【拡張アラビア文字辞典】カテゴリです。
HAH系の派生字を使用する言語をまとめます。
・拡張アラビア【TEH】 | 拡張アラビア【DAL】
※上部に2種類の点が付いている場合、日本語表記では〈(上部)と(下部)〉、英語表記では〈(BELOW) AND (ABOVE)〉(一部例外有り)になっております。
【発音が異なる言語】
発音
・Ḥ[ħ]
発音が異なる字母
・ウルドゥー他インド系[h]、オスマン・トルコ[h]、ガウリー[ts]、カザフ[χ]、キルギス[x]、ジャウィ[h]、中国(小児経)[x]、ベラルーシ[x]、ペルシア他イラン系[h]、ボスニア[x, h]、モサラベ/モリスコ[ゼロ]
【未使用言語】
・ウイグル
【解説】
アラビア文字第5字母。
無声咽頭摩擦音のフ[ħ]音(このIPAは、アラビア語の方言の一つであるマルタ語で《Ħ ħ》として正書法に採用されている)を示す字母。
当初はジームやクハーと同一の字母だった。
アラビア語と発音が共通なのは、クルド語とカバルダ語(1923年までの旧正書法)である。
アラビア語特有の発音のため、その発音の無い言語では[h]音(インド・イラン系やオスマン・トルコ語、ジャウィ文字など)あるいは[x〜χ]音(カザフ語・キルギス語・中国語小児経・ベラルーシ語)に置き換えられる。
ほとんどのアラビア文字使用言語では外来語用として使用されるが、カザフ語とキルギス語ではクハー《ﺥ》の簡略形として使用されている。
フォントによっては語中形と語尾形の連結位置が異なる。
【別系統文字】
・音声記号では算用数字の《2》を逆さにした字母が、現行IPAの[ħ]を示す字母として使われ、20世紀中頃にIPAに採用しようとする提案もあった。
【発音が異なる言語】
・モサラベ/モリスコ[ʧ]
【未使用言語】
・カザフ、キルギス、ベラルーシ、ボスニア
【解説】
アラビア文字第6字母。
当初はジームやHAHと同一の字母だったが、発音の区別のため、上1点のヌクタを付加した。
無声軟口蓋摩擦音[x]あるいは無声口蓋垂摩擦音[χ]を示し、仮名翻字は共に《フ》(ひらがなの《ふ》で表記される場合もある)。
ほとんどのアラビア文字使用言語も発音はほぼ共通である。
インド系言語では外来語用として使用される。
カザフ語とキルギス語では、[x]音を点無しの《ﺡ》で表記するため、使用されない。
【使用言語・文字】
・オルムーリー[dz]、パシュトー[dz]、パシュトー(パキスタン)[z]
【解説】
パシュトー語のヅ[dz]音は、当初[ts]音を示す上3点付きHAH《څ》と共用していたが、HAHの上にある上3点ヌクタをハムザに変えて区別してできた。
しかし、パキスタンのパシュトー語では使用されない場合がある。
【使用言語・文字】
・†パシュトー[dz]
【解説】
かつてパシュトー語で使用されていた字母で、『ФЭБ』のАрабский языкによると、ヅ[dz]音を表していた。
【使用言語・文字】
・オルムーリー[ts]、ガウリー[ʈʂ]、コンカニ[ts]、ダルグヮ[q]、チェチェン[ʧʼ]、パシュトー[ts]、パシュトー(パキスタン)[s, z]、ブルシャスキー、ホラズム[ts]、ラック、レズギ
【解説】
ホラズム語 Khwarezmian language でツ[ts]音を表記するために、HAHの土台の上部に上3点ヌクタ《∴》を加えたもの。発音が近いペルシア文字チェー《ﭺ》と対照的になっている。
のちにパシュトー語がアラビア文字を取り入れたときも採用した。
【使用言語・文字】
・カバルダ[x]、ザルマ[ŋ]、ソンガイ[ŋ]、フルフルデ[ŋ]
【解説】
フルフルデ語などアフリカ諸言語で、NG[ŋ]音を示す字母を表すため、HAHの上部に上2点ヌクタ《¨》を付加したもの。
