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メーカー:TYPE-MOON

続編
Fate/hollow ataraxia

スピンオフ
Fate/Zero

あらすじ

プロローグ
日本のとある地方都市「冬木市」に数十年に一度現れるとされる、持ち主のあらゆる願いを叶える「聖杯」。7人の魔術師(マスター)は7騎の使い魔(サーヴァント)と契約し、聖杯を巡る抗争「聖杯戦争」に臨む。聖杯を手にできるのはただ一組、ゆえに彼らは最後の一組となるまで互いに殺し合う。ただし、この闘いも魔術も一般人には厳に秘匿されていた。高校二年生の冬に、遠坂凛は前回の聖杯戦争で命を落とした父の遺志を継ぎ、聖杯戦争に挑もうとしていた。凛は男性のサーヴァントを召喚するが、彼は年若い魔術師である凛を侮る態度に出たため、思い通りに動かそうと回数制限のある絶対命令権である令呪を使用するという暴挙に出てしまう。抽象的な命令のため効果は薄かったものの自身に作用してくる卓越した魔力に、凛をマスターと認めた彼はアーチャー(弓兵)のサーヴァントだった。 翌日 凛は学校に構内の人間を害する目的の結界が張られていることに気付き、学生の居ない夜間に調査を開始するが、そこに別のサーヴァント ランサー(槍兵)の妨害が入りアーチャーと戦闘になる。しかし この戦いを学生に目撃されたランサーは口封じのためにその学生を殺害してしまう。その学生の衛宮士郎は凛にとっては密かにであるが大切な縁があったため、出来る限りの蘇生魔術を施してその場を後にするが、ランサーが殺しそこなった目撃者を見逃すはずは無いと気付き、アーチャーと共に士郎の家に向かったところ、衛宮邸前に現れた新たなサーヴァントに襲撃される。そのサーヴァントは小柄な金髪の少女で、凛が真に召喚を望んでいたサーヴァント セイバー(剣士)だった。 士郎は10年前(1994年)に起きた冬木大火災の生き残りで、養父の跡を継ぎそこなった半人前の魔術師だった。高校生になっていた士郎はある日、夜の学校で偶然にもアーチャーとランサーによるサーヴァント戦を目撃したことから、ランサーに殺されかかるが駆けつけた凛によって蘇生魔術を施され帰宅する。だが自宅でランサーに再度襲撃されたため庭にある蔵へ逃げ込むんだところ、蔵の床に描かれていた魔法陣が発動し、奇縁によりサーヴァントの1人 セイバーが召喚され、士郎自身も聖杯戦争に巻き込まれることとなる。自分を災害時に救ってくれた亡き養父 衛宮切嗣のような「正義の味方」になりたいと願う士郎は、無関係な犠牲者を増やさないために聖杯戦争に参加することを決意する。

Fate
士郎とセイバーは様々な強敵たちと対抗するため、凛やアーチャーと共同戦線を張ることとなる。激闘の末、セイバーは「約束された勝利の剣(エクスカリバー)」を使用して間桐慎二のサーヴァントであるライダーを撃破。エクスカリバーを使ったことでセイバーの真名はアルトリア(アーサー王)であることが明らかとなり、王の選定の剣を抜いた時から成長が止まり、少女の身のまま男性として振る舞ってきたことが語られる。その後 イリヤスフィール・フォン・アインツベルンの城にて士郎たちは最強の敵 バーサーカーと対峙する。一度はアーチャーを失うという敗北を喫するも、雪辱戦では士郎がセイバーの失われた選定の剣「勝利すべき黄金の剣(カリバーン)」を投影してバーサーカーを倒す。サーヴァントを失ったマスター イリヤスフィールは衛宮邸で保護され、アーチャーを失った凛も引き続き士郎に協力することになる。だが間もなく、存在しないはずの8人目のサーヴァント ギルガメッシュが現れ、その圧倒的な力でキャスターを撃破するという事件が発生する。士郎は単身、8人目のサーヴァントというイレギュラーについて監督役の言峰綺礼に聞き出そうとするが、その言峰こそがギルガメッシュのマスターであり、また残るランサーも言峰がほかのマスターから略奪したサーヴァントであったことが判明する。言峰は士郎を聖杯戦争の勝者と認め、聖杯を士郎に与えると言い、聖杯の力であれば10年前の災厄もなかったことにできるだろうと語りかける。しかし 士郎は「起きたことはやり直せないし、そんなことはしてはならない」と言い、それを聞いたセイバーも「王の選定をやり直す」という自身の願いを改める。しかし、聖杯は万能の盃などではなく、呪われた力の渦に過ぎないことが言峰の口から明らかとなる。間もなく窮地に陥る士郎とセイバーだったが、ランサーの命を賭した足止めによって難を逃れる。 直後、言峰は衛宮邸を襲撃して聖杯の器であるイリヤスフィールを誘拐し、自らが聖杯を召喚しようと企てる。士郎は聖杯の破壊をセイバーに提案し、セイバーは士郎に同意する。そして 士郎は自身に埋め込まれていたエクスカリバーの鞘「全て遠き理想郷(アヴァロン)」をセイバーに返還。「全て遠き理想郷」はギルガメッシュの「天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)」の一撃をも防ぎ、セイバーはギルガメッシュを倒し、また士郎も「全て遠き理想郷」を投影し因縁の敵である言峰を倒す。士郎は最後の令呪によってセイバーに聖杯の破壊を命じ、イリヤスフィールを救出する。そしてセイバーは、士郎に愛の告白をして彼の前から姿を消す。聖杯戦争によって起きた被害は、教会から派遣された新しい神父によって元の形を取り戻した。士郎は凛から「セイバーが消えて、もっと落ち込んでいるかと思った」と問われるが、「未練なんてきっとない。いつか記憶が薄れても、セイバーが好きだったことはずっと覚えてる」と言い日常へ戻る。セイバーもまた過去に戻り、ベディヴィエールにエクスカリバーを湖に投げ入れるように命じ、剣が湖の乙女に返還されたことを聞き届けたのち静かに安らかな眠りにつく。

