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作者:成田良悟
イラスト:森井しづき
出版社:KADOKAWA 電撃文庫

あらすじ

日本の冬木市における第五次聖杯戦争から数年後、アメリカ西部に位置する地 スノーフィールドにて聖杯発現の予兆が見られた。魔術協会の調査の結果、これは何者かがオリジナルの聖杯戦争の技術を模倣したものである事が判明。不完全な模倣ゆえにシステムには欠陥が存在し、在るはずのクラスが欠け、選ばれるはずのないサーヴァントが呼び出される。そしてアメリカのとある国家機関の思惑により、都市の外からも多くの魔術師達が流れ込み、「偽りの聖杯戦争」が開幕する。一方、スノーフィールドの先住民の総代であるティーネ・チェルクは、住民を守るために「偽りの聖杯戦争」に加わる。他方、冬木市在住の女性アヤカ・サジョウは、フィリアを名乗る女性から5つの令呪と呪いを押し付けられたことをきっかけに、スノーフィールドに入る。そこでは、アメリカ陣営に属する魔術師カーシュラが、セイバーを召喚しようとしていた。カーシュラがアヤカを拘束してまもなく、アサシンが現れ、その命を奪った。そして、セイバーとして召喚されたリチャードは、魔力の経路(パス)がその場にいたアヤカとなぜか接続されたことで現界を維持している。アヤカはフィリアの思惑に乗るまいと聖杯戦争への参加を拒絶するものの、マスターと勘違いされた成り行きもあり、セイバーと行動を共にする。セイバー召喚の裏には、「偽りの聖杯戦争」を生贄にして「真なる聖杯戦争」を呼び起こすという黒幕たちの目的があり、「本物の聖杯戦争」の当事者たちも次々と召喚された。そのころ、コールズマン特殊矯正センターに収容されていた傭兵シグマは、「偽りの聖杯戦争」の主催者の一員であるフランチェスカ・プレラーティから「真なる聖杯戦争」の参加を求められ、サーヴァントを召喚したところ、エクストラクラス・ウォッチャーを召喚してしまう。聖杯戦争二日目 シグマはアサシンと対峙し、真アーチャーの前には、女神を名乗る人物が接触する。やがて真アーチャーは、ライダーのマスター 繰丘椿の入院先へと向かう。真アーチャーを止めに行く者など混乱が続くなか、ライダーは椿の孤独をいやすため、その場にいた者たちを彼女の夢の中へと引き込む。ライダーの夢から抜けた直後、バーサーカーのマスター、フラット・エスカルドスが頭部を射抜かれる。死したと思いきや「ティア・エスカルドス」という存在となって復活する。同じころ、真バーサーカーとそのマスターであるハルリは、森の中で女神イシュタルの神殿を作ろうとしていた。そのさなか、黒幕たちは48時間後にスノーフィールドを浄化することにした。

登場人物

アヤカ・サジョウ
日本からスノーフィールド市へやってきた旅行者。年齢は10代後半ほどで、肩下の長さの髪を金色に染めた眼鏡をかけた女性。右手・右肩・背中・左肩・左手に令呪を持つが、魔術師ではない。日本の冬木市出身で、国内で後述の事象からの逃亡を続けていたが、故郷でフィリアから5つの令呪と呪いを押し付けられたことをきっかけに渡米し、セイバーと出会う。冬木で実際の事件から発生した都市伝説の当事者。虐げられていたある少女のわずかな希望を蔑ろにして結果的に見殺しにしてしまったと思われる状況にあり、生前の少女との接点であったエレベーターに乗ると知覚してしまう「赤ずきんをかぶった少女」の幻影に苦しんでいるため、乗ることはもちろん設置されている建物に踏み入ることさえ警戒するほど極度にエレベーターを避けながら逃亡生活を続けている。その正体は人間ですらなく、月霊髄液が完成する以前のエルメロイの至上礼装である3つの魔力炉である。切嗣の工房爆破によって失われたと思われていたが、ある魔術師の夫妻によって玄木坂の蟬菜マンションに移送されるが、何かしらのアクシデントで、魔力炉が「赤ずきんをかぶった少女」の姿となり夫妻を殺害したのち、沙条綾香に擬態して逃亡し、アインツベルンに捕らわれていた。プロト版では、本ゲームの主人公「プレイヤー」と設定されていた。年齢性別とも特定されておらず、魔術師ですらない。召喚するサーヴァントもセイバーではなく、令呪の数に応じるようにペルセウスやヒュドラなど十数種類の中から5体を選択でき、その令呪を消費することで一時的に英霊を呼び出すことができるとされている。またその令呪は「ラスベガスにて白い髪と白い肌の美女から押し付けられたもの」とされている。

