1937(昭和12)年発行の「最新納豆製造法」の改版。第六章のBに「湯タンポ納豆」の項が追加された他、巻末に附録として「納豆問答」が掲載される。納豆製造のノウハウや納豆菌の入手先などが紹介され、まさに納豆製造者のための参考書といえる。
表紙画像は国会図書館蔵本の複写をスキャニングしたものです。

終戦後の改版に際して私は明文堂に予てから納豆業者各位の希望を満たす様、更に又新しく製造を希望する者の為に好き相談相手として、又改善の指導標となる様な書籍を出す様にお願いたして置きました所、漸く快諾を得て出版の運びになりました事を業界の為に欣快と存じます。
本書は納豆製造業者には勿論一般家庭の主婦並に一般の方々及農産製造に関心を持つ方々の為にも参考となる事を信じて居ります。
著者が盛岡高農農芸化学部の農産製造学と同細菌学を兼任し、製造の実験実習の指導中から久しき間に於て数多の納豆製造業者に親しく接して見聞いたしましたが、皆最後の目的は何れも如何にすれば粘りの強い良い納豆ができるのか何卒秘伝を授けて貰ひ度い。色々工夫して見たがどうも結果が思はしくないので、ある斯業の方に教りに行つた所が伝授料が数万円も要したと述べて居られた。二昔前に二-三百圓であったのが、其百倍になつたものと思はれる。
何れにせよ秘伝と云ふのはそんなに簡単に判るものでもなければ、又そんなに近寄り難いむづかしいものでもない。要は著者が常に唱導して居る様に納豆菌の性質をよく理解して納豆菌が最もよく繁殖し粘質物を生成し得る様な環境を造り栄養を与ふる事である。この原則が理解実行されないならば如何に優秀な納豆菌を使用しても到底良好な納豆を造る事は出来ないのであるから、改版に際して特に注意したいと思ふ。
昭和二十五年五月
著者識
本書は納豆製造業者には勿論一般家庭の主婦並に一般の方々及農産製造に関心を持つ方々の為にも参考となる事を信じて居ります。
著者が盛岡高農農芸化学部の農産製造学と同細菌学を兼任し、製造の実験実習の指導中から久しき間に於て数多の納豆製造業者に親しく接して見聞いたしましたが、皆最後の目的は何れも如何にすれば粘りの強い良い納豆ができるのか何卒秘伝を授けて貰ひ度い。色々工夫して見たがどうも結果が思はしくないので、ある斯業の方に教りに行つた所が伝授料が数万円も要したと述べて居られた。二昔前に二-三百圓であったのが、其百倍になつたものと思はれる。
何れにせよ秘伝と云ふのはそんなに簡単に判るものでもなければ、又そんなに近寄り難いむづかしいものでもない。要は著者が常に唱導して居る様に納豆菌の性質をよく理解して納豆菌が最もよく繁殖し粘質物を生成し得る様な環境を造り栄養を与ふる事である。この原則が理解実行されないならば如何に優秀な納豆菌を使用しても到底良好な納豆を造る事は出来ないのであるから、改版に際して特に注意したいと思ふ。
昭和二十五年五月
著者識
第一節 原料大豆
- 第一項 産地
- 第二項 大豆の種類
- 第三項 大豆の組織的性質
- 第四項 大豆の理学的性質
- 第五項 大豆の化学的成分
- 第六項 大豆の鑑別
- 第一項 納豆菌第一号(甲菌)
- 第二項 納豆菌第二号(乙菌)
第一節 営業設備
第二 大豆洗浄機
第三 大豆浸漬器
第四 烝熟装置
第二 收函
第三 納豆苞
- 第一項 原料大豆の処理機
第二 大豆洗浄機
第三 大豆浸漬器
第四 烝熟装置
- 第二項 納豆菌接種器
- 第三項 納豆容器
第二 收函
第三 納豆苞
- 第四項 納豆発酵室
- 第五項 苞納豆用発酵室
A 改良納豆製造法
第一節 大豆の処理法
第二 加圧蒸熟
第三 大豆の蒸熟に依る理化学的変化
第二節 納豆菌の接種
第四節 引込又は取込
第五節 発酵管理
第六節 出納豆
第七節 後熟
第八節 包装
第九節 荷造
B 苞納豆製造法
第一節 自家用として少量製造する方法
一 炬燵納豆
二 釜納豆
三 桶又は樽納豆
四 簡易改良納豆
五 油タンポ納豆
第二節 販売用として大量に製造する方法
第一節 大豆の処理法
- 第一項 精選
- 第二項 洗浄
- 第三項 浸漬
- 第四項 蒸熟又は煮熟
第二 加圧蒸熟
第三 大豆の蒸熟に依る理化学的変化
第二節 納豆菌の接種
- 第一項 納豆菌液の調整
- 第二項 接種法
第四節 引込又は取込
第五節 発酵管理
第六節 出納豆
第七節 後熟
第八節 包装
第九節 荷造
B 苞納豆製造法
第一節 自家用として少量製造する方法
一 炬燵納豆
二 釜納豆
三 桶又は樽納豆
四 簡易改良納豆
五 油タンポ納豆
第二節 販売用として大量に製造する方法
第一節 納豆の性状
- 第一項 納豆の理学的性質
- 第二項 納豆の化学的性質
- 第三項 納豆の生化学的性質
- 第一項 細菌学的鑑別
- 第二項 酵素化学的鑑別
- 第三項 肉眼的鑑別
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