Unlimited Blade Works
紆余曲折の末、凛やアーチャーと同盟を結ぶことになった士郎とセイバーだったが、士郎はアーチャーと反りが合わず、アーチャーからも「理想を抱いて溺死しろ」とまで告げられる。それでも士郎は何故かアーチャーの刀や剣技に惹かれていくのだった。冬木市内で魔力を集めるために暗躍するキャスターは士郎を柳洞寺におびき出して自分と手を組むよう迫るが、士郎は乗り込んできたアーチャーとセイバーに救われる。その際、柳洞寺の山門の守護にあたっていたアサシンは実はキャスターの傘下にあったことが判明する。さらに士郎と凛は学校に張られた結界の対応にあたるが、結局結界は発動し、その後の戦闘の中で結界を張っていたライダーが何者かに敗れて脱落する。キャスターのマスターは実は凛の担任教諭・葛木宗一郎であり、ライダーを斃したのは彼だった。キャスターの策略によりセイバーと士郎との契約は断たれ、セイバーの令呪はキャスターに奪われてしまう。サーヴァントを失った士郎だったが、なおも単身で聖杯戦争を続行する。続いてアーチャーが離反してキャスターに与し、孤立した凛は士郎と行動を共にして打開策を練る。同盟相手を模索してアインツベルンの城を訪れるが、そこで士郎たちはバーサーカーが間桐慎二率いるギルガメッシュに敗れ、イリヤスフィールも心臓を抉られて殺害されるという場面に遭遇する。途方に暮れる2人だったが、ランサーの協力を得たことで再びキャスターに挑む。苦戦を強いられる士郎たちだったが、裏切ったアーチャーによってキャスターと葛木は倒される。しかし アーチャーは凛の元へは戻らず、士郎にその刃を向ける。そこでアーチャーの目的が士郎の殺害であるということが判明する。そこで凛は救出されたセイバーと再契約して危機を脱するが、アーチャーの宝具と言わしめる魔術、固有結界「無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)」を見せつけられ、決闘を条件として凛を攫われてしまう。アインツベルンの城で、アーチャーの正体は未来において英雄になった衛宮士郎であること、またその末路を聞かされ、「お前の理想は間違いだった」と告げられるが、士郎はそれを否定し対決する。一方で拘束されていた凛はランサーによって救出されるが、ランサーはマスターである言峰と相打ちになって果てる。未来の自分の姿であるアーチャーに士郎は苦戦し、また アーチャーは士郎の理想を衛宮切嗣の借り物にすぎないと否定して士郎を追い詰めるものの、士郎もまたその理想が間違いではないという信念を貫く。その様を見たアーチャーはかつての自分を思い出して次第に手が止まり、最後は士郎を認め敗北する。そして終結の最中に突如として現れたギルガメッシュの攻撃から士郎を庇い「お前が倒せ」と言い残してアーチャーは消える。柳洞寺にてギルガメッシュは聖杯の器であるイリヤスフィールの心臓を慎二に埋め込んだ不完全な聖杯、アヴェンジャーを現界させる。士郎と凛は聖杯のもとへ、セイバーはギルガメッシュのもとへと二手に別れて向かうが、士郎達の前にギルガメッシュが現れ、セイバーはなおも山門を守護していたアサシンに阻まれる。凛は慎二の救出へと走り、そして士郎はギルガメッシュと対峙する。ギルガメッシュの圧倒的な力に劣勢を強いられる士郎であったが、アーチャーの固有結界である「無限の剣製」を自身の手で発動させたことによって形勢を逆転させ、ギルガメッシュを追い詰める。一方、凛は消滅を免れていたアーチャーの援護もあり、聖杯の核となっていた慎二の救出に成功し、アサシンを破ったセイバーの宝具によって聖杯も破壊された。核を失った聖杯は、士郎と交戦中だったギルガメッシュを新たな核として取り込もうとするが失敗し、ギルガメッシュを巻き込んで消滅する。そして アーチャーは凛に士郎の後事を託し、満足しながら消滅する。その後 日常に戻った士郎は理想の自分と対峙したことを感慨深く振り返り、理想を追い求める決意を固める。アーチャーもまたかつての自分と対峙したことを抱きつつ、正義の味方になることを誓った切嗣との思い出の光景を浮かべながら、「それでも―俺は、間違えてなどいなかった―」と口にし、自分を受け入れていくのだった。

Heaven's feel
凛に同盟を提案されるがこれを拒否した士郎とセイバーは、新都で一般人を襲っていたライダーとそのマスターである間桐慎二に勝利する。敗北のショックで荒んだ慎二から守るため、士郎は慎二の妹である間桐桜を衛宮邸に匿う事を決める。その頃、桜たちの祖父である魔術師・間桐臓硯によって柳洞寺のアサシンを生贄にもう1人のアサシン(真アサシン)が召喚される。またキャスターやランサーは何者かの策略に嵌まり早々に脱落する。監督役である言峰綺礼からも警戒を促された士郎は、セイバーとともに夜の市内巡察を行う。そして士郎や凛たちは、深夜の市街地で謎の「黒い影」と遭遇する。なおも探索を続けていた士郎とセイバーだったが、セイバーが真アサシンに敗れ、黒い影に取り込まれてしまう。サーヴァントを失った士郎だったが、ライダーが実は桜のサーヴァントであったということ、そして 桜とその命は臓硯の手中にあるということを知らされる。冬木に被害をもたらすかもしれないという桜を士郎は守ると誓う。士郎はイリヤスフィールを頼ろうとするが、そこで士郎は消滅したはずのセイバーがバーサーカーを破る光景を目撃する。真アサシン、そして黒い影を味方に付けたセイバーは士郎たちにも牙を剥くが、アーチャーの犠牲によって士郎たちはなんとか生還する。そしてそこで左腕を失った士郎は、アーチャーの腕を移植することで命脈を保つ。衛宮邸で安静にしていた桜であったが、その実聖杯の器として既に覚醒しており、黒い影を操る正体であったことが判明する。ギルガメッシュをも取り込んで力を得てしまった桜は、兄・慎二を殺害してしまったことから遂に正気を失ってしまう。真の聖杯の器であるイリヤスフィールを連行した桜と臓硯であったが、士郎は言峰と協力してイリヤスフィールを奪還するがそこで士郎はセイバーと同じく黒い影に囚われたバーサーカーと対峙し、アーチャーの腕を解放することによって限界以上の力を発揮する方法を自覚し、バーサーカーを撃破した。間桐臓硯は聖杯として膨大な魔力を得た桜に離反され、真アサシンも桜によって殺害される。桜を救いたいというライダーの協力を得た士郎は、セイバーを激闘の末に倒す。また時を同じくして凛は桜に挑むが、情から桜を殺すことができずに敗れ、桜は罪の意識にさいなまれる。そこへ現れた士郎によって桜はついに黒い影から解き放たれ、臓硯も現れたイリヤスフィールと対峙し、この世への未練を捨て去り昇天する。大聖杯を破壊するために1人残った士郎だったが、そこへアヴェンジャーの誕生を悲願とする言峰が現れる。士郎は言峰と激闘を繰り広げ圧倒されるが、言峰もまた既に限界を突破しており、その戦いの最中に息絶える。士郎は最後の力を振り絞って大聖杯を破壊しようとするが、イリヤスフィールがそれを制止し、その力を使い果たして大聖杯の起動を収めた。士郎は肉体こそ死亡したが魂だけは生存し、第三魔法によってその魂を新たな身体に移す事に成功、これによって第五次聖杯戦争はその幕を閉じた。