ティーネ・チェルク
アーチャーのマスター。褐色肌に艶やかな黒髪、白いドレスを纏う10代前半の少女。父の跡を継いで、スノーフィールドの魔術都市化によって生活圏を脅かされている先住民たちの総代を務めており、侵略者である行政とそれと結託する魔術師を排除するために聖杯戦争に参加する。可憐な見た目とは裏腹に、組織の総代として子供らしい感情などは捨て去っているが、そのような有り様に対し、アーチャーからは「少しは幼童らしくせよ。」と下知されている。また、その際にアーチャーが蔵から取り出したものの使用しなかった「若返りの妙薬」を下賜される。アーチャーのことは契約前から「偉大なる王」として礼を尽くして接しており、マスターとなってからも臣下のように侍るうちに、その強大な力や威光を目の当たりにして真の崇敬を抱くようになっている。魔術師としてはスノーフィールドの霊脈を利用した魔術を使用する。彼女の扱う魔術は強力であり、その詠唱は無音にして一瞬。ただしスノーフィールドの地限定のものであり、スノーフィールドの外に出れば一般人同様、全く魔術を使うことはできない。

繰丘椿
ライダーのマスター。スノーフィールド中央病院に入院している10歳の少女。入院当初より意識はなく、1年あまり昏睡状態を続けている。原因は脳に巣食う細菌であり、これは両親が冬木の聖杯戦争を主催した御三家と呼ばれる魔術師の一家である「マキリ(間桐/まとう)」の魔術「蟲使い」を応用して魔術回路の増大を図った事による副作用である。その施術は苦痛を伴うが、痛がることで両親の愛情を失う事を恐れていた。実際に両親の愛情を受けてはいたが、その愛情は椿自身ではなく椿の魔術師としての将来に向けられたものであった。昏睡状態の中、「現実の光景を夢の中に投影する」という魔術を開花させている。この夢は街の隅々にいたるまで精密に再現しているが、無機物のみで生物は存在しない上、現実に干渉する能力は持たない。その夢の中で召喚されたライダーと契約を果たしたが、彼女自身に聖杯戦争に関する知識はない。なおライダーの力によって、ライダーの影響下の人間の意識を実体として呼び寄せることができるようになっている。ライダーの分身と衝突した使い魔が病に感染したことで夢に引き込まれ、そこから椿が動物を望んだことでスノーフィールド市内の動物達へと感染がさらに拡大し始める。さらには椿の何気ない言葉を聞き入れたライダーが感染範囲を人間にまで広げたことで、スノーフィールドを脱出不能の牢獄へと変えることになる。

ライダー
偽りの聖杯戦争における騎乗兵のサーヴァント。椿が投影している夢の中で召喚されており、彼女からは「まっくろさん」とも呼ばれている。実体らしき実体は持たず、椿から見ても「暗がり」に過ぎない。生物ですらないため知性などは存在せず、自らの能力の範囲内で、椿の願望を実行するだけの存在となっている。実体がないため複数に分裂することもでき、また現実世界にも干渉することが可能である。その正体は「病」という災厄そのもの。風や水、動物などに乗って多くの感染症を引き起こし、またヨハネの黙示録において「ペイルライダー」という二つ名で擬似的な人格を与えられたことに由来する。エルキドゥの見立てでは「この世全ての悪」の「泥」と融合して、聖杯を汚染すれば星が滅亡しかねない事態になると危惧されている。宝具はマスターを起点に結界を展開、結界内部を擬似的な冥界とする「来たれ、冥き途よ、来たれ(ドゥームズデイ・カム)」、結界内にいる他者に「死」を与える物を具現化し行使する「剣、飢饉、死、獣(かごめ、かごめ)」で、呼び方は各キャラクターによって異なっている。

ドリス・ルセンドラ
真ライダーのマスター。強化魔術の極北であるルセンドラ家の末娘。アメリカ政府側に雇われた魔術師で、真ライダーの召喚後はファルデウスに非協力的で連絡を絶っている。フランチェスカの手筈通り真ライダーを召喚したが、召喚した直後に現れたエルメロイ教室のメンバーである遠坂凛と交戦。互角に立ち回るも敗北し、決定的なトドメを刺されかけるところを真ライダーに止められ、そのまま令呪とマスター権をエルメロイ教室に譲渡した経緯が明らかにされた。

