システムの名称

情報収集艦

概要

西海(黄海)北方限界線 (NLL) 付近において無人偵察機を使った情報収集を行い、北朝鮮軍の動向を監視する。国家情報院に属するが運用は海軍が行う。
1番艦及び2番艦が就役済みで、現在は2013年末の戦力化を目指し、拡大改良版となる3番艦を建造中。無人偵察機は、1番艦及び2番艦はシャドー400、3番艦及び4番艦(計画中)はカムコプター S-100を搭載する。

装備

▼1番艦「シンセギ(新世紀)」(クリックで拡大)


▼2番艦「シンチョンジ(新天地)」(クリックで拡大)
 大きさは、ポーハン級(満載排水量約1,200トン)と同じくらいだという。


▼無人偵察機シャドー400


▼無人偵察機カムコプター S-100



▼3番艦「シンチョンヨン(新天龍)」
 建造中。AGX-2と呼ばれ、軽荷排水量3,500トン、満載排水量4,600トン。



その他

この他に、国防情報本部が運用する情報探査船「タドヘ(多島海)」があり、この艦は潜水艇母艦とされる。
(参考)
「北潜水艇追跡」タドヘ艦撤収[世界日報](2010.04.15)
ttp://www.segye.com/Articles/News/Politics/Article.asp?aid=20100414004671&subctg1=&subctg2=



ニュース記事

オーストリア製「カムコプター」4機導入、海軍情報艦に搭載[東亜日報](2011.04.20)

ttp://news.donga.com/3/all/20110420/36549497/1

政府が、西海北方限界線 (NLL) 上空に無人偵察機を投入し、この一帯を継続的に監視しようとしていることが分かった。

19日、政府消息筋によれば、最近導入した無人偵察機4機が試験評価を通過した。この偵察機は現在建造中の海軍情報艦に搭載され、早ければ来年に戦力化される予定だ。

情報当局が運用することになるこの無人偵察機は、オーストリア製「カムコプター S-100 (Camcopter S-100) 」であることが分かった。
カムコプターは、全長3m、最大速度時速240km、6,000mの高度で6時間滞空することができる。軍の消息筋は、「機体が小さいことから北朝鮮軍に発見される可能性が少なく、雨や雪、強風などの悪天候でも飛ばすことができる」と話した。また、ホバリンク飛行をしながら長時間の撮影が可能で、自律飛行制御システムを備えているため、通信が途絶えれば自動で指定された場所に戻ることができる。
このような卓越した機能により、米国、アラブ首長国連邦 (UAE) などに約130機が軍事偵察用として納入された。

軍の消息筋は、「無人偵察機4機が交代で24時間監視すれば、NLL一帯の北朝鮮軍は完全に監視下に置かれる」として「北朝鮮軍の艦艇がNLLを越えてくれば、無人偵察機を通じてリアルタイムに映像を受信できる。北朝鮮軍の正確な規模を把握することで味方の損害を減らし、敵の挑発を確実に退けられる戦力を投じられる」と話した。無人偵察機が配備されれば、NLL前方に配備した海軍艦艇を、もう少し後方に配備することが検討されている。

(2011.04.23.1)

穴の開いた西海5島情報網[月刊朝鮮](2011.01.01)

ttp://monthly.chosun.com/client/news/print.asp?nNewsNumb=201101100011&ctcd=

西海5島を監視する情報収集艦は鎮海基地に放置、延坪島への砲撃兆候は「気付きもせず」

2010年8月、国家情報院が北朝鮮の西海5島に対する攻撃の兆候を捕らえ、軍に「適切な対備態勢を取るように」と勧告しなかったことについて、「情報判断の誤り」という指摘がなされている。国家情報院が西海での砲撃について、何の「事前警告」もできなかったというのだ。対北朝鮮情報の専門家は、「国家情報院が西海5島の監視用として使っている「情報収集艦」があるにもかかわらず、北朝鮮の砲撃を防ぐことができなかったのは理解しがたい」としている。

では、なぜ防げなかったのか。それには背景がある。

1999年、第一次延坪(ヨンピョン)海戦が起こったとき、金大中(キム・デジュン)政府は、北朝鮮の高速艇、シルクワーム地対艦ミサイル、海岸砲などの動きを捕らえて、早期に警報を発しなければならない必要性を感じた。このため金大中政府は、国家情報院に情報収集艦の建造を進めるように命じ、そして情報収集艦が建造された。それまで我が軍は、まともな情報収集艦を保有しておらず、漁船に偽装した「情報収集艇」程度がせいぜいだったという。

