公共の交通ラクダ(RACDA) 事務局 - かわら版第33号

配布版のダウンロードはこちらから

これから始まる「交通まちづくり」 文=岡 将男

■私たちRACDAが参加する全国路面電車ネットワークでは、国会のLRT推進議員連盟(超党派議員109名参加、会長 逢沢一郎衆議院議員)と協働で、2年間かけて「LRT推進法」の準備をしてきました。これは現在岡山市で計画している吉備線のLRT化計画などの推進のための法律案でしたが、先週の議員連盟総会で国土交通省が国会提出する「地域公共交通活性化再生法案」に合体することになりました。
■この法律ではLRT〈軌道運送高度化事業〉やBRT〈道路運送高度化事業〉、地方の鉄道再生事業などに本格的に国が取り組むようになります。緊急性を帯びてきた地方の公共交通の再生は、地域再生や地域間格差の是正、さらには地球温暖化や高齢化社会の問題解決にも大きな効果があると認定されたわけです。
■LRTについては、地方自治体が路線整備を行い民間が運営する、いわゆる上下分離が認められ、さらに地方債の発行と交付税措置で地方自治体の実質負担を大きく軽減できるので、計画案がある堺や宇都宮などではLRT建設に向けて作業が進むようになります。もちろんその先頭に立つのが吉備線LRT化なのです。
■バス事業についてもソウル市で成功したBRT(バス・ラピッド・トランジット)や、岡山市も実施中のオムニバスタウン構想を支援することになります。
■さて、3月の3日〜4日は仙台市で第四回全国バスマップサミットが開催されますが、新法では「地域公共交通総合連携計画」を作ることになっており、そのための協議会には地域で活動する交通NGOも参画できるようになっています。バスマップを市民が作るという活動を通じて、公共交通の受益者であり支持者である市民の存在がアピールされ、交通への市民参画が、公的にも認知されたということです。
■しかし交通という複雑系は非常に難しい分野です。サミットのような場で各地の体験を共有することが、これからの市民団体の課題と言えるでしょう。

小橋・中納言電停はどうする?

■岡山の路面電車には一段高くなった安全地帯が無い電停が2つあります。東山線の小橋電停と中納言電停です。安心して電車を待ち、乗り降りできる安全地帯が「あったほうがいい」とは誰もが思っていますが、長年そのままです。
■2001年には小橋電停で道路上で電車を待っていた高校生の列に車が飛び込むという事故があり、乗降の安全が問題になりました。それをきっかけに、小橋電停には道路に面した銀行の敷地内に電車待ちスペースができましたが、それ以上の安全策は進んでいるように見えません。そこで路面電車を運行する岡電さんに聞いてみました。
■するとかなり八方塞がりの状態であることが分かりました。まず結論として、今の道路の幅で車道を確保しながら、安全地帯付きの電停を設けることはスペース的に無理なのです。それでもなんとかしようといろいろ解決策が考えらえ、図面での検討がされていました。例えば150mに満たない間隔の2つの停留所を統合しようとする案(これは危険な場所を減らそうという考えです)。
■他の例だと、電車をそこだけ単線にしてスペースをかせぐ方法。でもこれだと3分刻みに電車が走るラッシュ時には対応できません。道路が狭いのならば、小橋電停横の「小橋」の幅を広げてそこに電停の安全地帯のスペースを確保するという案もあったそうです。しかし橋というのは何十年先までという将来を考えて計画を作り、建設をするので、できたとしても速効性はまず期待できません(現在の京橋の完成は大正6年)。
■さらに現地の道路の使われ方や、通行する自動車のマナーの悪さも無視できません。ここは4車線あり、中央寄りの上下1車線は電車専用のはずです。ところが実際は4車線すべてを(つまりレールの上を)自動車が規制に関係なく走り、電車は前後を車と車に挟まれて走っています。
■本来ならば、安全地帯がない停留所に路面電車が停まり、乗客の乗り降りや横断があれば、後続の車は電車が発車するまで後方で停まって待っておかなくてはいけません(これ自動車教習所の教え)。でも、実際には乗客は走る車の合間を見て電車に乗り込み、降りる時はすぐ横を車がかすめていく車道に降り立たなくてはならないのです。また同じことを電車のお客さん側から見ると、車道に立つことはなく道路の端で電車を待っていればいいわけで、電車が停まり、車が手前で停まったら、そこで初めて車道に出ればいいのです。本来ならば・・・。
■各方面の協力を得て、考えられる様々な工夫や技術を駆使すれば、相当無理をして安全地帯を作ることができるのかもしれません。けれど、その前にやれることがあるような気がします。
■この問題はまた取り上げたいと思います。(田辺義博)

3月の出来るバス消えるバス

□JR津山線<運行再開>
平成18年11月から運休をしていたJR津山線(玉柏〜牧山間)が、平成19年3月18日に運行を再開する予定です。
□玉野市<シーバス>
玉野市で運行されているコミュニティバス『シーバス』のうち、北ルートが3月31日をもって廃止となります。西ルート・東ルートは引き続き運行されます。