登場人物

セイバー
士郎と契約した剣士の英霊。外見は美しく華奢な少女だが、サーヴァント中最も安定して優秀と謳われるクラス「セイバー」に召喚されたほどの英雄。ただし、未熟なマスターである士郎との契約が原因で魔力の供給が十分ではなく、思うままに力を振るえずにいる。性格は良く言えば実直で生真面目だが、悪く言えば融通の利かない頑固、そして負けず嫌い。凛とした表情を滅多に崩さないが、怒ると怖い。その一方で時折、年相応の少女らしさを見せることもある。かなりの健啖家であり(本人曰く「魔力の供給不足を補うため」だが、作中で士郎に疑問視されている)、またの名を「腹ペコ王」。正体は世界的に有名なイングランドの伝説的英雄、アーサー王。作品中の設定では、選定の剣(カリバーン)を岩から引き抜いた「アルトリア」という少女が性別を男と偽って「アーサー」を名乗り、王になったとされる。肉体の成長はその瞬間から止まってしまった。国のために身を捧げるも結局国を護ることができなかった後悔から、自分は王にふさわしい器ではなかったと感じ、新たに王の選定をやり直すために聖杯を求めている。実は彼女は他の英霊達と違ってまだ死んでおらず、死の寸前で「聖杯を手にすること」を求めて世界と契約し、生きている状態のまま様々な時空間に呼び出されている。聖杯を手にし、世界との契約が達成された暁には本来の時間に戻り、願いを叶えた後にそのまま死を迎え、はじめて正式に英霊となることになる。そのため、生者である彼女は霊体化することができない。既に生前の時点で、選定の剣「勝利すべき黄金の剣(カリバーン)」は折れてしまっており、また、使用者を妖精郷に隔離することであらゆる物理干渉や魔術干渉、さらには魔法や平行世界・多次元からの干渉すらも遮断し、また傷や病、老化をも癒す、ランクEXの結界宝具全て遠き理想郷(アヴァロン)も彼女の手元から失われてしまっている。しかし、サーヴァントとしての彼女は、風を纏わせ武器を透明化することで間合いを測らせない第二の鞘「風王結界(インビジブル・エア)、使用者の魔力を“光”に変換し究極の斬撃として放つ星の鍛えた聖剣「約束された勝利の剣(エクスカリバー)」の二つの宝具を持つ。また、前述の「全て遠き理想郷(アヴァロン)」も、士郎の体内に埋め込まれる形で第五次聖杯戦争に存在しているため、ルートによっては士郎からセイバーに返還され、第三の宝具となる。宝具以外にも、髪結の精霊キューティクル、メデュラなどの多数の精霊の加護を得ている。10年前 前回・第四次聖杯戦争でも、士郎の養父でもある切嗣によってセイバーのサーヴァントとして呼び出されている。

セイバーオルタ
"Heaven's Feel"シナリオにおいて黒化した姿。容姿も属性も完全に変貌し、半ば殺人マシーンじみた強敵として士郎の前に立ちふさがる。存在しないはずの8人目以降のサーヴァントのうち10人目とする解釈もあるが、手段を選ばなくなっただけで本質はセイバーと同じものであり別人ではない。宝具『約束された勝利の剣』は、本作では通常時のセイバーと同じく「エクスカリバー」表記であるが、通常時と区別して「エクスカリバー・モルガン」としている作品もある。

遠坂凛
士郎と同じ穂群原学園(2年A組)に通う女生徒で、魔術師。アーチャーのマスター。亡き父の遺志を継いで聖杯戦争に臨む。家訓「どんな時でも余裕を持って優雅たれ」を実践する。学校では男女問わず絶大な人気を誇る美少女であり、主人公の衛宮士郎も1年生の頃から彼女に憧れを抱いていた。学校では優等生を演じているが、実態は猫かぶりであり、その本性は士郎によると「あかいあくま」。魔術師としての誇りや元来のプライドの高さゆえに誤魔化しているが、実はかなりお人好しな性格である[注 27]。その性格からアーチャーからは「凛は戦いには向いていない。魔術師ならば志より結果を取るべきだ。」と指摘されている(この性分は父 時臣が死んだことで彼の魔術師としての冷酷な本性を知らなかったが故に形作られたものであり、もし時臣が生存していた場合は影響を受け、魔術そのものを忌避するか父同様の冷酷な魔術師となるかのどちらかだったとのこと。)。アベレージ・ワンと呼ばれる五大元素使いの魔術師として高い実力を誇るも、先祖代々の遺伝で肝心な所でミスをする悪癖がある。遠坂家の魔術である「力の転換」によって魔力を込めておいた宝石を用いる宝石魔術や、相手を指差すことで人を呪う北欧の魔術「ガンド」を得意とする。また、言峰から指南されていた影響で八極拳も用いる。料理の腕前は、少なくとも得意の中華料理に関してなら士郎より上。ただし和食に関しては味噌汁の作り方すら知らない。趣味は士郎いじりと宝石磨き。寝起きはかなり悪い。遠坂の魔術の性質上、高価な宝石を多用する必要があるため、お金に細かい。士郎と共同戦線を張り、彼の魔術を指導するために衛宮邸へ居候するが、家主の士郎よりも権力を振るう。

間桐桜
慎二の妹。穂群原学園に通う士郎の1年後輩で、士郎にとっても妹のようなであり、存在穏やかな性格の美少女。弓道部所属。ある出来事をきっかけに、1年ほど前から毎日士郎の家に朝食と夕食を作りに来ている。以前は暗い雰囲気だったが、士郎や大河の影響で随分と明るくなり、笑顔を見せるようになった。今や洋食に関しては料理の師である士郎よりも上。士郎は気付いていないが、彼のことを恋い慕っている。聖杯戦争や魔術師に関しては何も知らない、一般人のはずである。実は彼女も魔術師であり、ライダーの正式なマスターである。さらに彼女は遠坂凛の実の妹で、旧姓は遠坂桜。幼い頃間桐の家に、養女として迎えられている。遠坂の魔術刻印の継承者にして姉である凛に対しては、憧れと同時に強いコンプレックスを感じている。元々聖杯戦争に関わる意志が無かったため、最初の2つのルートではマスターとしての権利を最後まで義兄の慎二に委ねている。身体に合わない間桐の魔術に無理矢理馴染ませるべく、長年に渡り、蟲による調整を受け続けてきた。そのため、元は凛と同じだった髪や瞳の色が一変するほど体質が変化した。前回の聖杯の破片から作られた刻印蟲を心臓に植え付けられているため、今回の聖杯戦争におけるもう一つの聖杯でもある。ただし不完全であり、本来なら完成に至ることはないが、Heaven's Feelルートにおいて、士郎と恋人となったことによって「士郎を失いたくない」という恐怖心や間桐臓硯の策略もあり、鬱屈していたネガティヴな感情が噴出することで中身の成長を促し完成する。第三次聖杯戦争の時から大聖杯内に留まる「この世全ての悪(アンリマユ)」と接続した影響で黒化反転した事により、根底から人格が一変した禍々しい姿「マキリの杯」(俗に「黒桜」と呼ばれる)となり、心ならずも冬木市で大虐殺を行うこととなる。

