37 名前:狙撃手と彼の灯火(後編)[sage] 投稿日:2008/11/20(木) 02:30:35 ID:NPyun8oH
38 名前:狙撃手と彼の灯火(後編)[sage] 投稿日:2008/11/20(木) 02:32:28 ID:NPyun8oH
39 名前:狙撃手と彼の灯火(後編)[sage] 投稿日:2008/11/20(木) 02:34:21 ID:NPyun8oH
40 名前:狙撃手と彼の灯火(後編)[sage] 投稿日:2008/11/20(木) 02:35:34 ID:NPyun8oH
41 名前:狙撃手と彼の灯火(後編)[sage] 投稿日:2008/11/20(木) 02:37:17 ID:NPyun8oH
42 名前:狙撃手と彼の灯火(後編)[sage] 投稿日:2008/11/20(木) 02:39:09 ID:NPyun8oH
43 名前:狙撃手と彼の灯火(後編)[sage] 投稿日:2008/11/20(木) 02:41:20 ID:NPyun8oH
44 名前:狙撃手と彼の灯火(後編)[sage] 投稿日:2008/11/20(木) 02:43:00 ID:NPyun8oH
45 名前:狙撃手と彼の灯火(後編)[sage] 投稿日:2008/11/20(木) 02:44:01 ID:NPyun8oH
狙撃手と彼の灯火(後編)
「ふぅ……」
ベッドサイドの薄明かりだけが照らす中、入浴を終えたヴァイスは濡れた身体を軽く拭くと服も纏わずに下半身にタオルを巻いただけの半裸の状態でベッドに腰掛けた。
先ほどまで湯気が立ち上るほど熱かった身体もこんな格好ではすぐにちょっとした肌寒さを感じてしまう。
だが股間の一部分だけは熱く熱を帯びていた。
言うまでもなくそれはこれから交わす情交への期待に他ならない。
シグナムは髪を乾かすのに時間がかかるというのでヴァイスは自分だけ先に風呂場から出てベッドで待っているのだが、何度味わってもこの緊張感は好きになれなかった。
早く彼女が欲しいという獣染みた欲求とがっつく自分を情けなく思う部分が交じり合い、ヴァイスの心に火と水のような相反する要素を混在させる。
だがこの精神状態がどう転がるかなんて分かり切っていた、どうせ結局最後に勝つのは獣欲の方だ。
シグナムのあの艶めかしさ極まる肢体を前にすれば男の理性など紙屑よりも脆い。
きっと自分は我を忘れて彼女の極上の肉体に溺れるのだろうという確信がヴァイスにはあった。
だが、彼にはそれが酷く気に入らなかった。
いつもそうだ、シグナムを前にすればあの極上の身体に溺れて一心不乱に彼女を貪る事しか出来ない。
彼女が優しくして欲しいなどと言ってもお構い無しに責め立てて、それこそ気を失う程に犯す事もある。
嗜虐的になりがちな自分にヴァイスは思わず独り言を呟いて自虐した。
「ダメだよなぁ、こんなんじゃ……今日くらいは優しくしねえと」
そう漏らした時だった、風呂場から聞こえていたドライヤーの音が止み濡れた足音が近づいてくる。
まるで熟し切った果実のように甘い香りが漂ってきたかと思えば、燃えるような緋色の髪を揺らした絶世の美女が現れた。
「すまん……待たせたな」
僅かに濡れた淡い桜色の唇から紡ぎだされる言葉と吐息さえ甘く感じる。
いつもはポニーテールに結われた髪はストレートに解かれて凛とした雰囲気を艶めかしさへと変えており、凄まじいプロポーションを誇る肢体はたった一枚のバスタオルで覆い隠されていた。
シグナムの放つそのあまりの色香に、ヴァイスは呼吸すら忘れて魅入る。
情交への期待の為かヴァイスを見つめる彼女の瞳は熱を帯びて潤んでいた。
視線が交錯するとそれだけで互いが淫らな欲望を滾らせている事が分かった。
期待と不安のない交ぜになったようなシグナムの熱い眼差しに見つめられ、ヴァイスは思わず顔を俯けて目を逸らす。
