77 名前:病の執務官とその使い魔[sage] 投稿日:2009/01/07(水) 21:34:26 ID:cZ5r8BLg
78 名前:病の執務官とその使い魔[sage] 投稿日:2009/01/07(水) 21:35:27 ID:cZ5r8BLg
79 名前:病の執務官とその使い魔[sage] 投稿日:2009/01/07(水) 21:36:19 ID:cZ5r8BLg
80 名前:病の執務官とその使い魔[sage] 投稿日:2009/01/07(水) 21:37:05 ID:cZ5r8BLg
81 名前:病の執務官とその使い魔[sage] 投稿日:2009/01/07(水) 21:37:53 ID:cZ5r8BLg
82 名前:病の執務官とその使い魔[sage] 投稿日:2009/01/07(水) 21:38:35 ID:cZ5r8BLg
83 名前:病の執務官とその使い魔[sage] 投稿日:2009/01/07(水) 21:39:30 ID:cZ5r8BLg
84 名前:病の執務官とその使い魔[sage] 投稿日:2009/01/07(水) 21:40:23 ID:cZ5r8BLg
85 名前:病の執務官とその使い魔[sage] 投稿日:2009/01/07(水) 21:41:11 ID:cZ5r8BLg
86 名前:病の執務官とその使い魔[sage] 投稿日:2009/01/07(水) 21:42:02 ID:cZ5r8BLg

 ミッドチルダでは風邪が流行っていた。
 国営放送でも報じられるぐらいで、管理局内を歩けば局員の五人に一人はマスクをしており、けほけほ
と苦しそうに咳いたり水っぱなをすすったりしている。
 そんな有様を見たクロノは朝礼及び艦内放送で「各員管理局員たる自覚をもって風邪には重々気をつけ
るように」という意味の説教を十分以上に長々と引き伸ばして垂れておいて、翌日当の本人が徹夜続きに
よる体力低下により風邪を引くという、たいそう格好悪いことをやらかした。


 風邪の波は機動六課隊舎にも押し寄せていた。
 こういう場合、やはり免疫力の低い子供がまず餌食になる。エリオとキャロが真っ先に頬を赤くして鼻
をぐずぐずいわせだした。
 それを発見したフェイトは、訓練を休ませるよう教導官にずいぶん強くかけあったり、忙しい仕事の合
間を縫って氷枕を取り替えたり、手ずからオートミールを作ってやったりと過保護っぷりを発揮し「次は
絶対あいつがやられる」というヴィータの予想通り、翌日思いっきり伝染された。




          病の執務官とその使い魔




「ほら、フェイトあーんして」
「そんなことしなくても食べられるから……」
「だーめ。病人は看病する者の言うこと聞かなくちゃ。ほらあーん」

 観念してフェイトは口を開け、アルフが差し出してくるお粥の匙が口に運ばれてくるのを待った。
 昨日エリオやキャロにも同じことをフェイトはやったのだが、いざ自分がやられる番になるとえらく恥
ずかしい。
 アルフが作ってくれたお粥は栄養が取れるようにと赤や緑の野菜が豊富に入っており、醤油と鳥の出汁
をたっぷり吸ったお米も美味しい。食欲のあまりないフェイトでも、一皿全部胃に収められた。

「それだけ食べられるなら、明日には良くなっていそうだね。リンゴも剥いてあるけどどうする?」
「これ以上はいいかな」
「そうかい。クロノの様子見たらあたしはちょっと買い物行ってくるけど、何かほしい物ある? 桃缶と
か」
「子供じゃないんだからいいよ……」
「それと、分かってると思うけど」

 看病をするためには幼児姿だと少々不便なので、久しぶりに成人姿となっているアルフが、びしっとフェ
イトの鼻先に指を突きつける。

「ちょっと調子が良くなったからって、動くのは絶対に駄目だからね! あたしが帰ってきた時に家事と
かしてたら、バインドでベッドに縛りつけるから」
「や、やだな。なのはじゃなんだからそんな無茶しないよ……」

