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水曜スペシャル 川口浩 探検シリーズ




「そりゃあ娯楽番組だから多少の演出はありますよ。でも、全部が作りモノだなんていうのは、評判がいい事をねたんでの中傷としか思えないね」
「初めて人が入る洞窟でカメラが前から撮っているのはおかしいって?僕を写さなきゃ番組にならないでしょう。それより撮影機材を洞窟に入れるのは大変なんですよ」
「本当の苦労は、とても撮っている余裕がないんですよ」
「とにかく、僕らといっしょに来てもらえば、どんなに大変か分かりますよ。今一番ハードな制作現場である事は確かです」
・・・生前、そう語っていた川口隊長。 その言葉の重みが、この一連の洞窟探検シリーズからはひしひしと伝わって来る。



ともすれば嘉門達夫の例の歌の影響からか、茶化した調子でツッコミを入れたがる輩のやたら多い川口浩探検隊。
だが、そこで思考停止に陥らず、もっと深く見ていくと、この番組の本当の姿が見えて来る。
確かに世間であれこれバカにされたような演出は多い。というより、それなしでは番組自体が成り立たない
(「ジャングルに行きました、何も起こりませんでした、何も出て来ませんでした、おしまい」じゃ話にならない。
笑ったり批判したりしてる連中は、そこまで考えてモノを言ってるのだろうか・・・?)。
だが、同時に言えるのは、演出だけでも成り立たない番組だったという事。
そうでなければ、あれだけの凄い映像を作れるはずがないから。



遂に我々は黒い王者ラジャシタンを捕らえた
決死の追跡の果てに、人食いドラを打ち倒したのである
その巨体を収めるために、我われは新たな檻を作成した
200kgを越すトラを運ぶのは容易なことではない
丸太が肩に食い込んでくる
既に人食いドラはハンターの撃った麻酔弾で眠っているのだが
何時覚めるとも知らない不気味さを持っている
15人もの人々を食い殺した牙は太く鋭い
強力な顎で人々の骨を噛み砕き肉を食いちぎったのであろうか?

生死をかけた人喰いドラの追跡は7日間に達した
我われの眼前で展開された野生動物の凄惨な死闘
茂みの中よりいつ襲うとも知れぬ人喰いドラの恐怖
それらはみな吾々の命を脅かす危険に満ちていた…

だがしかし吾吾はそれらの危険を克服し、遂に人食いドラを捕らえることに成功した
常に沈着冷静であったハンター達
彼らは獰猛で野蛮なトラを相手に堂々と戦い勝利を収めたのである

捕獲された寅はやがて動物園で保護される
このスマトラには現在でもとらを死者の魂として敬う習慣が残っているという

例えそれが15人もの村人を食い殺した憎い虎とはいえ彼らは殺す事を拒んだ
そこには我われの理解を超えた人と動物とのつながりがあった

既に我我人間の開発の手は地球の隅々にまで及ぼうとしている
自然形態を破壊され追い詰められていく野生動物たちは
なす術もなく死を待たねばならないのであろうか?
我われが捕獲した寅はそうした状況への虚しい反抗を試みたのであろうか?
我々は今一度人間と動物との繋がりを根底から問い直さねばならない!