号。
アメリカ先住民語学の音声記号と同じく、スモールキャピタル体を多く採用している。
一部IPAと発音が異なる字母があり、かつてIPAで[ǀ]音を示したTURNED T《ʇ》で[c]音を示している。
なおスモールキャピタルのK(発音は[q])は、グリーンランド語旧正書法で KRA《Kʻ ĸ》として使用されていた。
アメリカ先住民語学の音声記号と同じく、スモールキャピタル体を多く採用している。
一部IPAと発音が異なる字母があり、かつてIPAで[ǀ]音を示したTURNED T《ʇ》で[c]音を示している。
なおスモールキャピタルのK(発音は[q])は、グリーンランド語旧正書法で KRA《Kʻ ĸ》として使用されていた。
- 使用者: J. ジリエロン, J. ルスロ
1880年代からフランス語の方言研究用に使用されている。
『音聲學』(岩波書店)によると《u》が[y]音を表し、IPAの[u]音に相当する字母は左上の部分にフック記号を付加しているものになっている。
『Les Languages du Monde』(1952, パリ; 日本語版『世界の言語』朝日新聞社)で使用された独自の音声記号。
アメリカ音声記号に近いが、独自のものが多い。
《đ》で[ð]音、《ǥ》で[ʁ]音を示すなど派生音に横棒を付加した音声字母が目立つ。
他にも《ẅ》[ɥ]などのダイアクリティカルマーク付き字母や《ʟ》などのスモールキャピタル字母が多い。
日本語訳版では、原著の ŧ[θ]が《þ》に変更されるなど、原著と異なる音声記号が多い。
アメリカ音声記号に近いが、独自のものが多い。
《đ》で[ð]音、《ǥ》で[ʁ]音を示すなど派生音に横棒を付加した音声字母が目立つ。
他にも《ẅ》[ɥ]などのダイアクリティカルマーク付き字母や《ʟ》などのスモールキャピタル字母が多い。
日本語訳版では、原著の ŧ[θ]が《þ》に変更されるなど、原著と異なる音声記号が多い。
http://fr.wikipedia.org/wiki/Transcription_des_rom...
フランス語のアルファベットをベースとしていて、ダイアクリティカルマークを多用している。
ギリシャ文字やスモールキャップも取り入れている。
- 作成者: エドワルド・ブルシエ Édouard Bourciez
フランス語のアルファベットをベースとしていて、ダイアクリティカルマークを多用している。
ギリシャ文字やスモールキャップも取り入れている。
- 作成者 - O. Bremer (作成年: 1893)
独特の特殊文字が多く使用されている。
左下に4種類の曲線が母音字に付加されていたり、リング記号が字母と一体化している字母がある。
N3555から登録申請が行われている。
。
http://www.archive.org/stream/deutschebhnena00sieb...
この発音記号がドイツ語発音の標準化のきっかけとなった。
子音字では、パレータルフック付きN《ᶇ》(IPAでは[ŋ]) に似た字母が採用されていたり、普通の《s》で無声音[s]、長いS《ſ》で有声音[z]をそれぞれ示す。
母音字はダイアクリティカルマークで発音を区別するのが中心で、他にシュワー?《ə》が含まれる。
- 作成者: Th・ジープス Theodor Siebs
この発音記号がドイツ語発音の標準化のきっかけとなった。
子音字では、パレータルフック付きN《ᶇ》(IPAでは[ŋ]) に似た字母が採用されていたり、普通の《s》で無声音[s]、長いS《ſ》で有声音[z]をそれぞれ示す。
母音字はダイアクリティカルマークで発音を区別するのが中心で、他にシュワー?《ə》が含まれる。
http://std.dkuug.dk/jtc1/sc2/wg2/docs/n3907.pdf
http://www.sprachatlas.phil.uni-erlangen.de/materi...
http://www.opus-bayern.de/uni-wuerzburg/volltexte/...
ドイツ語方言字母の一つで、主にオーストリアで使用されるドイツ語正書法ベースの音声記号。
1924年に雑誌『トイトニスタ Teuthonista』で発表された。
括弧囲みのダイアクリティカルマークがかなり多い。
IPAと同じ音声記号でも、IPAと発音が異なるものがある (例 : w[ɸ], ʃ[s])。
http://www.sprachatlas.phil.uni-erlangen.de/materi...
http://www.opus-bayern.de/uni-wuerzburg/volltexte/...
