世界の特殊文字ウィキ - 【オゴネク/フック】
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ベトナム語の声調記号【フックアバブ】、ポーランド語などで鼻音用に使われる【オゴネク】およびそれの変形によるものをまとめます。


オゴネク - OGONEK / POLISH-HOOK

A【Ą ą】

使用言語・文字
・アヴェスタ転写[ã]、アパッチ[ã]、エルフダリア[ã]、グウィッチン[ã]、クリーク[ã]、チリカーワ[ã]、テワ、トゥチョネ[ã]、ドグリブ[ã]、ナバホ[ã]、ナンビクワラ、ハーン[ã]、ポーランド[ɔ̃]、ホチャック[ã]、メスカレロ[ã]、リトアニア[aː]
備考
・アメリカの各先住民諸言語では〈ĄĄ〉の表記で長音を示す。

D【D̨ d̨】

使用言語・文字
・ゲバ・カレン
備考
・ユニコード未登録。
・ゲバ・カレン語ではモン=ビルマ文字正書法が制定される前のラテン文字表記で使用されていた。

E【Ę ę】

使用言語・文字
・アパッチ[ẽ]、†アイスランド、†アイルランド[ae]、エルフダリア[ẽ]、オノンダガ[ẽ]、カユーガ[ẽ]、キリル翻字[ɛ˜]、グウィッチン[ẽ]、クリーク[ĩ]、古英語学[ɛ]、古代教会スラブ転写[ɛ˜]、中世ヨーロッパ略字[ae]、チリカーワ[ɛ˜]、低ザクセン[eː, ɛː]、テワ、トゥチョネ、ドグリブ[ẽ]、ナバホ[ẽ]、ナンビクワラ、ハーン[ẽ]、†フランス、ポーランド[ɛ˜]、マーシャル[ɪ]、メスカレロ[ɛ˜]、リトアニア[ɛː, æː]
・異体字
アイルランド語ゲール文字では、ひらがなのN《ん》ににた形状のものになっている。

I【Į į】

使用言語・文字
・アパッチ[ĩ]、エルフダリア[ĩ]、グウィッチン[ĩ]、クリーク[ĩ]、†ショール、チリカーワ[ĩ]、テワ、トゥチョネ、ドグリブ[ĩ]、ナバホ[ĩ]、ナンビクワラ、ハーン[ĩ]、ホチャック[ĩ]、メスカレロ[ĩ]、リトアニア[iː]

O【Ǫ ǫ】

使用言語・文字
・†アイスランド、アパッチ[õ]、オノンダガ[ũ]、カユーガ[ɔ˜]、キリル翻字[ɔ˜]、グウィッチン[õ]、クリーク[õ]、古英語学[ɔ]、古代教会スラブ転写[ɔ˜]、古ノルド[ɔ]、テワ、ドグリブ[õ]、ナバホ[õ]、ナンビクワラ、ハーン(ナ・デネ)[õ]、ラオ転写(ALA-LC)[ɔ]

U【Ų ų】

使用言語・文字
・アパッチ[ũ]、エルフダリア[ũ]、†オセット、グウィッチン[ũ]、クリーク[õ]、チリカーワ[õ]、テワ、トゥチョネ[ũ]、ナンビクワラ、ハーン[ũ]、ホチャック[ũ]、メスカレロ[õ]、リトアニア[uː]

W【W̨ w̨】

使用言語・文字
・ショショニ[w̃]
備考
・ユニコード未登録。

Y【Y̨ y̨】

使用言語・文字
・エルフダリア[ỹ]、トゥチョネ
備考
・ユニコード未登録。小文字はパソコンのフォントでは表現しづらい。

AE【Æ̨ æ̨】

使用言語・文字
・チチメック[æ̃]
備考
・ユニコード未登録。


キリル文字オゴネク

К【К̨ к̨】

使用言語・文字
・タジク[q]
備考
・ディセンダー付きKA《Қ》の異体字。

Н【Н̨ н̨】

使用言語・文字
・コリーリック、†ヤクート[ŋ]

Х【Х̨ х̨】

使用言語・文字
・タジク[h]
備考
・ディセンダー付きHA《Ҳ》の異体字。

Ч【Ч̨ ч̨】

使用言語・文字
・ハカス[ʤ]
備考
・《Ӌ》の異体字。

アブハズ語CHE【Ҿ ҿ】

使用言語・文字
・アブハズ[tʂ']
異体字
・『言語学大辞典(1)』(三省堂)に見られる、タミール文字風に角張った字形に風船状に変化したディセンダ記号(キリル文字ЦやЩの筆記体の下部由来)が付いているもの。
備考
・2000年代あたりからオゴネクのものから、《Ҽ》にDZHE《Џ》の下部にある逆三角状の補助記号が付いたものに変更されていて、UCSのN3429で現行字形の修正が提案されている。

フックアバブ/上フック

ベトナム語では、全て第4声調付き母音を示す。

A【Ả ả】

使用言語・文字
・アメリカ音声学(パイク式)[ʔa]、ベトナム

E【Ẻ ẻ】

使用言語・文字
・アメリカ音声学(パイク式)[ʔe]、ベトナム

I【Ỉ ỉ】

使用言語・文字
・アメリカ音声学(パイク式)[ʔi]、ベトナム

O【Ỏ ỏ】/ホーン付き【Ở ở】

使用言語・文字
・アメリカ音声学(パイク式)[ʔo]、ベトナム

U【Ủ ủ】/ホーン付き【Ử ử】

使用言語・文字
・アメリカ音声学(パイク式)[ʔu]、ベトナム

Y【Ỷ ỷ】

使用言語・文字
・ベトナム

ディセンダー/逆向きオゴネク - DESCENDER / REVERSED POLISH-HOOK

キリル文字正書法で使用される逆向きのオゴネクで、キリル文字のものはディセンダーと呼称されるが、同名の補助記号(キリル文字《Ц》および《Щ》の下部の突起)が変形したものである。

ラテン文字O【-】

使用言語・文字
・†IPA[zʷ, ðʷ]
備考
・1949年度IPAで“その他の記号”カテゴリに登録されていた TURNED DELTA《ƍ》の異体字。『世界音声記号辞典』(三省堂)によると「oおよびギリシャ文字シグマ《σ》に逆向きオゴネク (同書では“逆ポーランドかぎ”と呼称) を付加したもの」と解説している。

キリル文字З【Ҙ ҙ】

使用言語・文字
・シュグナン、バシキール[ð]、ワヒー
備考
・異体字は逆向きオゴネクの代わりにセディラになっている。

キリル文字С【Ҫ ҫ】

使用言語・文字
・エネツ、チュバシ[ɕ]、バシキール[θ]、ンガナサン
備考
・異体字は逆向きオゴネクの代わりにセディラ《Ç ç》になっている。