 微妙に視線を逸らすフェイト。実は気分もかなりましになったし、昨晩から看病を頑張ってくれたアル
フへの恩返しとしてステーキでも焼いておいてあげようか、などと企んでいた。

「……なーんか怪しいなあ。フェイトも相当無茶する人だからね。ま、とにかく今日はベッドからなるべ
く出ないように。約束だよ」
「うん。……あ、そうだアルフ」

 部屋を出て行こうとする使い魔に、伝え忘れていたことをフェイトは言った。

「クロノの分のお粥はもうちょっとだけ味付け薄くしてあげてくれないかな。クロノ薄味好きだから」
「……はいはい」

 表現し難い微妙な表情をして、アルフは出て行った。




          ※




「ほれクロノ、お粥」
「ああ、悪いな。いただきます」

 一匙口に入れてクロノは顔をしかめた。熱くて舌が痛かったのもあるが、原因はほとんど味がしなかっ
たからである。

「……作ってもらっておいてなんなんだが、塩とかちゃんと入れたのか?」
「熱で舌がやられてるんだろ。それにあんた薄味好きらしいからちょうどいいだろ」
「まあ、そうかもしれないけど」

 薄味を通り越して米を水で煮ただけの食い物のように思えるのは気のせいか。薬味の葱かきざみ海苔ぐ
らいは入れてほしかった。
 しかし元来レーションのような味もくそもない物ばっかり食う人生を送ってきているので、特に苦にも
思わずクロノはもそもそとお粥を完食した。

「ところで、君が大人姿でフェイトは大丈夫なのか?」

 お粥だけでなくリンゴも食べながら、クロノは訊ねた。

「フェイトの体力はともかく魔力は落ちてないし、別にこの姿だからって魔力半減するわけでもないから
いいんじゃない? 精神リンク越しに不調も感じられないし」
「ならいいんだ」
「それじゃあ、あたしちょっと出かけてくる。……ベッドの中で仕事しようが管理局に出仕しようがいい
けどさ、フェイト襲うことだけはしないでおくれよ」
「病人相手にするわけないだろう! 僕をなんだと思ってるんだ!?」
「自分の胸に聞いてみなよ」
「うっ……」

 冷たい視線を向けられてしまえば、返す言葉も無い。
 フェイトと抱き合っている時まれに精神リンクを切り忘れるため、寝所でのクロノの所業はアルフに一
部筒抜けである。「フェイトをいじめすぎだ!!」「この後ろ好き!!」と蹴り飛ばされたこともある。
 そこまでされても無体な所業を改めない自分が一番の問題だと分かっちゃいるけどやめられない。

「とにかくおとなしくしておくことだね。じゃ、あたし行くし」
「あ、ちょっと待ってくれアルフ。フェイトはリンゴ食べたのか」
「いや、まだだけど?」
「だったら切るだけじゃなくてすり下ろしにしてやってくれないか。風邪だとそっちの方が食べやすいだ
ろう」
「…………」

 なんとも形容できない微妙な表情をして、無言のまま頷いたアルフは出て行った。




          ※




「…………喉渇いたな」

 昼食後の眠りから目覚めたフェイトは、天井を見上げたまま呟いた。
 声はややしわがれており、喉に少し痛みもある。寝汗をびっしょりかいたパジャマも着替えたい。
 のろのろと起き上がり、熱を持った関節が痛むのに顔をしかめながらフェイトは台所へと赴いた。ミネ
ラルウォーターをコップに注いで一気に飲んだが、渇きは消えない。もう一杯と思ったが、冷たいものを
急に飲んだのが悪かったのか胸につかえを感じて飲み込みにくい。
 リビングの椅子に座ってゆっくりと一口ずつ飲んでいくことにした。
 アルフはまだ買い物から帰っていないらしく、人気は感じられない。

