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stiffperson 2013年07月28日(日) 18:05:49履歴
メモ > グルテン関連障害
グルテン関連障害とは、セリアック病や小麦アレルギー、そしてグルテン過敏性などを一まとめにしたもので、グルテン関連障害スペクトラムという表記が正確のようです。
ここでは、グルテン関連障害とSPSとを併発した症例、そしてグルテン関連障害の論文について記載します。
グルテン関連障害とは、セリアック病や小麦アレルギー、そしてグルテン過敏性などを一まとめにしたもので、グルテン関連障害スペクトラムという表記が正確のようです。
ここでは、グルテン関連障害とSPSとを併発した症例、そしてグルテン関連障害の論文について記載します。
SPSとグルテン関連障害とを併発した例として、グルテン過敏性の併発例、そしてセリアック病の併発例があります。
グルテン過敏性の併発例では、無グルテン食によりSPSの病状が改善したとの記載があります。
セリアック病の症例では、元々無グルテン食でセリアック病の症状を抑えていたところにSPSを併発したので、無グルテン食はSPSに対して効果なかったようです。
グルテン過敏性の併発例では、無グルテン食によりSPSの病状が改善したとの記載があります。
セリアック病の症例では、元々無グルテン食でセリアック病の症状を抑えていたところにSPSを併発したので、無グルテン食はSPSに対して効果なかったようです。
グルテン過敏性(gluten sensitivity)とは、アレルギー性でも獲得免疫性でもないグルテン関連障害のこと。(下記参照)
GAD antibody-associated neurological illness and its relationship to gluten sensitivity.
(GAD抗体関連神経学的疾患ならびにグルテン過敏性との関連)Acta Neurologica Scandinavica 2011:123:75-80
GAD antibody-associated neurological illness and its relationship to gluten sensitivity.
(GAD抗体関連神経学的疾患ならびにグルテン過敏性との関連)Acta Neurologica Scandinavica 2011:123:75-80
- グルテン過敏性を併発するSPS患者(6人中4人)が無グルテン食を導入したところ、何らかの改善が見られたという報告。
- グルテン過敏性を判断する指標として、HLA-DQ2、抗トランスグルタミナーゼ6(TG6)IgGまたはIgAが陽性、抗グリアジンIgGまたはIgAが陽性、抗TG2 IgAが陽性、脱アミド化グリアジン抗体が陽性などの診断を行っている。
- 無グルテン食を導入した4人全てでGAD抗体価の低下が見られた。、そのうち2人は1年で中断して抗体価が増加、さらにうち1人は症状が悪化した。
- 無グルテン食を継続した2人は、臨床状態の改善が持続した。
- 抗GAD関連疾患とグルテン過敏性との間には、何らかの関連がある。グルテン運動失調の抗GAD陽性率は40%(40人中16人)だった。
セリアック病(celiac disease, CD)とは、獲得免疫による疾患で、グルテン(グリアジン)に対する過剰な免疫反応により、腸が炎症を起こす。
(獲得免疫:グリアジンに反応するT細胞により、抗体(IgA、IgG)が作られる。)
A case of stiff-person syndrome, type 1 diabetes, celiac disease and dermatitis herpetiformis.
(スティッフパーソン症候群、1型糖尿病、セリアック病と疱疹状皮膚炎の症例)Clinical Neurology and Neurosurgery 111 (2009) 384-386
The clinical spectrum of anti-GAD antibody-positive patients with stiff-person syndrome.
(抗GAD抗体陽性スティッフパーソン症候群患者の臨床上の範囲)Neurology 2000;55:1531-1535
(獲得免疫:グリアジンに反応するT細胞により、抗体(IgA、IgG)が作られる。)
A case of stiff-person syndrome, type 1 diabetes, celiac disease and dermatitis herpetiformis.
(スティッフパーソン症候群、1型糖尿病、セリアック病と疱疹状皮膚炎の症例)Clinical Neurology and Neurosurgery 111 (2009) 384-386
- 元々セリアック病と疱疹状皮膚炎を発症し、無グルテン食とダプソン(薬)で症状を調節していた41歳男性の患者が、SPSとIDDMを発症した症例。
The clinical spectrum of anti-GAD antibody-positive patients with stiff-person syndrome.
(抗GAD抗体陽性スティッフパーソン症候群患者の臨床上の範囲)Neurology 2000;55:1531-1535
- 抗GAD陽性SPS患者20人のうち1人が、抗グリアジン抗体陽性だった。
下記の論文はいずれも、全文をネットで公開しており、無料で読むことができます。
Spectrum of gluten-related disorders: consensus on new nomenclature and classification.