ドイツ語方言字母の一つで、主にオーストリアで使用されるドイツ語正書法ベースの音声記号。
1924年に雑誌『トイトニスタ Teuthonista』で発表された。
括弧囲みのダイアクリティカルマークがかなり多い。
IPAと同じ音声記号でも、IPAと発音が異なるものがある (例 : w[ɸ], ʃ[s])。
http://www.oeaw.ac.at/dinamlex/Teutho_IPA.html
チュートニスタの改良字母で、ドイツ語正書法ベース。
複雑な字母がほとんど排除されているが、チュートニスタから残ったレニスFなど、IPAにない字母も目立つ。
有声音は、字母の上または下に点を付加して示す。
チュートニスタの改良字母で、ドイツ語正書法ベース。
複雑な字母がほとんど排除されているが、チュートニスタから残ったレニスFなど、IPAにない字母も目立つ。
有声音は、字母の上または下に点を付加して示す。
http://std.dkuug.dk/JTC1/SC2/WG2/docs/n4081.pdf
20世紀の音声記号の一種で、緻密に表現されている音声記号。
拡張ラテン文字を豊富に採用している。
N4081で登録申請が行われている。
20世紀の音声記号の一種で、緻密に表現されている音声記号。
拡張ラテン文字を豊富に採用している。
N4081で登録申請が行われている。
- 作成者: C・J・スンデヴァル Carl J. Sundevall (発表年:1856)
Om phonetiska bokstäfver (1856)で発表された、ラテン文字による音声記号。
大文字・小文字の別があり、筆記体も存在する。
ほとんどの字母はスウェーデン方言字母で採用された。
http://www.sofi.se/servlet/GetDoc?meta_id=1344
http://books.google.com/books?id=Yjg8AAAAIAAJ&hl=j...
前述のスンデヴァル式音声記号から借用されたラテン文字から派生した字母が多数ある。
フリーフォント“Dialekt UNI”の私用領域に多数収録されていたが、リンク元のHPが閉鎖されたため入手困難となっている。
大文字も作られている*1が、判明している資料には筆記体のみ大文字が見られるだけで、あまり使用されない。
ユニコードでは現在のところ、ラテン拡張-Cにわずかな字母が追加されている。
http://books.google.com/books?id=Yjg8AAAAIAAJ&hl=j...
- 作成者: J・A・ルンデル J. A. Lundell
前述のスンデヴァル式音声記号から借用されたラテン文字から派生した字母が多数ある。
フリーフォント“Dialekt UNI”の私用領域に多数収録されていたが、リンク元のHPが閉鎖されたため入手困難となっている。
大文字も作られている*1が、判明している資料には筆記体のみ大文字が見られるだけで、あまり使用されない。
ユニコードでは現在のところ、ラテン拡張-Cにわずかな字母が追加されている。
http://runeberg.org/nfbo/0552.html
スウェーデン方言字母と同形。
“Dialekt UNI”フォントの私用領域に多数収録されている。
他に左に傾いている逆イタリック体もある。
スウェーデン方言字母と同形。
“Dialekt UNI”フォントの私用領域に多数収録されている。
他に左に傾いている逆イタリック体もある。
http://en.wikipedia.org/wiki/Uralic_Phonetic_Alpha...
http://std.dkuug.dk/jtc1/sc2/wg2/docs/n2419.pdf
http://www.archive.org/details/finnischugrische01h...
ウラル諸言語の研究に用いられる音声記号。基本字形はイタリック体。
20世紀初頭から使用されている。
フィンランド語のアルファベットが基本で、ラテン・ギリシャ・キリル文字の大文字のスモールキャピタルや字母を90度回転させたものなど特徴的な字母が多い。
ユニコードの“Phonetic Extension”(主にIPA以外の字母が中心となっている音声記号領域) に字母が多数採用された。
http://std.dkuug.dk/jtc1/sc2/wg2/docs/n2419.pdf
http://www.archive.org/details/finnischugrische01h...
ウラル諸言語の研究に用いられる音声記号。基本字形はイタリック体。
20世紀初頭から使用されている。
フィンランド語のアルファベットが基本で、ラテン・ギリシャ・キリル文字の大文字のスモールキャピタルや字母を90度回転させたものなど特徴的な字母が多い。
ユニコードの“Phonetic Extension”(主にIPA以外の字母が中心となっている音声記号領域) に字母が多数採用された。
http://zsigri.tripod.com/fontboard/linguist.html
http://www.hum.u-tokai.ac.jp/~sitosi/Pages/Japanes...
ウラル音声記号には非ユニコードの専用フリーフォントがあり、大文字も収録されている。
http://www.hum.u-tokai.ac.jp/~sitosi/Pages/Japanes...
ウラル音声記号には非ユニコードの専用フリーフォントがあり、大文字も収録されている。
カフカズ諸言語の音声表記用に使用される音声記号。
TITUS Cyberbit Basicの私用領域に多数収録されている。
グルジア文字によるコーカサス音声記号と対を成しているのが特徴。
渦潮状のLATERAL AFFRICATIONなど独自の記号が使用されている。
N1962で登録申請を行ったが、現在のところ未採用。
TITUS Cyberbit Basicの私用領域に多数収録されている。
グルジア文字によるコーカサス音声記号と対を成しているのが特徴。
渦潮状のLATERAL AFFRICATIONなど独自の記号が使用されている。
N1962で登録申請を行ったが、現在のところ未採用。
http://www.archive.org/details/avestanalphabeti00j...