(やっべぇ……姐さん、綺麗過ぎる……)
これ以上彼女の瞳を見続けたら一気に理性がぶち切れて襲い掛かるかと思ったからだ。
しかしこれが不味かった。
下方に移動した視線の先には、身体を覆うバスタオルからはみ出た瑞々しい太股があったのだ。
むっちりとした素晴らしい肉付きを誇り、美しいラインを描く太股、白磁の如く白い肌は先ほどの入浴の為に淡く紅潮して芳しい色香を漂わせている。
欲情を抑えようと視線を移したのに、それがかえって逆効果を生み出し余計に性欲が昂ぶってしまった。
ヴァイスの腰を覆っていたタオルが著しく怒張を始めた肉棒に押し上げられ、股間に小さなテントを作り上げる。
そうすれば、自然とシグナムの視線がそこへ収束してしまうのも無理からぬ事だろう。
「……」
「……」
眼に見える彼の欲情の顕現に、シグナムは頬をさらに紅く染めて恥ずかしそうに顔を俯けた。
しばしの間続く沈黙、それを破ったのはヴァイスの方からだった。
「ええっと……とりあえず、こっち来たらどうっすか?」
「……ああ」
ヴァイスの言葉に蚊の鳴くような小さな声で返事を返すと、シグナムは彼の傍にそっと歩み寄る。
一歩また一歩と、距離が縮まる度に彼女から漂う蕩けるように甘い雌の香りが色濃くなっていくのを感じた。
雄の欲情を誘う香り、人の中に潜む獣を呼び覚ます危険な芳香がヴァイスの鼻腔を刺激。
そして、シグナムが目の前まで迫ればその匂いは最高潮へと達し、さらに彼女の火照る身体の微熱までもが空気を通して伝わってくる。
ヴァイスは表面上こそ平静を保っていたが、彼の中では雄の獣性が目の前の極上の雌肉への渇望に荒れ狂っていた。
それこそ、少しでも理性の抵抗が弱まれば彼は一匹の狂える野獣へと変貌するだろう。
シグナムをベッドに引きずり倒し、有無を言わさず彼女を犯し、嬲り、喰らい、貪り、精の尽き果てるまで徹底的にヤり狂う事は必定だった。
青年の身体からは自然と瘴気の如き気迫が滲み出る。
空気を伝わるヴァイスの獣性に温度が僅かに高くなるような錯覚すら感じた。
彼の様子が変貌しつつある事を察して、シグナムは少し身体を強張らせる。
欲情したヴァイスの欲する激しい姦通を想像すると、彼女の内には期待とも不安とも知れない感情が芽生えた。
気を失う程に激しく犯される事への恐怖、彼に愛される事への喜びが混在して美女の胸の中に混沌をもたらす。
そして彼女に伸ばされる男の腕。
シグナムは僅かに唇を噛み締めて来る陵辱への覚悟を決める。
だがそれは杞憂に終わった。
「ひゃっ?」
シグナムへと伸びた腕は、彼女を無理矢理引き倒そう等とはせずに優しく抱きしめながら引き寄せた。
将の口からは、普段の彼女らしからぬ素っ頓狂で可愛げのある声が思わず漏れてしまう。
そうして優しく抱き寄せられたかと思えば、次もまた優しく柔らかな手つきでベッドに寝かせられる。
白いシーツの上に燃え盛るように鮮やかな緋色の髪が、さながら火の河のように美しく広がって甘やかな香りを撒き散らす。
彼の突然の行動に、シグナムは目を丸くした。
この状況、ヴァイスならばきっと激しい行為を欲すると考えていた予想が打ち破られて、烈火の将は心底驚く。
「……ヴァイス……その、どうしたんだ?」
「別にどうもしないっすよ」
「いや……いつもはもっと、その……激しいだろ?……無理せず好きにして良いぞ?」
いつもとまるで違うヴァイスの対応に、シグナムは少し不安そうな色を表情に浮かべた。
もしかして自分が何か不手際をしてしまい、それで彼に無理をさせているのではないか? 将はほとんど杞憂と言える不安に駆り立てられる。
そんな彼女へのヴァイスの返礼は言葉ではなかった。
そっと、静かに顔を寄せたかと思えば、二人の唇が音もなく重なる。
ただ唇を触れ合わせるだけの優しいキス、だがそれは百万の言葉でも敵わぬ程に“愛している”という事を伝える愛撫。