サーヴァント
ライダー
桜がマスターとして召喚されるも戦闘を拒否したため、偽臣の書を通して慎二を代理マスターとして仮契約した騎兵のサーヴァント。女性の英霊で、その名のとおり高い騎乗能力と機動力を持つ上に豊富な宝具を用いる。また、後述する神性に由来した魔術を扱うことも可能である。常に目隠しを装着しており、武器は鎖の付いた鉄杭である。長身で女神にも喩えられる妖艶な美貌と、それに似つかわしくない奥ゆかしく思慮深い性格なために人気は高く、専用ルートがないにもかかわらず健闘を見せた。 真名はギリシャ神話に登場するゴルゴーン3姉妹の末妹・メドゥーサ。怪物に貶められたが本来の彼女は地母神の一柱であり、その名残りとして神性Eのスキルを所持している。最高クラスの石化の魔眼「キュベレイ」を有するが、普段は、強力な幻術結界であると同時に、相手の能力発露を封じる対人宝具「自己封印・暗黒神殿(ブレーカー・ゴルゴーン)」によって自ら封じている。石化の魔眼は常に魔力を消費するが、相手がサーヴァントであろうと高ランクの魔力や加護がなければ問答無用で石化し、またたとえ石化が防がれても全ステータスを1ランク下げる重圧の効果を及ぼすという、非常に強力な武器である。この効果は距離を置くと薄れるが、ライダーが認識せずとも相手がライダーを認識しただけで石化が始まる。そのほかに、内部の人間を溶解し魔力として使用者に還元する赤い結界を張る対軍宝具「他者封印・鮮血神殿(ブラッドフォート・アンドロメダ)」と、騎乗できるものなら幻想種をも御し、更にその能力を向上させる「騎兵の手綱(ベルレフォーン)」といった、合計3つの宝具を扱う。また、彼女の仔とも言える天馬を血の魔法陣から召喚し騎乗することで戦う。特にベルレフォーンは攻守ともに破格の宝具であり、バーサーカーが相手であろうと1回は確実に殺すことができる。純粋な火力系ではなく、体当たりであるゆえに「突き穿つ死翔の槍」などとの相性が良くないとされる場合もあるが、どんな物量を相手にしても安全かつ瞬時に突破可能な点で破格の対軍宝具である。マスターの魔力量によっては、これらの宝具を同時発動させることも可能である。触媒はエトルリアの古い神殿で発掘された鏡だが、実際にはサーヴァントを召喚する縁としては弱い。しかし、触媒を用いずに召喚した場合は特に召喚者と精神的、存在的傾向が近い英霊が選ばれるという法則があり、メドゥーサが喚ばれたのはむしろ、召喚者である桜との共通点、すなわち「周囲の悪意による被害者であるゆえに次第に怪物へと歪んでゆく」という点で近い境遇にあったためである。この共通点のため、マスターである桜に対して、かつての自分を見るかのような感情を抱いており、彼女を常に気遣い、その運命を案じ、誰であろうと彼女に危害を加える存在を許さない。ルートによっては士郎と協力し、アンリマユと契約した桜を救うために奮闘する。

キャスター
魔術師のサーヴァント。ローブに身を包んだ女性の英霊で、魔法こそ習得していないものの、魔法に近いレベルの神代の超高等魔術を平然と扱い、魔術師としての能力は魔法使いと同等、もしくは上回るというレベル。現代で魔術師として比べるなら最強で、対人間では最大最悪の戦果を上げるサーヴァント。しかし 大抵のサーヴァント、特に三騎士のクラスに召喚されたものは対魔力を備えているため、魔術が主な攻撃手段となるキャスターは全サーヴァントの中でアサシンと並んで最弱とされているが、戦略はほかのサーヴァントにはないほどの最高クラスである。そのため、得意である策略を巡らして着実に力を蓄えており、凛からも「一番厄介なサーヴァント」と評されている。真名はギリシャ神話に登場する裏切りの魔女メディア。宝具は裏切りの魔女である自身の象徴が具現化した、あらゆる魔術による生成物を初期化する短剣である対魔術宝具「破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)」。自身を召喚したマスターと性が合わず、下らぬ命令で令呪を消費させ殺害した。その後、ランサーに襲われて辛くも大聖杯が眠り、霊脈としても優れる柳桐寺の近くまで逃げ果せるも現界を保てず消滅してしまう危機を葛木宗一郎に救われ、柳桐寺に連れ込まれる事で消滅を回避した。現在のマスターである葛木に寄せる想いは、単なるマスターとサーヴァントの関係以上である。柳桐寺を自分の神殿とし、街中の人々から生命力を吸い上げて自分の魔力にしている。また、ルール外にアサシンを召喚することで、正規のマスターとなるはずだった人物からサーヴァントの権利を奪っている。ルートによっては、真アサシンでもない限り感知されずに侵入することが不可能である衛宮邸の結界を掻い潜って魔力の糸を通した上、士郎の行動を操って殺す寸前に至ったり、結界自体を強引に断ち切ったりという芸当をやってのける。ローブを蝶の羽のように変化させて浮遊することができ、接近戦しか攻撃手段を持たない者に対してはかなりのアドバンテージを得ることができる。ファンディスクでは、ヘカティック・グライアー(灰被りの花嫁。メディアが城を焼き尽くしたウェディングドレス。 )という、宝具に匹敵する威力の直径数mのビーム魔術を披露した。「金羊の皮(アルゴンコイン)」というドラゴン召喚触媒(精霊つき)を所持しているが、竜を召喚・使役するスキルがないため、無用の長物と化している。仮にコルキスの竜とタッグを組んだ場合であっても、コルキスの竜はあまり強くないらしく、中堅がせいぜいだという。「破戒すべき全ての符」はキャスター本人が使用すればサーヴァントとの契約を無効にすることはおろか、令呪諸共契約の主導権自体を奪い取ることすら可能であり、それによってキャスターはセイバーとアーチャーを支配下に置いた。

