公共の交通ラクダ(RACDA) 事務局 - かわら版第42号
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LRTを支える新技術  バッテリートラム登場  文 = 岡将男

■岡山の街を走る超低床路面電車「MOMO」、それがもしかしたら蓄電池で動くかもしれない。そうなればパンタグラフや架線柱もいらないので、今話題になっている吉備線のLRT化では、わざわざ総社まで電化しなくてもよくなる。
■そんな夢の技術が公開された。一つは東京・国立にある鉄道総合研究所の「Hi−tram(ハイ!トラム)」。もう一つは川崎重工・播磨工場の「SWIMO(スイモ)」である。いずれも大量のバッテリーを積んでおり、電気機器のスペースが不足するのを克服し、冷房付の超低床路面電車となっている。
■まだいくつかの課題も残っているものの、性能的には架線集電に遜色なく、電停毎に20秒急速充電すると600m走れるというハイ!トラム、小径車輪を使った特殊台車で広い低床客室を実現したSWIMO、ともに今月から札幌市交通局の路面電車線で実験が始まる。
■RACDAも両方の試乗会に招かれたが、集まった全国の関係者は一様に「ようやく鉄道総研や車輌メーカー大手がLRTに参画した」という感想を持っていた。
■低床電車のための車軸のない台車はコンピューター制御でカーブを回るなど、MOMOはほとんどがドイツの技術。ようやく昨年低床台車が国産化されたが、まだまだ価格は高い。またドイツでは広島にも入っている「コンビーノ」という電車にディーゼル発電機を積んで、非電化の区間に乗り入れている例もある。
■LRTの車輌「LRV」は技術の固まりである。自動車と同じ道路を走るのだから、加速性能、ブレーキ性能、快適性などで自動車に負けては誰も乗ってくれない。ウィーン市などでは、地球温暖化対策として25%削減の目標を掲げ、そのために自動車の9分の1の二酸化炭素しか出さないLRTを導入したが、乗ってくれるかどうかといえば、やはり性能がポイントなのである。なかなか『環境』では人の心は動かない。しかし全国の専門家からは、吉備線LRT化は地球温暖化対策の目玉事業のシンボルと見られているのである。

【LRTトピックス】
 足守周辺の連合町内会(足守学区・大井学区・日近地区・岩田地区・福谷地区)で吉備線の路面電車(LRT)化を求める署名活動が現在行なわれています。今年1月に岡山市長に提出された4学区(中山・加茂・鯉山・庄内)の署名に続くものです。
 一部で備中高松駅以東だけでのLRT化案があり、足守がある備中高松駅以西を含めた吉備線全線でのLRT化を特に求める内容です。

公共交通は誰が支える? 〜朝になると出てくるベンチ〜

■清輝橋交差点から岡大病院に向かう道を入ると店先にベンチが置いてある薬局があります。この薬局の前には市役所回りのバスが止まるバス停があり、この薬局のみなさんが朝、開店時にベンチを出し、夜、閉店時に店内にしまわれています。10年ほど前に店を改装した時から続けられているそうです。店頭に置かれたベンチはバスを待つ人の利用だけでなく、歩道を歩く人や煙草を吸う人の休憩場所にもなっています。
■交通渋滞や交通事故の問題、CO2削減など地球環境を守る観点から公共交通の利用拡大が叫ばれてきました。しかし残念なことにもっとも身近な公共交通・「バス」を維持するための環境は厳しい状態に置かれています。本数が少ない、運賃が高い、近くを走っていない等、バスに向けられる不満はいろいろありますが、バス利用者とバスをつなぐ「バス停」という存在を考えると今のバスが置かれている状況が見えてきます。道路で自動車の通行を優先するあまり、バス停の設備(屋根やベンチ)のことやバスを待つ人のことは取り残されてきました。バスを運行する側だけの努力では解決が困難な問題もたくさんあります。
■乗客の減少、減便、行政からの補助金削減…と公共交通を維持する環境は今、危機的な状態です。地域を構成する(住民、公共施設、企業など)みんなの力でバス路線や快適なバス停を維持することはできないかRACDAは考えています。(田辺義博)
【データ】近藤薬局。9:00〜18:30の営業時間中にベンチを設置。土曜日は12時までの営業。日曜・祭日は休みなのでベンチはシャッターの内側です。

【RACDA の目】
 RACDA が入居する禁酒会館がある“城下” に「城下公会堂」なる場所が出現しました。喫茶、ギャラリー、ライブスペースと多目的な空間です。「公会堂」という大きく出たネーミングに惹かれます。小さくても東京の「渋谷公会堂」とかに負けない街の賑わいスポットになって欲しいと期待しています。
場 所:岡山天神郵便局右隣り
営業(開館?)時間:14:00 〜 24:00(休憩あり) 火曜定休
スペース貸切 平日1時間 5000円〜  土日祝 1時間7500円

12月の出来るバス・きえるバス

□両備バス(渋川特急バス)<経路変更>
 岡山駅→天満屋間の経路が一部変更しています。(乗車停留所に変更は無し)