ドイツ文字のhをラテン文字の字形に合わせたものや、ENG《Ŋ》の字形の一種をスモールキャピタル化したものが特徴。
- 作成者: エイブラハム・バレンタイン・ウィリアムズ (作成年: 1890)
ドイツ文字のhをラテン文字の字形に合わせたものや、ENG《Ŋ》の字形の一種をスモールキャピタル化したものが特徴。
- スクリプトA《ɑ》とシュワー《ə》のリガチャが母音表記に使用される。
- ユニコードに登録されている字形にあるのはソーン《þ》やストローク付きD《đ》, HV《ƕ》などがある。
http://www.afghanan.net/pashto/pashto/learn/phon.h...
パシュトー語のアラビア文字に対応したラテン文字。小文字のみ。
ダイアクリティカル付き字母が多いが、AIN表記用にハムザ《ﺀ》をラテン文字化した字母を加えたり、THAに対応する《ɵ》[s]とTHALに対応する《ɗ》[z]がある。
パシュトー語のアラビア文字に対応したラテン文字。小文字のみ。
ダイアクリティカル付き字母が多いが、AIN表記用にハムザ《ﺀ》をラテン文字化した字母を加えたり、THAに対応する《ɵ》[s]とTHALに対応する《ɗ》[z]がある。
- IPAから[ə]を借用している。
http://slovo.iphil.ru/virtlab/50/marr/
ギリシャ文字やキリル文字、さらにはアラビア文字を特殊文字として採用している。
ディセンダー記号やダイアクリティカルマークで派生字を作成。
- 作成者: ニコライ・ヤコヴレヴィチ・マール
ギリシャ文字やキリル文字、さらにはアラビア文字を特殊文字として採用している。
ディセンダー記号やダイアクリティカルマークで派生字を作成。
- アラビア文字からはAIN《ﻉ》の下部を変化させたものやHAMZA《ﺀ》を取り入れている。
http://venus.unive.it/canipa/it/home.shtml
菱形状の母音記号や多数の逆向き子音字、ギリシャ文字やキリル文字からの借用など、特殊音声記号の集大成と言っていいほど面白い字母が多数存在。
- 作成者: ルチアーノ・カネパーリ
菱形状の母音記号や多数の逆向き子音字、ギリシャ文字やキリル文字からの借用など、特殊音声記号の集大成と言っていいほど面白い字母が多数存在。
http://sites.google.com/site/naeddyr/dictionary
言語学や音声学での転写用に作成された音声記号。略称 : ILA。
IPAに似ているがかなり異なる字形が多い。
キリル文字《г》がIPAの[ɣ]に対応し、ギリシャ文字《Σ》のスモールキャピタルがIPAの[ç]に対応する。
言語学や音声学での転写用に作成された音声記号。略称 : ILA。
IPAに似ているがかなり異なる字形が多い。
キリル文字《г》がIPAの[ɣ]に対応し、ギリシャ文字《Σ》のスモールキャピタルがIPAの[ç]に対応する。
- 作成者: ヴィルヘルム・シュミット Wilhelm Schmidt (発表年: 1907)
キリル文字を使用した音声記号で、旧ソ連時代に使用されていた。
故・服部四郎氏の著書『音聲學』(1951年、岩波書店)にその図表が収録されている。
キリル文字の他にラテン文字やギリシャ文字から字母を追加したり、19世紀後半にカフカズ諸言語で使用されていたリガチャを取り入れている。
故・服部四郎氏の著書『音聲學』(1951年、岩波書店)にその図表が収録されている。
キリル文字の他にラテン文字やギリシャ文字から字母を追加したり、19世紀後半にカフカズ諸言語で使用されていたリガチャを取り入れている。
http://www.wikiznanie.ru/ru-wz/index.php/%D0%92%D0...
各種ロシア語辞書やロシアのウィキサイト『ヴィキズナーニエ Викизнание』で使用されているキリル文字による音声・音韻記号。
キリル文字に一部IPAの字母(《ʌ》など)を取り入れている。
軟音表記はアポストロフィを使用している (例: вь → вʼ[vʲ])。
発音変化を示すために上付き字母を使用したり(《иᵉ》など)、長子音を示すためにマクロン(《ж̄》など)を取り入れている。
各種ロシア語辞書やロシアのウィキサイト『ヴィキズナーニエ Викизнание』で使用されているキリル文字による音声・音韻記号。
キリル文字に一部IPAの字母(《ʌ》など)を取り入れている。
軟音表記はアポストロフィを使用している (例: вь → вʼ[vʲ])。
発音変化を示すために上付き字母を使用したり(《иᵉ》など)、長子音を示すためにマクロン(《ж̄》など)を取り入れている。
- 《ъ》と《ь》はそれぞれIPAの[ə]と[ɪ]の音を示す。
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