カバルダ語 Kabardian language 旧正書法では、似た発音のクハー《ﺥ》[χ]と区別するために採用されている。
【使用言語・文字】
・ザルマ[c]
【解説】
ザルマ語 Zarma Language ではキュ[c]音を示すためにHAHの下部に上3点ヌクタ《∴》を加えたもの。
位置的にはJEEM部だが、HAH部に属する。
【使用言語・文字】
・コワール[ɖʐ]
【解説】
コワール語 Khowar language のそり舌音ヂ[ɖʐ]を示すため、HAH土台にそり舌音を示す下付きの(強勢子音の)TAH小文字《ﻁ》を付加したもの。
【使用言語・文字】
・コワール[ʈʂ]
【解説】
コワール語のそり舌音チ[ʈʂ]を示すため、HAH土台にそり舌音を示す下付きのTAH小文字《ﻁ》の下に2点ヌクタ《‥》を付加したもの。
おそらく下付き小文字TAHの下の2点ヌクタは、有声そり舌音の無声化を示すのだろう。
【使用言語・文字】
・トルワーリー[ɖʐ]
トルワーリー語 Torwari language のそり舌音ヂ[ɖʐ]を示すため、HAH土台にそり舌音を示す上付きのTAH小文字《ﻁ》を付加したもの。
HAH系の派生字を使用する言語をまとめます。
・拡張アラビア【TEH】 | 拡張アラビア【DAL】
※上部に2種類の点が付いている場合、日本語表記では〈(上部)と(下部)〉、英語表記では〈(BELOW) AND (ABOVE)〉(一部例外有り)になっております。
基本発音 | (無声咽頭摩擦音の)フ[ħ] |
数価 | 8 |
属性 | 月文字 |
ユニコード | U+062D |
数値参照 | ح |
表示形(独立形) | U+FEA1 |
数値参照(独立形) | ﺡ |
表示形(語頭形) | U+FEA3 |
数値参照(語頭形) | ﺣ |
表示形(語中形) | U+FEA4 |
数値参照(語中形) | ﺤ |
表示形(語尾形) | U+FEA2 |
数値参照(語尾形) | ﺢ |
発音
・Ḥ[ħ]
発音が異なる字母
・ウルドゥー他インド系[h]、オスマン・トルコ[h]、ガウリー[ts]、カザフ[χ]、キルギス[x]、ジャウィ[h]、中国(小児経)[x]、ベラルーシ[x]、ペルシア他イラン系[h]、ボスニア[x, h]、モサラベ/モリスコ[ゼロ]
【未使用言語】
・ウイグル
【解説】
アラビア文字第5字母。
無声咽頭摩擦音のフ[ħ]音(このIPAは、アラビア語の方言の一つであるマルタ語で《Ħ ħ》として正書法に採用されている)を示す字母。
当初はジームやクハーと同一の字母だった。
アラビア語と発音が共通なのは、クルド語とカバルダ語(1923年までの旧正書法)である。
アラビア語特有の発音のため、その発音の無い言語では[h]音(インド・イラン系やオスマン・トルコ語、ジャウィ文字など)あるいは[x〜χ]音(カザフ語・キルギス語・中国語小児経・ベラルーシ語)に置き換えられる。
ほとんどのアラビア文字使用言語では外来語用として使用されるが、カザフ語とキルギス語ではクハー《ﺥ》の簡略形として使用されている。
フォントによっては語中形と語尾形の連結位置が異なる。
【別系統文字】
・音声記号では算用数字の《2》を逆さにした字母が、現行IPAの[ħ]を示す字母として使われ、20世紀中頃にIPAに採用しようとする提案もあった。
基本発音 | フ[x, χ] |
数価 | 600 |
属性 | 月文字 |
ユニコード | U+062E |
数値参照 | خ |
表示形(独立形) | U+FEA5 |
数値参照(独立形) | ﺥ |
表示形(語頭形) | U+FEA7 |
数値参照(語頭形) | ﺧ |
表示形(語中形) | U+FEA8 |