金大中政府は、情報収集艦の予算を国家情報院が管理・支出するようにして、情報収集艦の運用は海軍が行うように役割を分けた。海軍が情報収集艦を運用して得た対北朝鮮の盗聴情報と映像情報は、国家情報院が「情報分析」をして軍と共有した。

対北朝鮮情報の専門家は、「国軍情報司令部が北派工作員を中心に「ヒューミント (人的諜報網: human + intelligence) 」組織を運営し、情報収集してきたものを国家情報院に一元化した」として、「太陽政策を進めた金大中政府が、攻撃的なヒューミント組織を運営することが北朝鮮との関係でマイナスになると判断して、国軍情報司令部の任務を大統領府が統制しやすい国家情報院に移管した」と話した。しかし、我々は今、このような情報収集の方向転換を問題にするわけではない。

西海5島監視用無人偵察機「シャドー400」2機墜落

国家情報院が情報収集艦を本格管理したのは、2002年6月に起こった第2次延坪海戦のときからだった。国家情報院は、2003年から本格的に情報収集艦の運用体制を構築し、「コスモス級」潜水艇を使った北派工作部隊の活動が中止されたことによる空白を情報収集艦で埋めた。情報収集艦は、西海5島で北朝鮮の高速艇、長射程砲や地対艦ミサイル基地などを集中的に監視して、敵の挑発兆候をあらかじめ把握する任務を帯びていた。国家情報院は、情報収集艦に搭載された各種の情報収集装備を通じて敵の通話などを盗聴し、同じく搭載された無人偵察機 (UAV) 「シャドー400 (Shadow-400) 」を使って敵の海岸砲陣地などを映像で監視してきた。

シンセギ(新世紀)艦に搭載された無人偵察機「シャドー400」は、在韓米陸軍も運用している無人偵察機で、地上作戦用として卓越した性能を有している。しかし「シャドー400」は海上作戦環境には不向きで、墜落事故が頻繁していた。

2003年6月、国家情報院が予算260億ウォンをかけて戦力化した海軍のUAVは、3機のうち1機は2007年に任務遂行中に西海、徳積(トクチョク)島近くの海上に墜落し、また、もう1機は2010年4月に東海、浦項(ポーハン)近くの海上で試験飛行中に墜落した。陸上用無人偵察機を海上で使うことに対する綿密な検討もせずに使ったことに伴う「副作用」だった。

国家情報院が情報収集艦で使うUAVは、全長4m、幅5mほどで、艦艇から飛ばして半径200kmの地域を飛行し、各種の情報を収集する役割を果たしてきた。特に「シャドー400」は、射出機から発射して網で回収する固定翼UAV方式なので、狭い艦艇で運用するには制限が多いという指摘があった。

任務遂行中や試験飛行中の墜落が相次ぎ、国家情報院と海軍は情報収集艦と無人偵察機「シャドー400」を鎮海基地に放置した。

2010年、国会国防委員会の予算案審議過程でも、国家情報院の「シャドー400」の運用実績は「俎上」に上った。ハンナラ党の金玉伊(キム・オクイ)議員は2010年10月17日の国政監査で、「2006年以後、年間の飛行回数が10回未満に過ぎない」と指摘した。

金議員によれば、海上用UAVは2005年に29回飛行しただけで、2006年と2007年はそれぞれ8回、2008年は5回、2009年は9回と一桁でしかない。2010年10月までは最初から偵察活動をあきらめた状態であった。2009年までの7年間では、試験飛行を合わせても83回に過ぎず、260億ウォンが必要とされた事業の効用性が疑問視されている。

情報収集艦に搭載された無人偵察機「シャドー400」の度重なる故障や、ローテーション任務に無理がある情報収集艦2隻体制での運用など、事態が深刻であることを一歩遅れて悟った国家情報院は、これまでの1番艦(シンセギ)、2番艦(シンチョンジ)に続き、3、4番艦の事業を急いで進めているという。特に、国家情報院は、3番艦「シンチョンヨン」の運用予算が確保されると、2013年末ごろに戦力化するという計画まで立てたといわれる。