時間にすれば数分にも満たぬ間、二人は心まで溶け合うような口付けに身を委ねた。
そして唐突に始まったキスは、再び唐突に終わりを告げる。
ヴァイスは最初顔を近づけた時と同じく、音も立てずにそっと顔を離した。
「別に無理なんてしてないっすよ。ただ、今日はこうしたいだけですから」
「そうかなの? いや……お前がそれで良いなら構わんが……好きにしろ」
「ええ、じゃあ好きにさせてもらいますよ」
そう言うや否や、ヴァイスは目の前の美女の肢体を覆っていたバスタオルに手をかける。
軽く結ばれた結び目を指で解けば、邪魔な薄布はいとも簡単に剥がされた。
「あっ……」
唐突に裸身に剥かれ、シグナムの口からは思わず小さな声が漏れる。
そうして現れるのは一糸纏わぬ極上の美女の裸体。
タオルを脱がした反動で面白いくらいに揺れるたわわに実った二つの乳房、最低限の脂肪を乗せてキュっと引き締まったウエスト、大きく張りのある美しいラインを誇るヒップ。
この世の男全てを虜にしてしまいそうな悩ましい肢体、その全てが露になる。
先ほどの入浴で普段は白磁のように白く美しい肌はほのかに紅潮して鮮やかな桜色に染まり、さながら一個の究極的な芸術品の如き美麗さを誇っていた。
何も遮る物がなくなった肌から漂う形容し難い甘く妖しい香りが鼻腔を刺激し、ヴァイスは思わずゴクリと音を立てて唾を飲み込む。
滾る獣欲が身体の内側で“目の前の雌をメチャクチャにしたい”と荒々しい咆哮を上げるが、それを制して彼は優しく手を伸ばした。
途端に、シグナムの唇からは小さく艶やかな声が僅かに漏れた。
「はぁぁ……」
銃のグリップを握り締めトリガーを引き続けた大きくゴツゴツとした指が、豊かに実った果実に触れる。
極上の柔らかさを誇るたわわな乳肉にヴァイスの指が沈み込み、乳房の形を面白いくらいに変えて行く。
シグナムの肌はどこもかしこも素晴らしいキメの細かさとスベスベとしながらも吸い付くような潤いを有するが、中でもこの胸は格別の手触りだった。
触ればその抵抗に一瞬張りをもって応えるが、すぐにそれは力に負けて柔い肉の内に沈み込む。
正に至高にして至福の感触、一度触れば病み付きになりいつまでも愛撫し続けたくなるような魔性の魅力に満ちた乳房にしばしの間ヴァイスは酔い痴れる。
「んぅぅ……はぁ……」
繰り返される乳房への愛撫に、烈火の将の口からは悦びの溶けた甘い声が漏れた。
やんわりと乳房全体を優しく揉みしだかれ、時折先端の突起を指先で擦られて、ピリピリとした淡い桃色の電流が背筋を駆け上り脳髄を蕩かす。
いつもはそれこそ苦痛と相半ばするような激しい愛撫だが、今日はソレとは打って変わったどこまでも優しいものだった。
甘い、それこそ脳髄の奥まで溶けてしまいそうな切ない愛撫。
徐々に身体の芯に先ほどの入浴とはまるで違う熱が生まれてくる。
股ぐらの秘裂がじわじわと熱くなり、汗ではない水気がしっとりと滲んできた。
シグナムがそれを意識した刹那、胸を愛撫していた片方の手がするりと下腹部に移動する。
豊かな乳房から引き締まった腹部をなぞりながら下降した指先が湿り気を帯び始めた秘所に到達。
そしてヴァイスは滲み出る果汁を確かめるように入り口を撫で上げた。
途端に、シグナムの口からは今までの比でない艶やかな声が溢れ出る。
「はぁっ!……んぅぅ」
全身に走る甘やかな刺激に、しなやかなラインを描く四肢が一瞬震えた。
その上々な反応を見て、ヴァイスは愛撫を僅かに強める。
乳房を責めていた手はもう少し力を込めて柔らかな乳肉を揉みしだき先端の愛らしい乳首を摘む、下腹部に移した反対の手は秘所の入り口を軽く弄りながら淫核を転がした。
愛撫の刺激が生じる度に、うっすらと紅潮した艶めかしい女体が反応して小刻みに震える。
決して普段は見る事の出来ない烈火の将の顔、それは彼女の中の雌(おんな)の顔だった。