聖杯戦争に参戦したマスター達
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン(Illyasviel von Einzbern)
バーサーカーのマスター。「雪の妖精」を思わせる小柄な少女。愛称はイリヤ。聖杯戦争のためだけに育てられた、マスターとして最強の存在。基本的には素直で無邪気、天真爛漫な性格だが一般的な常識や倫理観が乏しく、特に殺人に抵抗がない(ただしあくまで敵として認識した相手に対してであり、無関係な民間人を手にかけるほど残忍ではない)。夜に出会えば危険極まりないマスターであるが、昼の商店街に現れたときは人との触れ合い方を知らない臆病な面も見せている。魔術師としては余り洗練されていないが、肉体が魔術回路そのものであり特別製の令呪仕様のため、最高のマスター適正と魔力を持つ。士郎を「お兄ちゃん」と呼んで慕い、戦争開始直後より執着する。バーサーカーは最強の従者であると共に、冬の城で孤立したイリヤにとっての父親のような存在でもあり、普通のサーヴァントとは一線を画す絆がある。普段の立ち居振る舞いは幼いが、魔術師・貴族の姫として威厳のある一面もあり、「妹」ではなく「姉」としての顔を垣間見せる時もあるなど、様々な側面を併せ持つ。本来は専用ルートがあったが、時間の都合でカットされたという経緯がある。衛宮切嗣とアインツベルンのアイリスフィールとの間に生まれた実娘で、実年齢は18歳であり、士郎にとっては非血縁の姉にあたる。母のアイリスフィールはアインツベルンの錬金術が生み出したホムンクルスであり、彼女もまた母の胎内にいる時からアインツベルンより様々な魔術的調整を施されており、その影響で肉体の成長が二次成長で止まっている。切嗣は第四次聖杯戦争終了後に何度かイリヤに会いに行こうとしたが、アインツベルンの結界に阻まれて会えなかったにもかかわらず、ユーブスタクハイトの偏った入れ知恵により、切嗣が自分と母を捨て最後の最後でアインツベルンを裏切ったと吹き込まれたことで切嗣を憎んでいるが、故人と知った時に悲しむなど内心複雑な模様である。士郎のことは最後の家族としても見ており、彼を失い再び孤独になることを何よりも恐れている。士郎を直接手に掛けないのは、自分自身で最後の家族を消すのが怖いためである。今回の聖杯戦争の聖杯であり、同じく聖杯である桜をどことなく苦手としている。アインツベルンから失われた第三魔法「魂の物質化」、"天の杯(ヘブンズフィール)"に至るための器(願望機)の身体(正確には心臓部分)でもあり、魂を取り込むことで魔術は理論を省略して「結果」のみを現出でき、それがイリヤの魔力で叶うことならば、イリヤ自身はそのために必要な魔術理論を知らなくとも行使できる。両親が冬木へ向かった後の過去やバーサーカーとの信頼の確立の過程が詳しく描写され、切嗣の帰りを待ち続けながらも母の殻を被った聖杯の泥から切嗣によって聖杯が破壊されたことを知らされ、更にユーブスタクハイトに吹き込まれた話を信じて切嗣への憎悪を募らせる。その後は器とマスター、両方のための調整に苦しむ中でこれまで破棄されたホムンクルス達からアインツベルンの妄執とも言うべき悲願と自分が負けたらユーブスタクハイトが研鑽を打ち切るという結末を聞かされ、自分というものが無いホムンクルスとしての出自や多くのホムンクルスを捨ててきたアインツベルンとユーブスタクハイトにも憎悪を向ける片鱗を見せた。アインツベルンの妄執を知ってからはセラとリーゼリットにも気を許さず、当初はバーサーカーも只の道具としか見なしていなかったが、かつての母と同じく、ユーブスタクハイトによって狼と怨霊のいる吹雪の森に放り込まれ、狼に襲われたところをバーサーカーに救われてからは「世界で誰よりも一番強い」と絶対的な信頼を寄せる。

用語

聖杯
「万能の釜」や「願望機」とも呼ばれる。手にする者の望みを実現させる力を持った存在で、本来の意味での聖杯とは全く別物である。冬木の聖杯は聖堂教会に観測された第726個目の聖杯候補であり、表向きは真贋の判断が付いていないことになっている。しかし、実は失われた第三魔法(Type-Moon作品の多くが共有する世界観において、魔術によって引き起こされる現象は科学技術などのほかの方法を用いても再現しうるのに対し、魔法とは、その時代の技術レベルにおいて、どれほどの費用や労力を注ぎ込んでも達成不可能な本物の奇跡を実現する神秘であり、第一から第五までの5つが存在するのみである。それを扱える魔法使いは世界に現在4人しかいない。)・魂の物質化、天の杯を再現するために作られた贋作であるとの判定はできている。聖杯自体は実体を持たず、魔術師などが体内に持つ魔力を精製するための疑似神経である魔術回路を持つ存在を「器」として、サーヴァントの魂が溜まった「器」に降霊することで現われ、後述するシステムとしての「大聖杯」に対し「小聖杯」と呼ぶこともある。ただし、広義的に見て願いを叶える「願望機」としての役割も器は確かに備えており、サーヴァント5体以上の死亡による儀式の完成によってもたらされる膨大な魔力を用いれば大抵の願いは叶えることが可能なので、実質的には真作の聖杯を手にしたのと変わらない。そのため、実際は贋作と分かっていてなお、魔術協会が主催を務め、聖堂教会が監督役を派遣して「聖杯戦争」を見守っている。しかし、第三次聖杯戦争においてルールを破って召喚されたアヴェンジャーが原因で、聖杯が溜め込む「無色の力」は汚染されて「人を殺す」という方向性を持った呪いの魔力の渦と化すようになり、それ以降、冬木の聖杯は全ての願いを「人を殺す」という結末に拡大解釈する欠陥品になってしまっており、正体を知った凛は「猿の手みたいなもの」と評している。こうして聖杯の中に淀み始めた黒い泥は触れたものの魂を汚染し、サーヴァントさえも性格を悪しき方向へと反転させ暴走状態にしてしまうことを黒化と呼ぶ。

天の杯(ヘブンズフィール)
物質界において唯一、永劫不滅でありながら肉体という枷に引きずられる魂を、それ単体で存続できるよう固定化させる魔法。本来、三次元世界上の法則には従わず、物質世界では存在できないものである「魂」の次元を上げる、いわば「高次元の魂」を創造する魔法で、これによって魂は物質界より次元の高い概念世界である星幽界に属することになり、物質世界からは絶対に手出しできない無敵状態となって、肉体は星幽界からラジコン操作のように操られることになる。1つの魂が一度に操ることのできる肉体は1つだけで、ほかの魂を宿している肉体を強引に奪うことはできないなどの制約はあるものの、要は魂が寿命を迎えるまで死ぬことがないようにする魔法である。