(グルテン関連障害のスペクトラム:新たな命名法と分類についての合意)BMC Medicine 2012,10:13.
Divergence of gut permeability and mucosal immune gene expression in two gluten associated conditions: celiac disease and gluten sensitivity.
(2つのグルテン関連疾患における腸透過性と粘膜免疫性遺伝子発現の相違:セリアック病とグルテン過敏性)BMC Medicine 2011,9:23
Voxel-based morphometry,FineSRTが診断に有用であったIVIg有効抗グリアジン抗体陽性小脳失調症の1例.
臨床神経学,49:37-42, 2009
Gluten ataxia 'in perspective'.
(『総体的な視点から見た』グルテン運動失調)Brain(2003), 126,e4
Spectrum of gluten-related disorders: consensus on new nomenclature and classification.
(グルテン関連障害のスペクトラム:新たな命名法と分類についての合意)BMC Medicine 2012,10:13.
- グルテン関連障害には免疫系の働き別に3つに分けられる
- アレルギー性(小麦アレルギー)
- 獲得免疫性(セリアック病(celiac disease, CD)、グルテン失調、疱疹状皮膚炎)
- おそらく自然免疫性(グルテン過敏性(gluten sensitivity, GS))
- GS診断は、アレルギー性および自己免疫性機序を除外したものとなる。
- 小麦の免疫アレルギー検査が陰性
- CD関連抗体血清検査(抗EMAや抗tTG)が陰性
- IgA欠損症ではない
- 十二指腸病理組織検査が正常
- 先天的グルテン免疫反応の生物マーカー(AGA+)の存在(絶対的条件ではない)
(GSに特異的な試験室バイオマーカーはない) - CDまたはWAの症状と同様の臨床症状(絶対的条件ではない)
- 無グルテン食で症状の回復を示す(偽薬効果を回避するため二重盲検で実施)
Divergence of gut permeability and mucosal immune gene expression in two gluten associated conditions: celiac disease and gluten sensitivity.
(2つのグルテン関連疾患における腸透過性と粘膜免疫性遺伝子発現の相違:セリアック病とグルテン過敏性)BMC Medicine 2011,9:23
- CDとGSは別個の臨床上の実体であり、異なるグルテンへの腸粘膜反応によって引き起こされることを示唆する。
- この調査でのGS患者は、関連性のある自己免疫性現象と自己免疫性血清検査を示さなかった。
- GSで、AGA生成はHLA-DQ2拘束性、HLADQ8拘束性症状と関連性がないと考えられる。
- サイトカイン(特にTh1とTh17関連サイトカイン、IFN-γとIL-17A)
- CDにおいて、獲得免疫応答は、DQ2またはDQ8と結びつくtTG脱アミド化グルテン・ペプチド類によって誘発されることが示された。
- IL-17A転写物が少なくともCD患者の一群の小腸粘膜で有意に高いレベルで表出されたが、GS患者では見られなかった。
- IFN-γは、CD粘膜と比べ、GSの粘膜では有意に低いレベルで表出していた。
- GSではなくCDで、IL-6の有意な発現亢進を観察した
(IL-6:Th17細胞の分化と機能を促進する)。
- 制御性T細胞(Treg)
- Treg細胞(特に「獲得」Treg細胞)の機能減退は、CDおよび関連疾患での免疫性ホメオスタシスの損失と自己免疫反応の発症の原因であると提唱された。
- グルテン過敏性(GS)では、特有のTregマーカー(FOXP3)の粘膜発現が有意に減少した。
- クローン病(CD)と関連容態(たとえば1型糖尿病)では、FOXP3や他のTreg表出分子(TGFB1)が、末梢血と腸粘膜で発現増加した。
Voxel-based morphometry,FineSRTが診断に有用であったIVIg有効抗グリアジン抗体陽性小脳失調症の1例.
臨床神経学,49:37-42, 2009
- 日本ではセリアック病はまれで、抗グリアジン抗体陽性小脳失調の報告も少ない。
- しかし、自己免疫性小脳失調では、抗GAD、抗グリアジン抗体の陽性例が少なからず見られる
- そのため、小脳失調が疑われる患者では(抗GAD、抗甲状腺抗体を含め)抗グリアジン抗体も検査すべきだとしている。
(自己免疫性であれば、IVIgやステロイド、タクロリムスなどの免疫治療が取れるため)
Gluten ataxia 'in perspective'.
(『総体的な視点から見た』グルテン運動失調)Brain(2003), 126,e4
- AGAは特異的抗体ではなく、最高12%の正常健康対照者はAGA血清陽性を示す。
- HLA DQ2は、イギリス白人のおよそ3分の1で存在する非常に一般的なHLA対立遺伝子である。(注:アジア系では少ない)
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