シグナムが徐々に快楽の美酒に酔い始めた事を確信すると、さらにヴァイスは放置されていたもう片方の胸にも狙いを付ける。
そしてそっと顔を寄せたかと思えば、さながら母乳に餓えた乳飲み子のように吸い付いた。
「ふにゃぁっ!」
乳房に生じたとびきりの快感に、烈火の将は普段の彼女からは想像もできない甘えた声を発した。
最初はうっすらと濡れていただけの秘裂はもはや洪水のような様を呈し、愛撫を続けていたヴァイスの指がふやけるかと思うほどに蜜を溢れさせていた。
シーツにできた染みはまるで失禁でもしたかのように大きく広がっている。
目の前の女体が既に雄の欲望を受け入れる準備を完了している事は分かり切っていたが、ヴァイスはそれでもまだ挿入を行おうとはしない。
あと少し、あともう少しだけ愛撫を続ければ彼女が達すると踏んでいるからだ。
シグナム与えられる絶頂寸前の快楽を完全に登り詰めさせる為に、ヴァイスは愛撫の手をさらにもう一段階強める。
指先に力を込めて柔らかな乳房に指を沈ませて揉みしだくと共に先端の乳頭をキュッとつまみ、口に含んだもう片方の乳首はキャンディでも舐め溶かすように舌を這わした。
胸の先から走る快感の波にシグナムのしなやかな肢体が小刻みに震える。
だが、さらに下腹部から駆け抜けたモノはそれを大きく上回るものだった。
蜜壷に侵入した人差し指が卓越した愛撫の手管で探り出した性感帯、Gスポットに狙いを定めて執拗に引っ掻くように擦り上げ、それに加えて敏感な淫核を親指の腹が押しつぶす。
そうして胸と秘所の敏感な箇所を同時に責め立てられた瞬間、遂に彼女の快楽は決定的な崩落を起こした。
「はひゃぁぁあっ!」
背筋を駆け巡り脳髄を焼いた絶頂の電撃にシグナムは堪らなく甘えた声で鳴いた。
あっけなく達してしまった身体はその快楽に素直に反応し、全身をしならせ蜜壷に埋まっていた指をキュウキュウと締め付ける。
しばらくの間、シグナムはただ荒い呼吸をして汗に濡れた身体を震わせた。
「はぁ……はぁ……」
「姐さん、大丈夫ですか?」
僅かに焦点の合わぬトロンと潤んだ瞳で絶頂の余韻に浸るシグナムに、ヴァイスはそっと彼女の髪を撫でながら尋ねた。
少し気をやったかに見えたシグナムだったが、以外に意識ははっきりとしており彼の言葉にすぐに反応する。
「ああ……気にするな……それよりも」
「うあっ!?」
言葉と共にシグナムの手がするりと下に伸びると、硬く隆起して雄の欲望をこれでもかと体言していた肉棒に触れた。
ヴァイスが腰に纏っていたタオルは一瞬で剥ぎ落とされ、白魚のようにしなやかな指が男根に絡みつく。
熱く滾った男性器がひんやりとした女の指に握り締められて、その心地良い感触にビクンと小さく震えた。
ヴァイスの口からは思わず陶酔と驚きとが混じった声が漏れる。
「お前もそろそろコッチを満足させたいだろう?」
「ええ……そりゃまぁ」
彼の言葉に、シグナムは自分で両足を広げながら口元に微笑を宿してそっと甘く囁き返す。
それは普段の彼女からは想像も出来ないほどいやらしく、そして筆舌しがたい美しさを宿した媚態。
さながら猛毒のような効き目を持つ誘惑の罠だった。
「だったら、ほら……早く来てくれ……」
むっちりと素晴らしい肉付きをした白く美しい太股が左右に開かれれば、その間には少しのくすみも存在しない綺麗な桃色の媚肉が蠢いていた。
絶頂するまで愛撫された事により秘裂からはコンコンと泉のように愛蜜が溢れ出してシーツにシミを作り、いやらしい雌の発情した甘酸っぱい香りを漂わせてヴァイスを堪らなく誘う。
むせ返るような果汁の滴りから、そこから発する熱まで伝わってくる気がした。
薄明かりの中で己を妖しく誘う眼前の雌穴にヴァイスは思わず唾を飲み込む。
そして彼女のスラリと伸びた両足に手をかけると、ゆっくり自分の腰を突き出していった。
石のように硬くそそり立った肉棒が雄を受け入れる為の淫穴へと徐々に距離を詰め、ぬちょりと粘着質な音を立ててその先端で入り口に触れる。