聖杯戦争
広義においては真贋を問わず聖杯と呼ばれるものを手に入れるための行為全般を指すが、必ずしも「戦争(武力闘争)」であるとは限らず、例えば「聖杯」が売りに出され、それを買うためにオークションなどを行うことも「聖杯戦争」と呼ばれる。冬木の地の聖杯戦争は、聖杯によって選ばれた7人のマスターが、サーヴァントと呼ばれる特殊な使い魔を使役して戦いあう形をとる。冬木の地の聖杯戦争は、その聖杯と同様に、失われた第三魔法の再現のための儀式である。一連の儀式は200年前、アインツベルン・遠坂・マキリ(間桐)の3家がそれぞれの思惑から協力したことで始まった。儀式の成功にマスターが戦いあう必要はなく、召喚された7騎のサーヴァントの魂を全て「器」に注いでしまえばそれでよかったのである。しかし最初にその方法をとった時は、儀式を始めた者たちの間で、完成した聖杯の唯一の権利を独占するために殺しあいが始まってしまい失敗に至った。そのため、2回目の儀式からは円滑に儀式が進むように権利争奪を兼ね、外部の魔術師4人も呼び寄せ「聖杯戦争」の形となったのである。元々、 魔術の行使自体が秘匿されなければいけない掟のため、戦闘は基本的に夜間で行われる。加えて聖杯戦争出場者以外の部外者や一般人に見られた場合は、口封じのため速やかに抹殺しなければならないとされている。聖杯戦争の実施にあたっては、柳洞寺のある円蔵山地下に隠された大聖杯と呼ばれる巨大な魔法陣により、冬木の土地の霊脈が枯渇しない程度に少しずつ魔力を吸い上げて儀式に必要な量を溜める必要がある。そのインターバルは通常60年を要するところだが、前回の第四次聖杯戦争では呼び出された聖杯が結局「使用」されないままに終わり、本作の舞台である第五次聖杯戦争の開催が早まる原因となった。本編の10年前に、衛宮切嗣の手により「洞窟内に瘤を発生させ、そこに堆積したマナが30年から40年の間に破裂し大聖杯を龍洞に崩落させる」という細工が為されていたが、上の事情によって第五次聖杯戦争が早まっていたために不発に終わったが、聖杯が出現した際にそれは発動し、洞窟を崩壊させた。そして 本編の10年後に、遠坂凛とロード=エルメロイII世によって大聖杯の完全解体が達成され、冬木の聖杯戦争はその歴史に終止符を打つことになる。

マスター
サーヴァントと契約して聖杯戦争に参加する者。聖杯が選別したマスター候補者が、召喚されたサーヴァントと契約することでその資格を得る。サーヴァントとの間には見えないつながりが築かれ、現界のための依り代と魔力供給の役割も併せ持っており、召喚者にはサーヴァントを支配・制御するための令呪と呼ばれる聖痕が与えられる。また、マスターには人それぞれのマスターが最も認識しやすい形でサーヴァントのパラメータを認識する能力と、英雄に関する知識が与えられる。なお、魔力循環のためのつながりによってサーヴァントの過去をマスターが夢などで見ることもある。召喚者以外の者がマスターとなる場合もあり、その際は脱落者の未使用の令呪が与えられる。ただし、聖杯が認めるマスターの最低限の条件は「魔術回路があること」で、そのほかの方法でマスターになった者を聖杯はマスターと認めず、令呪を与えることもない。これは他者の意志の介在により移譲や奪取する場合も同様である。

サーヴァント
単に使い魔とも表現される。聖杯の助けを得たマスターによって召喚・使役される「英霊」。全並行世界の過去・現在・未来の英雄たちの霊である。実在したか否かを問わず、人類史や神話・伝承において偉大な功績をあげ、死後もなお人々の信仰の対象とされる英雄の霊格が、人間霊よりも高位である精霊・神霊・聖霊 に昇華された存在。英雄の情報が、世界の外側、根源の渦の内部にある「英霊の座」と呼ばれるデータベースに登録されることで、時間や因果、そして輪廻からも外れて不変の現象となったもの。ただし、座にいる英霊本体を直接召喚・使役できるのは抑止力のみであるため、厳密には英霊の分身というべき存在である。攻撃能力はおよそ戦闘機1機分といわれ、破壊力に関しては近代兵器の方が強力なものが多いが、霊体であるため通常の兵器や攻撃が効かないという点で優位。機関銃(通常攻撃)とミサイル(宝具)を備え、魔力の補給が必要という点でも戦闘機に例えられる。本来、英霊として召喚される彼らは意思を持たない純粋な「力」として使役される。しかし、冬木の聖杯戦争においては、一度の聖杯戦争につきセイバー(剣士)・アーチャー(弓兵)・ランサー(槍兵)・ライダー(騎兵)・キャスター(魔術師)・バーサーカー(狂戦士)・アサシン(暗殺者)が7つの基本的なクラス(器)として用意され(「アヴェンジャー(復讐者)」のように、上記以外のエキストラクラスが用いられた時もある)、該当する属性をもった英霊をそのクラスへと憑依させ、人のカタチと人格を再現する。セイバー、アーチャー、ランサーは三騎士と称され、総じて強力とされる。三騎士は聖杯によって確実に用意されるが、ほかのクラスはたびたびエクストラクラスに変わる。英霊の能力をそぎ落とし限定するこのシステムによって、魔法使いにも不可能な英霊の召喚を容易にしている。ただし、クラスの制限に従い、ランサーとして召喚された英霊がセイバーであれば有していた筈の剣の宝具を失うなどということもあり得る。しかし、単純に武装によってクラスが決まるのではない。例えば、アーチャーは、マスターに侍られなくても長時間に渡り現界用の魔力を保持できるという「単独行動」のスキルが与えられ、視力が驚異的に高くなる他、自身の低ステータスを補う優れた宝具を所有する特性があり、単独の飛び道具や遠距離攻撃武器をもたないか、主体でない英霊でも割り当てられることがある。また、バーサーカーなど属性の強いクラスの場合、英霊の一部の側面を強調することで通常とは異なる姿で現界する場合がある。バーサーカーとアサシンは召喚時の詠唱に2小節を加えることによって、任意で召喚できる。

サーヴァントの真名を知られるということは同時に弱点を晒すということでもある。これは、英霊は基本的に神話伝承に語られる英雄であり、その物語の中には彼らの最期や弱点なども含まれ、宝具と同様に属性として備わっていることが多いためである。真名がマスター以外の者に知られないように、サーヴァントは真名ではなくクラス名で呼ばれる。肉体年齢については、逸話や呪いなどがない限り全盛期の姿である。英霊である彼らは人間がまともに戦って敵うような相手ではないとされ、彼らの半身ともいえる宝具を筆頭として、現代の人間より遙かに強い力をもった存在として描かれる。さらには、元々の力に加えて、その英霊の知名度や伝説への信仰による恩恵を得て戦うこともできるが、その基準は聖杯戦争の舞台によって変わり、冬木の聖杯戦争の場合は日本における知名度が影響する。したがって、聖杯戦争が開催される土地が英霊の出身地・文化圏に近いほど、当該サーヴァントはステータスの低下や宝具・スキルの喪失といった劣化を避けられる。英霊は、サーヴァントとして召喚される際にクラス(器)へと収まることで、三騎士の「対魔力」やバーサーカーの「狂化」などクラスに応じた固有のスキルや、聖杯戦争のシステム、召喚された地域やその時代についての知識が与えられる。また、マスターの性質や魔力の量によりその能力には補正がかかる。上述のとおり架空の英霊の召喚は可能だが、本人ではなくその英霊の特徴に該当する亡霊が呼び出される。ただし、聖杯は西洋由来の概念であるため、東洋の英霊など、聖杯の概念が浸透していない地域や時代の英霊を召喚することは(例外こそあるものの)原則不可能である。何らかの要因で死の要素を持たない不死者やあるいは神も、あらゆる並行世界において英霊になる未来が存在しない為に召喚することはできない。セイバーは召喚時点では生者であるが、いずれ死に至るため条件を満たしている。