「…………こんなに、広かったっけ」

 誰もいないがらんとしたリビングを見回すフェイト。今までもクロノ達の仕事の関係などで数日間家で
一人っきりだったことはあるが、広いと感じたことはなかった。
 広さを埋めてくれる人が欲しいとひどく感じた。
 たぶん今、自分は寂しいのだろうと、フェイトは他人事のように熱のあるぼやけた頭で考える。

「あんな夢、見たからかな……」

 風邪のせいか、嫌な夢を見た。
 自分とクロノが義兄妹のままの関係であり、フェイトがどれだけクロノを愛しているかを訴えてもクロ
ノは笑ってまともに取り合ってくれず、いつも同じ言葉を並べるのだ。

『僕と君は兄妹なんだぞ? 恋人同士になれるわけないじゃないか』

 そして、フェイト以外の女性とどこかに消えてしまう。
 本当に、嫌な夢だった。

「どうして、あんな夢、見たんだろう」

 クロノは、フェイトのことを全身全霊で愛してくれている。他の女性に走ったりすることなど決して無
いだろう。
 なのにこんな夢を見るということは、フェイトはまだ心のどこかで思っているのだ。
 クロノと過ごしている幸せな時間が、ある日一瞬で崩れ去ってしまうのではないかと。
 フェイトの身体は成長したが、心のどこかはまだなのはに助けられた十年前のまま、弱い部分が残って
いるのだ。

「…………クロノの顔、見たいな」

 痛切にフェイトは思った。
 飲みかけの水を置きっぱなしにして、フェイトは立ち上がる。
 クロノの部屋に鍵はかかっていなかった。そっと開けて覗き込めば、クロノはぐっすりと眠っていた。
 足音を忍ばせて侵入したフェイトは、ベッドの隣に立ってクロノの様子を窺う。
 普段の疲労もまとめて身体の奥から出てきたのか、クロノは完全に熟睡していた。表情はぴくりとも動
かず、まるで死んでいるようだ。小さく上下する胸だけが、クロノの魂が身体にあることを示している。
 そんな様子を見ているうちに、フェイトの心の中には最前までとは違った不安が湧き上がってくる。

「クロノ……このまま死んじゃったりしないよ……ね?」

 風邪程度で大げさなと思うのだが、胸騒ぎは収まらない。
 病気だけではない。クロノが航海任務へと旅立つのを笑顔で見送りながらも、フェイトはいつも義父の
クライドのように殉職してしまったりしていないか、不安を覚えているのだ。
 もしクロノに先立たれてしまったら、悲しみのあまり自分がどうなってしまうのかフェイトには全く予
想がつかない。
 高まる不安は、いつしかクロノに一秒でも長く触れていたいという強い欲求に変わって身体を突き動か
す。
 フェイトの頭は少しずつ下がっていき、やがてクロノの顔との距離がゼロになる。
 合わせた唇は、乾きざらついていた。潤いを与えようとフェイトはとにかく舐め回す。

「ん…………んんんぅ!?」

 さすがにキスをされればクロノも目覚めた。見開かれた瞳と硬直した身体が、驚愕の大きさを現してい
る。
 それでも、フェイトは全く別のことを考えていた。
 本当に自分は弱い。
 クロノがどれだけ愛してくれているか分かりきっているというのにほんの些細なことで心が不安定になっ
てしまい、強く証を求めてしまうのだから。
 思いながらもフェイトの口づけは止まらない。それどころか平均よりだいぶ大きな乳房をクロノの胸に
強く押しつけ、唇も重ねるだけではなくクロノの首筋に吸いついたり耳を噛んだりと、スキンシップ以上
のことをする。

