移動平均は、直近のある期間の平均的・大局的な姿であるから、
・日々の終値が移動平均線より上にくれば「平均的なところより買われている」
・日々終値が移動平均線より下にくれば「平均的なところより売られている」
と見ることができるし、
・移動平均線が上向きならば概ね上昇トレンド
・移動平均線が下向きならば概ね下降トレンド
・移動平均線が水平ならばトレンド無し
と見ることもできる。
ただし、これらは「過去のデータから経験的に」「結果論的に」そう言われているだけで、本当にそうなるかどうかは、あくまで「将来の事は誰にも分からない」ことは重々注意して欲しい。
移動平均の計算期間が短い「短期線」は、実勢の為替レートの動きに近いグラフを描く。極端すれば日足のMA1は普通に終値を結んだだけだ。
短期線はトレンドの転換に俊敏に反応してくれる一方で、ちょっとした値動きにも反応するため「ダマシ」を起こしやすい。例えば、上昇トレンドではないのに、ちょっとした買いに反応して移動平均線が上昇線を描き出してしまうことがある。
反対に、移動平均の計算期間が長い「長期線」は、計算期間が長いために価格の変化がゆるやかで、トレンドの転換には鈍感となる。実際の動きからもかなり遅れて滑らかにしていく。計算期間が長いがゆえに「かなり古いレートの影響を受けすぎる」という欠点もある。
移動平均線から売買のタイミングを見る方法としては、
・終値が移動平均線を上回ったら買いシグナル
・終値が移動平均線を下回ったら売りシグナル
とみなすことも出来る。
なお、移動平均線を使う場合は、1つの移動平均線に頼るのではなく、いくつかの期間の違う移動平均線の動きを観察したほうが良いとされる。
期間の異なる移動平均線を使っていると、その両者がときどきクロスすることがある。
「短期線が中期線を上回る」(短期線の方が動きが早いので、あたかも、緩やかな中期線を短期線が下から上に横切ったように見えるので、こう言う)ことを「
ゴールデンクロス」といい、相場は上昇トレンドに入ったといえる。
逆に、「短期線が中期線を下回る」ことを「
デッドクロス」といい、相場は下降トレンドに入ったといえる。
ただし、いずれにせよ、移動平均線は相場が動いてから反応するため、「指標としては遅い」ということが要注意だ。ある日の移動平均の値が出るのは、その終値が確定した時つまり翌日であり、ゴールデンクロスしたかデッドクロスしたかどうかが分かるのは、実際にトレンド転換があってから1〜2日ほど既に経過した後ということもあるのだ。
なお、移動平均線を使った買いシグナル・売りシグナルには「グランビルの法則」と呼ばれる8つの法則がある。(グランビルの法則の具体的な説明は例えば
こちら)