彼らは使役する立場であるマスターより遥かに強力な存在だが、「現界のための絶対条件」としてマスターからの絶対命令権である令呪の縛りが課せられていて、マスターはサーヴァントに3度だけ絶対に従わせる命令を下せる。さらにサーヴァントらは現世に留まるために現代の依り代を必要とし、現界のための魔力もほぼ自給できないため、マスターとの協力関係を余儀なくされる。彼らの本質は霊体であるため、たとえ彼らが実体化している時でも、神秘の存在しない攻撃は効果がないとされる。逆に言えば、神秘さえあればペーパーナイフでも傷つけられる。魔力供給を断たれると霊体に戻り、マナと呼ばれる、自然や空間に存在する魔力の薄い無機物を通り抜けることができる。その状態でもマスターと意思を通わせることは可能である。霊体のままだと通常干渉を受け付けないが、現実への干渉力も同様に落ちる。サーヴァントは、敗北した後、記録だけを「英霊の座」へとフィードバックし、通常の時間軸から消え去る。その性質を利用して「根源の渦」への孔を穿つのが冬木の聖杯戦争という魔術儀式の真の姿である。孔を開くためには、サーヴァント全員の魂を器たる「小聖杯」に蓄え、力が満ちた後に解き放つことが必要なので、自身のサーヴァントも殺す必要がある。令呪の1画を残すことがセオリーとされるのはそのためであり、その知識がサーヴァントに与えられることはない。黒化したサーヴァントはその時点で聖杯の力によって受肉するため、物理的な干渉力は増大するが霊体化はできなくなる。また魔力の制限がなくなり、戦闘力が大幅に強化される。

触媒・聖遺物
サーヴァントの召喚において、特定の英霊を召喚したい場合にはその英霊に縁のある聖遺物を触媒として用いることで召喚する英霊の指定が可能。ただし、触媒が縁として弱い物、或いは複数の英霊が該当する触媒、および触媒なしで召喚した場合には召喚者であるマスターと性格や人生が似通った英霊が召喚される。例えば、アルゴー船の残骸を触媒とした場合には船長であるイアソンを始め、「最強の大英雄」「裏切りの魔女」「医術の神」「純潔の狩人」、円卓の欠片を用いれば「全ての円卓の騎士」と大勢の候補からマスターに最も似通った英霊が召喚される。希少例だが、召喚される側がマスターと縁のある品を所持していることでも召喚対象となる場合があり、本編では士郎の体内に埋め込まれていた聖剣の鞘が縁となってセイバーが召喚され、命を救われた士郎が生涯持ち続けた凛のペンダントが縁となり未来からアーチャーが召喚されている。

宝具(ほうぐ)
人間の幻想を骨子にして作り上げられた武装のこと。英霊は、生前彼らが持っていた武器や固有の能力・魔術・特徴、あるいは彼らを英霊たらしめる伝説や象徴が具現化したモノとして、伝承由来の宝具を持つ。宝具には、具体的な武具の形を取らず、身体能力として常時発動するようなものも含まれることがある。ひとりの英霊が持つ宝具の数は、その英霊の伝承の数や種類によって異なる。基本的に宝具は、魔力を注ぎ宝具の真名を口にすることで秘められた真の力を発現させる「真名開放」によって行使される。これにより、英霊より格上の存在である幻想種最強の竜種を倒すことも可能とされる絶大な威力を発揮可能。ただし、能力の発動は任意の発動から使用条件といったものもあり、全ての宝具に真名開放があるわけではない。武器などの現存する宝具が多いが、それら自体には一種の概念武装ではあるが宝具としての能力は付与されず、基本的にはその武器を象徴する使い手のサーヴァントが手にすることでのみ、宝具と成り得る。

全て遠き理想郷(アヴァロン)
セイバーの使用する宝具だが、作中ではセイバーと共に召喚されたものではなく、概念武装の聖遺物として伝存している。アーサー王が死後に辿り着いた妖精郷と同じ名を持つエクスカリバーの鞘。老化を停滞させ、事象に対しても有効な無制限の治癒能力を発揮する。宝具としての能力は魔法を含むあらゆる攻撃を寄せ付けない絶対的な防御力を誇る結界宝具であり、ギルガメッシュの乖離剣エア、「この世全ての悪」の泥さえも跳ね返す。前回の第4次聖杯戦争より衛宮切嗣が使用しており、冬木大災害の場で士郎の命を救うため、切嗣によって士郎の体内に埋め込まれた。後にこれは士郎によってセイバーに返還されるが、ルートによっては返還されずに士郎の体内に宿ったままとなるものの、大聖杯の解体によって星へと帰って行くことになる。

干将・莫耶(かんしょう・ばくや)
アーチャーの使用する夫婦剣。白と黒の短刀で、黒い剣が陽剣・干将、白い剣が陰剣・莫耶。互いに引き合う性質をあり、巫術、式典用の魔術兵装としての側面を持つ。干将と莫耶を揃えて使うことで所有者の対魔術、対物理が向上する。作中に彼の宝具と言われることがあるが、宝具ではなくアーチャーの能力による複製品。ただし、「干将・莫邪」の本来の持ち主たる英霊が所持する本物なら、怪異に絶大な効果がある対怪異用宝具となるという。投擲する活用法もあり、性質を利用することで避けられても再び襲いかかっていく。また投影の負担が軽いので複数本用意できる。性質と投影を駆使した干将・莫耶の究極技ともいえる「鶴翼三連」がある。本作では"Heaven's Feel"ルートのとある展開で、彼ではなく士郎が移植したアーチャーの腕より引き出しセイバーオルタ相手に自壊覚悟で倒した技で、2対の投擲と斬撃の重ね×切りのコンビネーション技である。「干将・莫邪」に刻まれている詩が発動呪文でもある。