「ちょっと待ったフェイト。まさか……」
「クロノお願い。…………抱いて」

 恋人同士でしか出来ない身体と身体の関係が、今すぐほしい。

「風邪引いてるんだぞ」
「私もクロノも風邪引いてるんだから、伝染っても問題ないよ」
「そういう問題じゃ……!?」

 もう一度強くキスをし、舌でお願いだからしてほしいと伝えると、観念したようにクロノは頭を振った。

「……仕方ない。一回だけで、あんまり激しくはしないぞ。病気の身なんだから」
「うん、ありがとう」
「それと……」

 フェイトをシーツの上に横たえながらクロノは続けた。

「君はまだきつそうだから、僕が主体でやらせてもらう」

 パジャマの胸元が広げられ、姿を見せた乳房にクロノの顔が押し当てられる。
 朝にアルフが身体を拭いてくれてはいたが、フェイトの身体はまたまたひどい汗をかいていた。
 もちろん昨晩は風呂に入っていない。一日越しの酸っぱい匂いをクロノが嗅いでいるのかと思えば羞恥
心がひどく頭に血を上らせた。

「クロノ……あんまり、身体の匂い嗅がないで……汗かいてるから」
「今更だろう、そんなこと。君の汗の匂いなんかずっと前から知ってる」
「それはそうなんだけど……」

 意にも介さず乳房の谷間が広げられ、奥深くまでクロノが鼻を埋めてきた。それだけでなく鼻をわざと
らしく鳴らして匂いを嗅がれたり、汗の溜まっていそうな窪みを舐められたりして、元から火照っている
フェイトの頬はいっそう熱くなった。
 愛撫はかなり優しいが、態度はいつもどおり意地悪なクロノだった。
 あまり触れられたことのない内側に、軽く歯が立てられる。硬く鋭い感触に、胸全体がぴくんと震えた。

「ここも感じるのか。本当に、胸が弱いな」

 時に歯を立て、時に唇で吸いつきながら、クロノは胸全体に口を這わせていく。まるで汗を舐め取って
いるようだ。手は、反対側の乳房を大きくゆっくりと揉んでいる。
 いつもは丹念というより執拗にフェイトの身体を愛するクロノだが、今日は本当にフェイトの性感帯を
柔らかく丁寧に扱っている。
 たっぷりと唾液で濡らされた乳首を指と舌で転がされ、フェイトは熱い息を吐いた。

「あふぅ……そこ、もっと……」

 乳房に血流が集まって張りが出てきたのが、自分でも分かった。
 風邪で身体の感覚は弱まっているはずなのに、一つ一つの愛撫が恥ずかしいくらい感じてしまう。ひと
りでに腿が擦り合わせる動きをしていた。
 クロノもそれに気づいたのか、乳房と戯れていた右手を、フェイトのパジャマのズボンに潜り込ませて
くる。
 ショーツの上から長い指が撫で上げると、くちゅりと密やかな音がした。
 くすぐったくてどこか寒気にも似ているが、むしろ熱さを覚える感覚が、フェイトの身体の奥に生まれ
る。
 感覚をかき立てるようにクロノの指が潤った峡谷を上下して、フェイトを甘美さに蕩けさせた。自分で
もよく分かっていない微妙な場所が、曲げた指で何度も刺激される。完全にクロノに身を委ねていること
もあって、あっという間に果ててしまいそうだ。

「うあ……ふあぁん……」
「……指だけじゃいやか?」

 喘ぐフェイトの耳元でクロノが言う。
 恥ずかしい言葉を直接言わせようとしているのではなく、言葉どおり指だけで達するだけでは嫌かと訊
いているのだ。

「う、ん……病気で疲れてるの分かってるけど、最後まで、して」

 フェイトの願いに頷いて、クロノは再度乳首を強く吸い、指を複雑に動かしてフェイトの身体の内も外
も濡らしていく。
 クロノと繋がる準備の階段を一段ずつ上がっていきながら、フェイトは力の入らない腕でクロノの頭を
かき抱き、恋人の体温、舌、指の動きを全身で受け止めた。