その瞬間、互いの性器のあまりの熱さに両者の体が軽く震えた。
分かる、このまま身体を沈めて繋がれば凄まじい快楽が身も心も焼き尽くすと。
悦楽のもたらす陶酔への期待が二人の肉欲にさらに燃料を注いで燃え上がらせた。
「んぅ……はぁぁ……」
徐々に進み行く肉棒が濡れそぼった肉穴を掻き分けて突き進み、彼女の体内へと侵入を果たして行く。
与えられる快楽に、自然とシグナムの唇からは甘い吐息と切ない喘ぎ声が漏れる。
そして、ゆっくりと姦通を行使していた肉棒が遂にその全身を蜜壷へと埋めた。
「ぐぅ……それじゃあ、動きますよ……」
結合により与えられる快楽に呻きつつ、ヴァイスはそう言って腰の律動を始める。
ぐしょ濡れになった肉の穴を、石の如く硬くなった男根がゆっくりと抉りだした。
結合部からはいやらしい粘着質な音が響き、彼女の唇から零れ落ちる嬌声と重なり淫らな狂想曲を奏でる。
「ひゃぁっ……はぅんっ!……んぅ……ふあぁっ!」
腰の律動に肉壁を擦りあげられ、常の凛然とした様が嘘のようにシグナムは乱れた。
だらしなく開いた口からは唾液を垂れ流すと共に甘く蕩けるような喘ぎ声が漏れ、普段は凛々しい切れ長の瞳からは悦楽の悦びに涙を流して潤む。
汗により濡れる艶めいた肢体が肉棒に突き上げられる度に揺さぶられ、豊満極まる乳房の柔肉を大きく震わせた。
さながら発情しきった雌としか形容できぬ淫らな様、烈火の将でもベルカの騎士でもないただの女としてのシグナムの姿である。
ベッドに広がる長く艶やかな緋色の髪の中で雄に貫かれて乱れる様は、もはやこの世のモノとは思えぬ程に美しくそしていやらしかった。
だが圧倒的な快楽に悶えるのは彼女だけではない。
「ぐぅぅ……姐さん、もうちょい力抜いてください……これじゃ……すぐ出ちまう」
「そんなぁ……んはぁっ!……無茶なこと、言うなぁ……」
ヴァイスの訴えに、シグナムはまるでいやいやをするかのように首を横に振って応える。
彼女の蜜壷は凄まじい力で収縮を繰り返し、結合した肉棒をこれでもかと責め立てていた。
それは単に締め付けが強いなどと言うレベルの話ではない。
何箇所にも存在する締め付ける肉壁の蠢き、幾重にも幾重にも男根に妖しく絡みつき律動する肉ヒダ、さながら男を虜にする為に存在するかのような凄まじい快楽を与える淫穴。
シグナムの意思とは無関係に、一個の生命体のように彼女の秘所は雄を蕩かせる魔性だった。
その日まだ一度も射精を行っていないヴァイスには、苛烈と言って差し支えないほどの暴力的な快感である。
我慢できる限界を超えた悦楽に、彼の中の白濁が決壊するのは時間の問題だった。
快楽の頂きが近づくにつれてヴァイスの腰はどんどん動きを速く強く変化させていく。
腰が激しく動くと共に汗で濡れた肉同士が激しくぶつかり合い、泉のように果汁を溢れさせた蜜壷を肉棒が抉りこんでグチャグチャと音を立て、凄まじく淫靡で背徳的な音を奏でる。
もうすぐだ、もうすぐ最大最高の射精感が訪れる、ヴァイスはそれを求めてひたすらに彼女を貪った。
そして絶頂の頂きは、呆気ないほどにすぐ訪れた。
「がぁっ!」
苦痛とも取れるような呻き声を上げてヴァイスは全身を一瞬硬直させる。
瞬間、シグナムの体内に埋没した肉棒が欲望の白いマグマを吐き出した。
燃え盛る灼熱のような熱を帯びたソレが尿道を駆け上り、蜜壷の内部に凄まじい勢いで噴出される。
自分の体内に打ち出される精の勢いに、シグナムは耳までドクドクという音が聞こえてきそうな錯覚を覚えた。
「ふぁぁっ!……あつぅい……せいしがぁ……ヴァイスのせいし……ぜんぶわたしのなかにでてるぅ……」
火傷しそうな程に熱く煮え滾った精液を秘所で受け止め、シグナムは蕩けきった甘い声で喘いだ。
射精の熱と勢いが彼女にも絶頂をもたらし、その意識を欠片も残さず白く染め上げた。