数値参照(語中形) | ﺨ |
表示形(語尾形) | U+FEA6 |
数値参照(語尾形) | ﺦ |
・モサラベ/モリスコ[ʧ]
【未使用言語】
・カザフ、キルギス、ベラルーシ、ボスニア
【解説】
アラビア文字第6字母。
当初はジームやHAHと同一の字母だったが、発音の区別のため、上1点のヌクタを付加した。
無声軟口蓋摩擦音[x]あるいは無声口蓋垂摩擦音[χ]を示し、仮名翻字は共に《フ》(ひらがなの《ふ》で表記される場合もある)。
ほとんどのアラビア文字使用言語も発音はほぼ共通である。
インド系言語では外来語用として使用される。
カザフ語とキルギス語では、[x]音を点無しの《ﺡ》で表記するため、使用されない。
ユニコード | 0681 |
数値参照 | ځ |
・オルムーリー[dz]、パシュトー[dz]、パシュトー(パキスタン)[z]
【解説】
パシュトー語のヅ[dz]音は、当初[ts]音を示す上3点付きHAH《څ》と共用していたが、HAHの上にある上3点ヌクタをハムザに変えて区別してできた。
しかし、パキスタンのパシュトー語では使用されない場合がある。
ユニコード | 0682 |
数値参照 | ځ |
・†パシュトー[dz]
【解説】
かつてパシュトー語で使用されていた字母で、『ФЭБ』のАрабский языкによると、ヅ[dz]音を表していた。
ユニコード | 0685 |
数値参照 | ځ |
・オルムーリー[ts]、ガウリー[ʈʂ]、コンカニ[ts]、ダルグヮ[q]、チェチェン[ʧʼ]、パシュトー[ts]、パシュトー(パキスタン)[s, z]、ブルシャスキー、ホラズム[ts]、ラック、レズギ
【解説】
ホラズム語 Khwarezmian language でツ[ts]音を表記するために、HAHの土台の上部に上3点ヌクタ《∴》を加えたもの。発音が近いペルシア文字チェー《ﭺ》と対照的になっている。
のちにパシュトー語がアラビア文字を取り入れたときも採用した。
ユニコード | 0757 |
数値参照 | ݗ |
・カバルダ[x]、ザルマ[ŋ]、ソンガイ[ŋ]、フルフルデ[ŋ]
【解説】
フルフルデ語などアフリカ諸言語で、NG[ŋ]音を示す字母を表すため、HAHの上部に上2点ヌクタ《¨》を付加したもの。
カバルダ語 Kabardian language 旧正書法では、似た発音のクハー《ﺥ》[χ]と区別するために採用されている。
ユニコード | 0758 |
数値参照 | ݘ |
・ザルマ[c]
【解説】
ザルマ語 Zarma Language ではキュ[c]音を示すためにHAHの下部に上3点ヌクタ《∴》を加えたもの。
位置的にはJEEM部だが、HAH部に属する。
ユニコード | 076E |
数値参照 | ݮ |
・コワール[ɖʐ]
【解説】
コワール語 Khowar language のそり舌音ヂ[ɖʐ]を示すため、HAH土台にそり舌音を示す下付きの(強勢子音の)TAH小文字《ﻁ》を付加したもの。
ユニコード | 076F |
数値参照 | ݯ |
・コワール[ʈʂ]
【解説】
コワール語のそり舌音チ[ʈʂ]を示すため、HAH土台にそり舌音を示す下付きのTAH小文字《ﻁ》の下に2点ヌクタ《‥》を付加したもの。
おそらく下付き小文字TAHの下の2点ヌクタは、有声そり舌音の無声化を示すのだろう。
ユニコード | 0772 |
数値参照 | ݲ |
・トルワーリー[ɖʐ]
トルワーリー語 Torwari language のそり舌音ヂ[ɖʐ]を示すため、HAH土台にそり舌音を示す上付きのTAH小文字《ﻁ》を付加したもの。
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