          ※




「だから……やる時は精神リンク切るようにっていつも行ってるだろう……!」

 よろめきながら玄関をくぐったアルフは、買い物袋をどさりと床に落とした。

「風邪ひいてる時まで大人しくできないなんて、これじゃどっちが獣だか、わかりゃしないよ……」

 買い物の帰り道から、精神リンクを通じて強制的に発情してしまっている。べったりと愛液の垂れた太
ももは体重を支えることもできなくなりつつあった。
 とても部屋まで戻れそうにない。アルフは一番手近な便所に転がり込んで、下半身の衣類を引っ張り下
ろした。
 便座に座って気が緩んだ途端、一気に精神リンクから流れてくる情報が巨大になった。
 今現在の状況だけではない。
 クロノの肉棒を胸と舌で愛している記憶。二人座り合った体勢で繋がっている記憶。犬のような姿勢を
強要され尻穴を抉られながらよがり啼いている記憶。クロノの上で淫らに腰を振り精液を搾り取って喜悦
している記憶。全身余すところなく白濁液を注がれながら、なお淫心静まらず夜が明けるまで求め続けた
記憶。
 過去にフェイトとクロノが交わった時の光景が怒涛のように流れ込んでくる。記憶に引っ張られて、思
わずアルフの手は秘所に伸びかける。
 だがほんの数寸手前で、アルフは必死に指を止めた。

「ほんと……これがきついよ」

 普段クロノの馬鹿ップルぶりに文句をつけたり殴ったりしているアルフだが、別にクロノのことが嫌い
なわけではない。
 フェイトの妹分としてはフェイトを取られたようで少々面白くない気分はあるが、十年前からの長い家
族生活でクロノがいい奴であることは知悉しているし、なによりクロノと相思相愛となれたことでフェイ
トは幸せを満喫していた。フェイトの幸せは即ちアルフの幸せでもある。
 しかし、まかり間違ってもクロノに抱かれるのだけはごめんだった。
 アルフを抱いていいのは、八神家の蒼い狼ただ一匹だけである。
 この状況下においてアルフが慰めようものなら、まるでクロノを想って自慰しているようなものだ。そ
んなことはザフィーラに申し訳ないし、アルフ自身も絶対に嫌だ。

「あぐぅ…………ザフィーラぁ……!」

 終わる気配の見えない淫猥な光景の連続を、爪を指ごと噛みながら恋人の名を呼んでアルフは必死で耐
え続けた。

          ※




「じゃあ……挿入れるよ」

 完全に裸となったフェイトは、同じく全裸のクロノの腰に跨っていた。
 長めだった前戯のせいか風邪のせいか、フェイトの身体はいっそう熱を帯びており膝立ちになっている
だけでもきつくてゆらゆら頼りなく揺れてしまう。その度に金色の陰毛を伝い続けるフェイトの蜜が、屹
立したクロノの上に一滴ずつ垂れていた。

「辛いなら僕がしてもいいんだぞ」
「だって準備は全部クロノがしてくれたんだから、本番は私がしてあげる。クロノは無理しなくていいよ」

 フェイトの身体をいじくっていただけでも疲労したらしく、クロノは額に数滴汗をかいており顔の赤み
も増していた。自分のわがままでこれ以上無理はさせられない。

「んっ……」

 ゆっくりと慎重に腰を落としていくフェイト。
 騎乗位は何度もやって慣れている。それなのに、入り口同士がひたりとくっついただけで、腰全体が震
えるぐらい感じた。風邪の菌は、フェイトの全ての感覚を狂わせている。
 なんとか膨らんだ雁首まで潜り込ませたところで一度止まり深呼吸した瞬間、支えていた膝が滑った。