何度も何度も脈動しながら吐き出せる限りの子種を吐き散らし、たっぷり十秒はかけてヴァイスの射精はようやく終わる。
膣では受け入れきれない凄まじい量の精液が性器の結合部から溢れ出し、愛液と交じり合ったそれはベッドのシーツに零れて大きなシミを作った。
「はぁ……はぁ……」
互いに迎えた絶頂の凄まじい快楽に、二人はただ荒く呼吸をしてその余韻のもたらす陶酔に浸る。
意識から理性が溶け出して桃色の愛欲に染まっていく。
しかし、絶頂を迎えたとは言えどたった一度の射精でヴァイスの肉欲が満足し尽くす訳もない。
彼の怒張は未だに硬度も大きさも失わず、“もっと犯したい”と無言の主張を続けてシグナムの蜜壷を貫いていた。
この事に、彼女は絶頂の余韻で意識を蕩かせながらもそっと手をヴァイスの背中に回して彼を抱き寄せる。
そして、まるで糖蜜のように甘い声で耳元に囁きかけた。
「ヴァイス……」
「姐さん?」
「我慢なんてするな……したかったら、好きなだけ私を犯して良いぞ?」
優しげで温かい微笑みを浮かべながら、シグナムは彼にそう促す。
それは淫婦のような妖しさと、慈母のような優しさが交じり合った形容し難い微笑だった。
ヴァイスは目の前の愛しい人が見せるその表情に一瞬息を飲んで魅入られる。
シグナムは自分をどこまでも受け入れてくれる、自分をどこまでも深く愛してくれる、その存在の全てを以って。
本当に心の底から彼女を愛しいと思った、恋しいと感じた。
そう思えば、いつの間にか唇と重ね合わせていた。
「ぴちゃ……んぅぅ……」
そっと触れ合わせ、軽く舌を絡めるだけの優しいキス。
でもその口付けにはどんな愛撫よりも深く心が繋がるような愛しさが込められていた。
しばしの間、二人は心も身体も繋げた。
一瞬の事なのに永久にも感じられる愛撫、互いに唇を味わうと二人はそっと顔を離す。
見詰め合う瞳と瞳、もう言葉なんていらなかった。
「ふあぁぁ……はぁぁあっ!……」
愛し合う二人の体温により空気は熱を帯び、吐き出される吐息にむせ返るような性臭を漂わせる。
後にはただ、蕩けるような雌(おんな)の嬌声に彩られながら、欲望と愛を混ぜ合わせた男女の睦み合いが続いた。
二人の契りは熱く激しかったが、ヴァイスは最初に立てた誓い通り最後まで優しく彼女を抱いた……
□
身も心も溶けるような愛欲の宴が終わり、うだるような熱気は引いて部屋の温度は僅かに下がった。
その肌寒さの中で暖を得るように、ヴァイスとシグナムは同じシーツに包まりながら一糸纏わぬ身体を寄せ合って肌を重ねている。
性交後の気だるげなまどろみ、漂う空気はどこか甘いように感じられた。
そして、シーツの中からはシグナムの少し上ずったような声が漏れる。
「んぅ……くすぐったいぞ……」
身体を寄せ合いながらヴァイスの伸ばした指に髪を撫でられ、シグナムはくすぐったそうに身をよじった。
そんな彼女の仕草にヴァイスは名残惜しそうにそっと指を離して囁くように尋ねる。
「嫌っすか?」
「別に嫌じゃないが……お前は本当に髪が好きだな」
「ええ……凄く甘くて良い香りして……触ってると気持ち良いんすよ……」
ヴァイスは少し疲れたのか、眠たそうにそう言いながらシグナムの髪を一房手に掬い指に間で弄ぶ。
彼の愛撫にシグナムはくすぐったそうに、でも気持ち良さそうに目を細める。
かつては自分の大きな胸も長い髪も、剣を振るうのに邪魔だとしか思えなかったが、今は違う。
一年以上前、ある日彼に想いを告げられて恋仲になってから、こうして愛でられる悦びを覚えて全てが変わった。
女である事すら鬱陶しいと思った事もあったが、そんな事今では想像もできない。
八神家の家族へ向けるモノとは似ているようでまるで違う、狂おしい程に愛しく恋しい感情、この世でただ一人の男にだけ注ぐ想い。
その情愛をたっぷりと込めて、シグナムはそっと囁き返した。
「そうか、なら好きなだけ触れ。私も悪い気はしない」
