「インフレ反対」の反対 (今、そこにあるデフレの危機) - フィリップス曲線の批判の批判
斎藤誠の今先を批判的に検討するスレ に既に検討されている話題を蒸し返す。
http://www.ichigobbs.org/cgi/15bbs/economy/0621/1-...

齊藤誠氏は以下の3つの家元です:

1.ブラックホール説 (量的緩和の無効性)
2.ハイパーインフレ説 (名目貨幣供給と無関係の合理的ハイパーインフレ)
3.インフレ期待を高めるためには名目金利の上昇を先行させれば良いという説

このすべてがフィッシャー方程式と合理的期待仮説 (物価の完全予見仮説) の
使い方の話と関係がある。

一番良いのは誰かが齊藤誠氏があちこちに書いているものをまとめて整合的に
解釈する方法を専門家が一般人に向けてわかり易く説明してくれること。すで
に日銀は 2000年夏にゼロ金利を解除してしまっているので、3について齊藤氏
には説明責任が生じていると思う。
 

15: 前スレ175  2002/10/01(Tue) 12:44
くろきさんが PDF にまとめた「齊藤のエイチ・ゼロ理論」に関しては、既に いろいろな方向から批判が出ているので、それを一旦まとめておきましょう。

(0) くろきさんの指摘
http://matari.ichigobbs.com/cgi/readres.cgi?bo=eco...
「齊藤誠のエイチ・ゼロ論法」によれば、「将来の物価水準が、物価水準の初期値と名目貨幣供給計画から一意に決定される設定のもとで、物価水準の初期値と
名目貨幣供給の両方とは無関係に制御不可能なハイパーインフレが起こり得る」という結論が得られます。

仮定と結論が矛盾しているからダメ、という指摘。

 私には h(0) = 0 であることが背理法で証明されてハイパーインフレが起きないことが示されたように見えるのですが、そう思っていただけない人を
説得するには他の方法での指摘が必要でしょう。

16: 仝  2002/10/01(Tue) 12:46
(1) くろきさんが封印した指摘 http://www.math.tohoku.ac.jp/~kuroki/Readings/hype...
 そもそも現実のハイパーインフレは中央銀行が名目貨幣供給量を断固として
引き締め続けることが皆に信認されればすぐに終息することが知られている。
現実のハイパーインフレは名目貨幣供給計画と決して無関係ではないのである。
「名目貨幣供給計画といっさい関係なし」にハイパーインフレが起き得るという
結論が出た時点で、その議論は非現実的であるという理由ですぐさま却下される
べきではないか。

 結論が非現実的であり、観測事実と整合しないからダメ、という指摘。
168 でさとるさんが「個人的には、モデルや論法よりも、こっちが大事だと思う」 とおっしゃるとおり、現実的感覚を大事にする相手なら、これで説得されてくれる 可能性が高い。
かなり現実性の低い結論なので、ハイパーインフレが具体的にはどのような形を
取るかについて、ミクロ的現象に踏み込んだ説明をする責任は齊藤側にあると
思うのですが、確信犯である場合、説明抜きに「起こるから起こるのだ」という
主張を繰り返されるだけに留まるおそれがあります。
 

28: 名無しサンバルカン  2002/10/02(Wed) 11:36
>25

  まず自分自身の見解を示した方が建設的。
自分自身の見解を最初に示すつもりのない方は議論の撹乱要因になると思われる。

  フィッシャー方程式の中の実質金利については、均衡実質金利(実質自然利子率)と期待実質金利の区別が重要。
齊藤はフィッシャー方程式の中の実質金利を均衡実質金利と解釈している。

そして齊藤は、短期名目金利がゼロであることがデフレの原因であると主張し、インフレ期待を引き上げるために短期名目金利の引き上げを先行させる
という政策を提案している。しかし、これはフィッシャー方程式の誤用である。
この指摘は岩田規久男が『エコノミックス2』の中でしている。
齊藤誠は批判へのコメントの中で岩田批判に答えていない。
(関係の論文は単行本『金融政策の論点』にまとめられている。)

さらに齊藤はフィッシャー方程式において「実際に実現される物価水準と期待物価水準が等しい」と仮定しているが、この仮定は現実的なのか?
私にはとても現実的だとは思えない。 現実的だと考える方々はどのように考えればそうなるかを説明して欲しい。 これに関しては齊藤誠の議論がまともだと思っている方の説明が必要である。

齊藤誠の議論がまともだと思っている人が誰もいなければ、
「もしも齊藤誠が○○というトンデモない考え方を××という理由でしていれば、そういう仮定が現実的だと考えていても不思議ではない」という解釈論でも可。

34: "歌舞音曲"  2002/10/02(Wed) 15:27
ところで岩田氏は斉藤氏が「しかし、斉藤論文によると、実質金利低下による設備投資促進を通じた景気対策効果はすでに失われてしまったという。
このことは、すでに現在の日本経済は完全雇用均衡にあると主張していることと同じである」(244)
では斉藤は実際のところ労働市場をどうとらえているのか? 先今では最近のフィリップス曲線の傾きが緩やかになったと指摘し、それをもって彼は「インフレ率と労働需給の関係は弱まった」(65)と述べている。斉藤は何をこの文句でいいたいのか僕にはわからない。いくつかの実証研究では、インフレ率と失業率の関係、つまりふぃりつぷす曲線が80年代は「死んで」、90年代は復活して、おまけに水平な形状を有し、マイルドなインフレを実現すれば失業はかなり減少することがわかるのに。「弱まった」ってなんだ???
もし仮に斉藤が完全雇用を想定しているとすると(そうするとなんで傾きが緩くなったといえるのかわからないが*、それはさておき)、確かに「足許のインフレ率の動向を機軸に金融政策を展開してしまうと、金融引締めや金融緩和のタイミングを見失ってしまう可能性がある」(65)。おそらく最近、日銀が必死こいて「実証」している構造的失業4%以上マンせー路線に完全に完全かつ過剰に(だって完全雇用に近いのだろ?)依拠しているのかもしれない。しかし、本当に構造的失業はそんなに高いのか? そもそも斉藤はそこらへんのことどう考えてんだ? こんな重要なことちゃんと書けよ。 *水平(あるいは緩い傾き)のフィリップス曲線と完全雇用に近い労働市場が両立する説明はあるかもしれないが、勉強不足でそんなの知らんし、悪人なので知る意欲もわかん。藁


何の事は無い。