◆第14話 「新しい風」
「こっちなのです」
「ここはいい村なのですよ」
「きっと都会になかったものがあるのです」
「……そして この村にないものを」
「都会のあなたが持ってきてくれるのです」
「……ボク達はこの村で何百年もこうしています」
「そこには誰も訪れず 何も起こりませんです」
「……そして何も変えられない」
「……だらか ボク達も新しい人を迎えたい」
「この村が水を堰き止められた澱んだ沼なら」
「その堰を打ち破る清流となって欲しい」
「……そしてあなた達が教えてくれるのよ」
「堰は破れるものだ 破るものだ ってね」
「引っ越してくるのを待っていますですよ」
「前原――」