「ひああぁぁん!?」

 ずるんと、潤滑液に満ちていた膣は一気に奥まで肉棒を咥え込んでしまう。
 一瞬で腰が砕けた。フェイトはまともにクロノの上へと倒れこんだ。

「うわっ!?」
「ご、ごめんなさいクロノ! すぐにどくから…………あれ?」

 一度立ち上がろうとするのだが、首から下が全く動いてくれない。衝撃に腰どころか身体全体の力が抜
けてしまっていた。

「……なんか、身体が動かない」
「僕もだ」
「…………どうしよう」

 繋がりはしたので貫かれる快感はあるが、動きがなければいつまでたっても最期までいけはしない。こ
のまま腰が回復するのを待っていれば、いつになるか分かったものではない。

「しかたないな」

 ため息をついて、クロノが背中に置いていた手を下へ向けて滑らせていく。

「力を抜いて……ってもう抜けているか」

 クロノの指が止まったのは、尻肉の合間で息づく穴だった。
 窄まりの縁が軽く摘まれ、そのまま縁を一周なぞられる。
 秘所を愛する時とよく似た動きで、クロノはゆっくりと後ろの穴をほぐしていく。

「入り口だけは、前の方よりも挿入れやすくなったな」
「クロノが……ふんんっ……何度もお尻でするからだよ」

 開発されきって感度を高められた菊門は指を拒むどころか、奥へ入りやすいようにと素直に入り口を緩
やかに開けていく。
 腸液があふれるぐらい流れてはクロノの指に絡んで、根元までもスムーズに導いていく。あっという間
に指が一本全部挿入ってしまった。

「いつもよりかなり熱い。風邪を引いてたらこうなるんだな」

 感慨深そうに呟いて、クロノは本格的に指を動かし出した。
 敏感な腸壁を擦り、引っかき、さらにゆっくりと引っこ抜く。
 腹の奥から伝えられる快感に腰をびくつかせながら、フェイトは甘い呻き声を漏らした。

「や……ああ……クロノも、気持ちいい?」
「ああ、お尻をいじったら前が動いて、締まって、いい具合だ……!」

 言われる通り、クロノの性器の出っ張り一つに至るまで分かるぐらい、フェイトの膣壁はびっちりとま
とわりついては細かく痙攣するように動いていた。下の口でクロノを舐め回し慰めているかのようだった。
 尻の指が二本に増えて、さらに複雑かつ激しく動いてフェイトを酔わせる。
 気がつけば、身体全体が細かく震えていた。絶頂の前兆である。

「ク、ロノ……お願い」

 頬を包み込んで、潤んだ瞳でフェイトは哀願する。

「一緒に、出して」

 口づけで承諾の答えをもらえる。
 多少動くようになったらしいクロノの腰が下からちょっとずつ突き上げてくる。
 子供を産むための穴も、不浄の穴も、両方愛されながら、フェイトは果てた。
 全く同時に、白い奔流が胎内を染め上げていく。

「あああぁぁぁぁっ、クロノっ!!」

 鋭く叫んで背中を突っ張らせながら、子宮を満たされる女の悦びにフェイトは恍惚とする。
 朦朧としたまま意識を失いそうになるが、僅かに戻っていた力を振り絞ってフェイトはクロノの上から
どいた。
 栓の役目を果たしていた肉棒が抜けて、こぽりと精液が腿に熱く流れ出てくる。

(……あったかくて、気持ちいい)

 身体の交わりよりも、強く抱かれる腕の感触と温かさで、いつのまにかフェイトの心から不安は消え去
り、安らかな眠りへとフェイトはいざなわれていった。

          ※




 精神リンクが切れた。
 同時に、延々焦らされ続けたアルフの自制心も切れた。
 指を一気に三本、秘裂にねじり込み、とにかく強くかき回す。

「ああああっ!! ザフィーラ!! ザフィーラ!!」

 何もしなくとも限界寸前まで焦らされきった身体は一瞬で高まる。
 全く我慢もなにもせず、全身を走る雷光をアルフは抗うことなく受け入れた。

「はああん!!」

 早急に果てて、アルフはがくりと首を垂らす。

「はあ……はあ……こっちの姿で、よかった」

 幼女形態なら、健在な膜が傷ついてえらいことになるところだったと、変なところでアルフは安心した。
 一度ぐらいでは収まりのつかない身体をなだめるようにゆっくりと秘所の指を動かし、疼いている胸も
軽くいじった。
 二度目はゆっくりやろうと思っていたアルフだが、ふと思いつくことがあった。