王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)
ギルガメッシュの使用する宝具。ギルガメッシュが貯蔵する膨大な数の武器や財の納められた宝物庫を開く鍵剣こそが本体。それ自体に脅威はなく使用者の財がなければただの鍵でしかないが、人類史全ての財を所有すると言われたギルガメシュだからこそ意味のある宝具と言える。鍵剣を使わなくても財を取り出すことはできるが、乖離剣を呼び出す際にはしばしば鍵剣を使用している。ただし、ヘラクレスの「十二の試練」など、英雄の生涯における逸話や技などが基になった形のない宝具までは所有していない。あくまで圧倒的なのは「王の財宝」に収納された宝具の量であり、ギルガメッシュ自身の戦闘能力は第五次聖杯戦争に参加したサーヴァントたちのトップクラスには及ばないとされているが、ギルガメッシュのパラメータ自体はセイバーと同等(筋力:B/耐久:C/敏捷:C/魔力:B)となっている他、出現させる宝物庫の扉の位置と同時発生数などは自由自在であり、それによる宝具の掃射を掻い潜れる者は少ない。生前のギルガメッシュの逸話からAランクを超える宝具も大量に保持しているため、ヘラクレスの「十二の試練」を破る攻撃が可能だが、ヘラクレスは宝具の嵐を強行突破して肉薄することも可能なため、ギルガメッシュ本人がそれを承知して「分が悪い」とも告げ、確実に葬るためにイリヤを狙っている。『Fate/EXTRA CCC』ではより定義が明解にされており、『英雄の伝承は人類最古の英雄であるギルガメッシュの伝説から派生したもの』であることから、英雄の宝具の原典もまた彼に行き着き、そしてその原典は「人類の知恵の原典にしてあらゆる技術の雛形」とされている。ゆえに宝物庫には人類が生み出すものであれば、過去未来の時間軸問わず全てを保有している。逆に、「基本的に全く別の新人類、または別天体の知的生命体の文明技術によって生み出された全く別の概念による物」は収蔵されておらず、また「存在こそしても使用した伝承がない宝具」は、原典が何に当たるかわからないため宝物庫から取り出すことが不可能。

固有結界
心象世界を具現化し、現実世界へ侵食させることで、一定領域を、通常とは異なる法則が支配する結界へと創り変える魔術。「世界」に干渉するというその特性上、発動中は「世界」、即ち二種類の抑止力(星の抑止力と霊長の抑止力)からの修正を常に受け続ける。したがって、結界の展開・維持にはそれ相応の魔力が必要であり、人間の術者は高々数分しか使用することができない。術者の心象は術者ごとに異なるため、その能力もそれぞれ異なる。魔法に最も近い魔術であり、魔術師の目指す到達点の一つだが、夥しい代償を負うことが少なくないため禁呪として扱われる。

無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)
アーチャー、及び衛宮士郎が使用する固有結界。アーチャーのものは、スキル「魔術:C-」の一部であって本来は宝具ではないが、アーチャーのシンボルということで彼の事実上の宝具となっている。数多の剣が、あたかも墓標のように大地に突き刺さっている剣の丘の心象世界。内部は武具を構成するあらゆる要素で満ちている。武具を視認するだけで、それが例え宝具であろうともその構造を瞬時に読み取り、複製して心象世界内に貯蔵する。投影魔術を用いれば、貯蔵されている武具を現実世界へ引っ張り出すことが可能である。通常の投影魔術の燃費は決して良いものではないが、アーチャーと士郎の場合は心象世界から武具を取り出す際の僅かな魔力消費のみで成立する。彼らの魔術はすべてこの固有結界から零れ落ちたものに過ぎない。武具の複製の際には、その構造のみならず、オリジナルに宿る製作者の理念や本来の使い手の技術をも読み取る。そのため、本来の使い手には及ばないものの、アーチャーと士郎は擬似的な武具の担い手となることができ、それが宝具であれば、彼らの力が追いつく範囲の中で「真名開放」を行うことができる。また、「複製した宝具は替えが利く」という特性から、アーチャーは宝具を敢えて破壊することでその魔力を爆発的に解放する「壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)」をなんの躊躇いもなく使用する。その他、複製するだけにとどまらず、自分好みのアレンジを施すことも可能。ただし、宝具を複製した場合はオリジナルよりランクが一つ落ちる。加えて、弓や槍、盾や鎧など剣以外の武具の投影には、剣の投影にかかる2倍から3倍の魔力が必要となる。これらの能力から、ギルガメッシュは彼らのことを「贋作者(フェイカー)」と称して蔑む。セイバーの「約束された勝利の剣」やギルガメッシュの「乖離剣エア」など、神造兵装の複製は原則不可能である。ただし、「約束された勝利の剣」に限ってはセイバーオルタのものを士郎が投影したと思しき描写が存在し、アーチャーは「完全な複製は不可能だが、真に迫る物なら投影できる」と述べている。『Fate/EXTRA CCC』ではアーチャーが永久に遙か黄金の剣(エクスカリバー・イマージュ)を投影している。ひとたび結界を展開すれば、武具は自在に操ることができるうえに瞬時に手にすることもできる。結界の展開・維持にはそれ程魔力を消費しない。加えて、霊長の守護者であるアーチャーは本質的に霊長の抑止力側の存在であるため、「世界」からの修正が軽減される。しかし、結界展開後、破壊されてしまった武具を修復する、結界展開時には貯蔵されていなかった武具を新規に複製するなどの場合は著しく魔力を消費する。なお、アーチャーと士郎の心象はそれぞれ異なるため、発動呪文と結界内の風景には若干の違いが存在する。ギルガメッシュの「王の財宝」の天敵と呼べる魔術である。宝具が発射される前に結界内の武具をぶつけて潰すことができ、打ち出された宝具に対しても有効な武具で受け流すことができる。あるいは、擬似的な武具の担い手となれるアーチャーと士郎に対して、ギルガメッシュは基本的に持ち主に過ぎないが故に同じ武具でも相殺することができる。その上、接近戦の場合にはギルガメッシュは必ず宝物庫を開いてから宝具を取り出す必要があるが、アーチャーと士郎は結界内の武具を手元に引き寄せるだけでよい。以上の理由により、ギルガメッシュはアーチャーと士郎に後れを取ることになる。しかしながら、乖離剣エアを使用する場合はこの限りではない。

霊長の守護者
「抑止の守護者」とも、あるいは単に「守護者」とも呼ばれる。英霊の中でも、人類の自滅を回避するための究極の力として存在する者たち。自由意思を剥奪された状態で霊長の抑止力(アラヤ)に召喚・使役され、絶滅を回避するという大義の下、現場の人間を加害者・被害者問わず全て殺害する。霊格・神性が低い所謂アラヤ寄りの英霊や、専らアラヤとの契約によって英霊となった者にこの仕事が割り振られる。

雑記



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このページへのコメント

情報量多いなw

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Posted by 名無し(ID:pIUvqi1eRA) 2020年01月11日(土) 16:21:11 返信

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