ところが、これもまた不安なことに変わりない。現在、米軍は艦艇で運用するUAVを回転翼機にすべて入れ替えている。国家情報院と軍当局が、ヘリコプターのような回転翼形態のUAV導入を計画中であるため、特段問題はないように見える。特に、3、4番艦は回転翼機を搭載するという。軍当局が事実上確定段階として検討中なのは、オーストリア製無人偵察ヘリコプターだという。しかし、このヘリコプターは、2009年に行われた機種決定過程において、諜報収集用無人偵察ヘリコプターとしてはあまりにも貧弱な性能と評価された機種だ。ややもすれば、武器の性能検証が不十分であったために「くず鉄」に転落した「シャドー400」の前てつを踏むのではないかというおそれがある。

UAV性能改良事業、即座に予算計上

国会国防委員会は11月30日、7,146億ウォンを増額した2011年度の国防予算案を確定し、国家情報院と海軍が運用する情報艦「シンセギ艦」搭載UAV性能改良事業という名目で91億ウォンを計上した。2012年まで174億ウォンをかけてUAV 3機を追加で購入し、性能をアナログからデジタルに変える事業だという。導入機種は、米国AAI社の「シャドー400」で、2003年から海軍作戦司令部がシンセギ艦に搭載し、作戦海域でリアルタイムに映像情報を収集してきた機種だ。

民主党の安圭佰(アン・ギュベク)議員は、「シンセギ艦は鎮海に停泊しながら運用する情報艦で、西北島嶼の戦力増加とは関連がない予算」としたが、「平沢を拠点とする付帯条項を付けることで受け入れた」と話した。

民主党の徐鍾杓(ソ・ジョンピョ)議員は、「国家情報院と海軍がペクリョン島近くにUAVを配備して継続的に情報収集を行っていたならば、北朝鮮の延坪島への砲撃を事前に、十分に警告できた」と話した。

対北朝鮮情報の専門家は、性能をアナログからデジタルに変えたからといって、無条件的に性能が良くなるわけではないとして、今回こそ徹底して武器の性能を検証したあとで性能改良事業を進めなければならないと話した。

(その他)金泳三(キム・ヨンサム)政府、「火の海発言」以後、北朝鮮武器の導入事業を進める

1994年3月、金泳三政府は、北朝鮮が南北会談でソウルを火の海にすると発言したことを受けて、北朝鮮の長射程砲の導入事業を進めたという。この事業は、北朝鮮軍が保有する長射程砲砲弾の威力と実際の射程距離などを確認し、北の挑発に備えるのが目的であった。当時、国軍情報司令部は、北朝鮮軍が保有している長射程砲と放射砲(多連装ロケット)がミャンマーに輸出されるのを把握し、国内の貿易商を通じてこれを入手したというのだ。

当時、事業を代行したB貿易の関係者は、「北朝鮮の170mm長射程砲を入手するのに成功した」として、「谷山(コクサン)型自走砲と呼ばれる170mm長射程砲で、北朝鮮軍が延坪島砲撃に使った122mm放射砲車両も一緒に入手できた」と明らかにした。

彼は「秘密裏に入手した装備は、国防科学研究所 (ADD) の研究員が各種の試験評価を行い、武器の性能を1つ1つ把握した」として、「現在、この装備はどこかに保管されている」と話した。彼はまた「尚武台機械化学校には、1992年の盧泰愚(ノ・テウ)政府末期に入手したロシア製T-62戦車とT-72戦車もある」として、「これらの戦車も友好国や東欧圏の国家を通じて入手した」と話した。

このような敵性国の装備導入事業の始まりは第5共和国初期にさかのぼる。北朝鮮軍の象徴的な非対称武器であるAN-2低高度浸透機に備えるために、東欧圏の国家から民需用名目で10機余りを入手し、「北朝鮮軍の浸透に対する訓練用」として活用したという。我が政府がAN-2機を入手した直後、北朝鮮もこれに対抗して、「ヒューズ500D/E」ヘリコプターを当時の西ドイツを通じて入手し、保有していることが分かっている。韓国、北朝鮮が相手方の「示必線装備」を入手するための「戦争」を繰り広げていたのだ。

Y貿易の関係者は、「1996年、ロシア経済協力借款の返還事業として、ロシア製武器を正式に導入する「火熊事業」が始まり、秘密裏になされていた適性国装備導入事業は幕を下ろし、「公式」にロシア武器を導入し始めた」と話した。

(2011.04.23.1)










◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

管理人/副管理人のみ編集できます