真ライダー
2人目の騎乗兵のサーヴァント。馬に騎乗した健康な色の肌をし後頭部に結い上げた髪を持ち、柔らかい布と革が合わさった衣装に包んだ十代後半の外見をした少女。2人目のアーチャーを外道と呼び自分の獲物とみなしている。ギルガメッシュの「王の財宝」ですら傷つかなかった真アーチャーを容易に殴り飛ばしている。真名はヒッポリュテ。かつてヘラクレスに殺されたアマゾネスの女王。宝具は自らの能力の向上を行う帯「戦神の軍帯(ゴッデス・オブ・ウォー)」と馬上から己の身長もある巨大な戦斧を振るう「傲慢覆す怒り(ヒュブリン・アナトレポーン・エリーニュエス)」非常にシンプルでただそれだけではあるが、一つの極致に達したそれは、聖剣エクスカリバーに次ぐほどの高い威力を叩き出し、台風そのものを一刀両断するほどの威力がある。

フランチェスカ・プレラーティ
ゴシックロリータ風の衣装に身を包む、10代半ばほどの少女。偽りの聖杯戦争の主催者側に身を置いており、オーランドと面識を持っているが、彼に対しては「若造」と呼び、彼からも「老害」と疎まれている。冬木の聖杯戦争についての知識も持ち合わせている発言をしており、アーサー王を「アルトちゃん」呼ばわりし、聖杯戦争のシステムそのものへの害意を観測した際に特別に召喚され、聖杯戦争の調停を司る8人目のサーヴァントである調停者(ルーラー)のクラスで召喚されるかもしれないジャンヌ・ダルクに執着を見せている。肉体を定時的に取り替えているらしく、現在の肉体は3年前から使用している。服の下の肌には人間の歯のような物でできたファスナーがある。魔術の世界における重鎮たちに幾度も肉体を破壊されてきているが、それでも平然と生き延びている。自らも真なる聖杯戦争の参加者として英霊としての自分自身である真キャスターを召喚する。その正体は、ゼウスらと共にオリュンポス十二神の艦隊を補助するプログラム「アーテー」が「情報の波」として世界に溶け込み、集合した神霊である。かつてはフランソワ・プレラーティの名前を持っていたが、今は少女の姿であるために女性名のフランチェスカと名乗っている。

真キャスター
フランチェスカが自らの存在を触媒として召喚した2人目の魔術師のサーヴァント。白髪の少年の魔術師。真名はフランソワ・プレラーティ。彼自身の生前の記憶は最初の処刑をされた時点が最後となっている。生きている自分自身であるフランチェスカと英霊としてのフランソワらの同一人物が同時に存在する事態となっている。土地をも騙すほどの幻術を扱う。自らが語ることによると「愚行」と「狂気」が起源。宝具は固有結界に匹敵するほどの幻術「螺湮城は存在せず、故に世の狂気に果ては無し(グランド・イリュージョン)」。また、ジル・ド・レェの宝具「螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)」の本来の持ち主である。

ハルリ・ボルザーク
本物の聖杯戦争のマスターとして政府に雇われた魔術師の女性。黒魔術を扱うが、主に自分自身の血液を媒介として扱う。祖父であるオッド・ボルザークの死後に自分の全てを奪った魔術社会への復讐を目的として参戦し、真バーサーカーを召喚する。召喚時に瀕死の重傷を負うが、フィリアの救命措置と介入を受け彼女と行動を共にすることになる。

真バーサーカー
2騎目の狂戦士のサーヴァント。獅子の頭をした機械人形という英霊とは言い難い姿をしている。「エジソン」が召喚されるはずだったが、触媒にマズダなるものが使われたことによって、フィリアの肉体を乗っ取る英霊以上の力を持つイシュタルも同時に召喚されてしまう事態となる。真名はフワワ。『ギルガメシュ叙事詩』に登場する怪物。

フィリア
スノーフィールドに現れた、赤眼白髪に白い肌の美しい女性。年齢は20歳前後。その特徴から、冬木における聖杯戦争を主導した魔術師の家系であるアインツベルン謹製のホムンクルスと魔術師たちから噂されている。アインツベルンとは何らかの理由で決別し、アヤカをスノーフィールドに差し向け自らも乗り込むが、真バーサーカーの召喚の場に居合わせたことで、触媒の影響で引き寄せられたイシュタルの器となってしまう。

イシュタル
フィリアを器として降臨した古代メソポタミア神話の女神。アーチャーの召喚触媒である「鍵」を入手して「王の財宝」を封じるなどの暴挙を行う。真アーチャーは「神の残した呪詛」と推測し、真キャスターは「壊れた女神のデータ」と称している。疑似サーヴァントとしてのイシュタルのいる『Fate/Grand Order』の世界からグガランナを強奪したことが示唆されている。

雑記



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