自然と彼女の顔には微笑みが宿り、声はさながら子をあやす様に優しげなモノになっていた。
甘い、それこそ骨の髄まで蕩けてしまいそうな空気が二人の間に満ちる。
いつまでもこのまどろみの中に浸かっていたいような気さえした。
だがシグナムはふと、表情と瞳に僅かに悲しみを混ぜて彼を見つめた。
薄暗がりの中でも意識できる視線の力に、ヴァイスは愛撫の手をそっと止める。
「なあヴァイス……」
「なんすか?」
「やはり……狙撃の任務は続けるのか?」
「……」
シグナムの言葉にヴァイスは黙りこくる。
その日の狙撃任務の最後に彼が倒れたと聞いてからシグナムは気が気ではなかった。
アルトからの連絡で彼の容態に問題はなく無事だと聞いても仕事にほとんど手が付かず、無理を言って早退し彼の家まで押しかけた。
それで帰ってきたヴァイスを迎えようと料理を作り風呂を沸かし、彼と何度も身体を契った。
それでも不安の影は消えない、心配で堪らない。
「このまま続けたらいつか身体を……下手をしたら心を壊すぞ? もうしばらくヘリパイロットだけでも……」
「姐さん」
不安そうな口ぶりで話すシグナムにヴァイスが一言、冷たく突き放すような響きの声で遮った。
彼のその言葉の残響に、シグナムの言葉は一瞬で止まる。
「ダメなんっすよ……今しか……今じゃないと……」
まるで内臓を搾り出すような声で、さながら地獄で懺悔するような声で彼は呻いた。
「一年前のJS事件の時……ティアナを助ける為にまたストームレイダーを握ってから、俺は決めたんです……もう二度と外さない、二度と引き金から指を離さないって」
彼が語るのは固く誓った決意、決して曲げる事を自分自身が許さぬ不退転の誓い。
かつて大切な肉親を傷つけたトラウマを完全に克服できず未だに悪夢にうなされようと、ヴァイスはもう絶対に狙撃任務から逃げる事を止めた。
それがどれだけ自分の心と身体を蝕んだとしても……
「姐さんが心配してくれるのは嬉しいですよ……でも、これだけは貫きたいんですよ……つまらない意地ってヤツを」
その言葉にはいったいどれだけの思いが、決意が込められていたのか。
この一年、彼と誰よりも時間を共にし、身も心も重ねてきたシグナムには痛いほど理解できる。
一度男が立てた誇り、どれだけ彼を案じたとしてもシグナムにそれを反故にする事は叶わなかった。
「そうか……ならもう何も言わん……」
彼女の唇から哀しげな残響が漏れると同時に、そのしなやかな腕がヴァイスを抱き寄せた。
極上の柔らかさと大きさを誇るシグナムの胸にヴァイスの顔が引き寄せられる。
肌が溶けてしまいそうな体温が、どこか甘い芳香が、静かに響く心臓の鼓動と小さな息遣いが、その全てが疲弊したきった男の心を癒す。
「せめて今は、辛い事を全部忘れろ」
温かい、単に抱きしめられた身体の温度の問題ではなく、自分に向けられる愛情の深さに心の底に熱が生まれるのをヴァイスは感じた。
その瞬間だけは全ての苦悩と疲弊がまどろみと共に溶け切り、ただ甘い陶酔に沈むことができた。
「すいません……姐さん……それじゃあ、今だけ……ちょっと甘えさせてください」
ヴァイスはそう言うと、彼女の胸にギュッと顔を埋めた。
包み込むような柔らかさと微熱が彼の意識を眠りの世界に誘う。
ヴァイスは決して逆らう事無く、その誘惑に負けた。
自分の胸の中で眠り行く彼を、シグナムはまるで乳飲み子をあやすように優しさの限りを込めて抱きしめた。
それは敵を焼き尽く猛き烈火ではない。
言うなればそれは灯火。
心の奥に温かく淡い熱を宿し、道に迷った男を照らし導く。
どこまでも深い愛を燃料に、優しく燃え盛る小さな炎だった。
甘いまどろみの中、灯火は愛しい男を抱いてただ彼の痛みを溶かしていた。
終幕。
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著者:
ザ・シガー