「……フェイト、またこっちでしてたよね」

 小指で自分のお尻の穴をつついてみるアルフ。
 どっちが先に始めたのか知らないが、フェイトとクロノは一般的にはあり得ないぐらい頻繁に尻でも交
わっている。それもクロノが無理やりするのではなく、フェイトが自分からねだっていることも多い。
 だからたぶん、とても気持ちいいのだろう。

「そんなにいいのかな?」

 後孔に何かを入れたことなど、ずいぶん前に風邪で座薬を初体験して以来である。アルフの穴はひどく
きつくて、フェイトがいつもやられているように指を一本丸ごと差し込もうものなら裂けてしまいそうで
ある。
 そーっと小指一本だけを進めてみる。指に肉が絡みつきながら吸い込まれていくのが、ひどく妙な気分
になる。
 第一関節まで入った時だった。ぞぞっと背筋を這い上がる感覚があった。

「うひゅぅっ!?」

 間抜けな悲鳴がアルフの喉から飛び出た。反射的に前に突っ込みっぱなしだった指が動いて、アルフの
身体が揺れる。

「ひぅっ! こんなのの、どこがいいってんだか……!」

 口で呆れつつも、アルフの指は菊座から抜けようとはしない。
 奇妙な未知の感覚ではあったが、かすかに膣とは異なる快感があったような気がする。
 指をもうちょっと太い薬指に替えてみようと抜くと、今度は別の言い様がない心地よさが湧き出てきた。
 時折痛みは走るものの、膣の指を動かせばすぐに痛みは引っ込む。
 深さはさすがに浅いものの、いつしか動きの幅は前に劣らぬぐらい激しくなっていた。

「なんか、これ、癖に……なりそう」

 まずいことに特殊性癖に目覚めつつあると自覚しつつも、アルフの指は前後両方止まらない。
 止まらないまま、終点が向こうから迫ってきた。

「ああっ、ああっ、ああああーーーっ!!」

 股間が潮を吹き、一拍遅れて精神が達した。
 一度目とは比べ物にならない高さでの絶頂に、ぐったりと弛緩したアルフは背中を貯水タンクへもたれ
させた。

「…………お尻、けっこういいかも。今度、ザフィーラに頼んでみようか。……嫌がるかな」

 夜の方でも狼だの幼女姿のアルフでも余裕で勃つだのとあらぬ噂を立てられているザフィーラだが、実
像は相当に物堅い男である。尻でやってくれなどとアルフが言えば、気でも狂ったかと仰天するだろう。

「ああ、でもそういう顔も見てみたいね。…………さて、と」

 いつまでも呆けているわけにもいかず、便座に飛び散った愛液までトイレットペーパーできれいに後始
末したアルフは、ぼきぼき手を鳴らしながらトイレを出て、クロノの部屋を轟音立てて蹴り開けた。
 中の二人の反応は、音に飛び起きたクロノと安らかに眠っているフェイトという対照的なものだった。

「フェイトを襲うなって言っただろうがこのエロ提督!!」
「ち、違う。これはフェイトが……」
「やかましい! とっとと制裁を受けろ!」
「話せばわかる!」
「問答無用!!」

 何か言おうとしているクロノの顔面に、アルフは渾身の力で鉄拳を叩き込んだ。




 結局、フェイトは風邪の悪化によりさらに二日、クロノは全身打撲により四日の有休延長を余儀なくさ
れたのだった。




          終わり


著者:サイヒ

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