9月10日に番茶づくり交流会が開催されます。
交流会を少しでも有意義なものにしたいと、番茶についてまとめてみました。
番茶とは、『茶の科学用語辞典』に「原料が硬化してから摘採して製造するものと、荒茶の仕上げ中に選別されるものと二通りある」とあるように、煎茶の中でも下級なものと位置づけられ、商品価値が低いものとされている。
しかし中村羊一郎氏が、番茶を「各地各様の伝統的製茶法によって作られてきた非商品としての日用の茶」と定義されるように、地方には多様な茶が残っていた。
【番茶の分類】
『日本の食生活全集』（農文協）は大正の終わりから昭和初期の食生活を再現している。
これから茶に関する記述を拾い出し、地方特有の番茶を殺青方法や揉む工程の有無で分類してみると次のとおり［後発酵茶を除く］で、今日の茶の分類からすると非常に多様であった。
「炙る」方法は製茶法と言えないだろうが、茶が利用されるようになった最初の形態と考えられる。
「そのまま干す」製法は薬草の一般的な利用方法と同じであり、これは茶が薬として活用されるようになった様子を伝えるもので、最も原始的な茶の利用法として位置づけられる。
「湯通し・煮る」という殺青法や干す乾燥法は、今日の経済的な茶の生産では見られない製法である。
�Г砲弔い討論�茶や蒸し製玉緑茶と類似する方法であり、��については釜炒り茶である。
『日本の食生活全集』にはこのほかに、後発酵茶の阿波番茶や碁石茶も記載されている。
煎茶は瑞々しい新芽が収穫対象となるが、番茶の多くは硬葉化した葉が収穫対象であり、ここに大きな違いがある。
番茶とは「晩く摘む茶」、つまり晩茶とも言われ、１、２月や１１、１２月に収穫が行われる番茶もあった。
また、茶の花も一緒に加工する番茶もあった。
【番茶の分布】
� 巛佞襦彿�法については谷阪智佳子氏の『自家用茶の民俗』を参考にまとめた。
また『日本の食生活全集』に記載事例の多い�ァ↓Α↓─↓�については次のとおりであるが、中部・近畿・中国・四国・九州に多く、��は主に九州に集中している。
▼� 巛佞襦彿�法の分布
▼�ァ崗�す→干す」製法の分布
▼�Α崗�す→揉む→干す」製法の分布
▼�─巛屬襤�揉む→干す」製法の分布
▼��「炒る→揉む→乾燥」製法の分布
【特殊な消費形態】
番茶には特殊な消費形態があり、一つは「茶粥」、もう一つは「振り茶」である。
茶粥は地域によって作り方に若干の違いがあるが、米を洗い煎じ出した番茶に塩加減をして炊く。
茶粥は西日本が中心となっているが、「奈良茶粥」「紀州茶粥」「碁石茶粥」が知られている。
▼奈良茶粥
振り茶は抹茶のように茶筅で泡立てる茶のことで、「ボテボテ茶」「ブクブク茶」「バタバタ茶」が知られている。
「ボテボテ茶」は煮豆・佃煮・漬け物を混ぜて食べるし、「ブクブク茶」は泡の上に砕いた落花生を振りかけてから飲む。
▼ブクブク茶
いずれも、茶が飲み物であり食べ物であった時代の名残りという説もある。
【番茶の歴史】
緑茶の輸出が奨励されていた明治時代、番茶は政府による規制によって淘汰されていった。
当時の茶業界最大の課題は粗悪不正茶つまり番茶の追放であって、明治17年の茶業組合準則を発布して番茶を取り締まり、20年には強制力をもつ規則へ改正して番茶が規制された。
こうして経済的に優れた煎茶の生産振興がなされる影に、番茶は駆逐されていった。
余談になるが、釜炒り茶も取締りの対象とされていたが、大正末期にロシアへの輸出品として釜炒り茶が有望視されたので、釜炒り茶風の蒸し茶として考案したのが｢蒸し製玉緑茶｣である（玉緑茶のルーツは別にあると私は考えている）。
今日の多様化する食の時代だからこそ、多様な番茶に価値が見いだせないだろうか。
生産される茶の多くが煎茶であり、煎茶を始めとしたリーフ茶が低迷している現状を考えると、番茶の多様性に注目する価値が十分にあると思われる。
地方で受け継がれている番茶は、生活習慣や食文化に根ざして飲み継がれてきた「日常の茶」である。
番茶が存在する意味を考えたい。
written by お茶の虫
交流会を少しでも有意義なものにしたいと、番茶についてまとめてみました。
番茶とは、『茶の科学用語辞典』に「原料が硬化してから摘採して製造するものと、荒茶の仕上げ中に選別されるものと二通りある」とあるように、煎茶の中でも下級なものと位置づけられ、商品価値が低いものとされている。
しかし中村羊一郎氏が、番茶を「各地各様の伝統的製茶法によって作られてきた非商品としての日用の茶」と定義されるように、地方には多様な茶が残っていた。
【番茶の分類】
『日本の食生活全集』（農文協）は大正の終わりから昭和初期の食生活を再現している。
これから茶に関する記述を拾い出し、地方特有の番茶を殺青方法や揉む工程の有無で分類してみると次のとおり［後発酵茶を除く］で、今日の茶の分類からすると非常に多様であった。
「炙る」方法は製茶法と言えないだろうが、茶が利用されるようになった最初の形態と考えられる。
「そのまま干す」製法は薬草の一般的な利用方法と同じであり、これは茶が薬として活用されるようになった様子を伝えるもので、最も原始的な茶の利用法として位置づけられる。
「湯通し・煮る」という殺青法や干す乾燥法は、今日の経済的な茶の生産では見られない製法である。
�Г砲弔い討論�茶や蒸し製玉緑茶と類似する方法であり、��については釜炒り茶である。
『日本の食生活全集』にはこのほかに、後発酵茶の阿波番茶や碁石茶も記載されている。
煎茶は瑞々しい新芽が収穫対象となるが、番茶の多くは硬葉化した葉が収穫対象であり、ここに大きな違いがある。
番茶とは「晩く摘む茶」、つまり晩茶とも言われ、１、２月や１１、１２月に収穫が行われる番茶もあった。
また、茶の花も一緒に加工する番茶もあった。
【番茶の分布】
� 巛佞襦彿�法については谷阪智佳子氏の『自家用茶の民俗』を参考にまとめた。
また『日本の食生活全集』に記載事例の多い�ァ↓Α↓─↓�については次のとおりであるが、中部・近畿・中国・四国・九州に多く、��は主に九州に集中している。
▼� 巛佞襦彿�法の分布
▼�ァ崗�す→干す」製法の分布
▼�Α崗�す→揉む→干す」製法の分布
▼�─巛屬襤�揉む→干す」製法の分布
▼��「炒る→揉む→乾燥」製法の分布
【特殊な消費形態】
番茶には特殊な消費形態があり、一つは「茶粥」、もう一つは「振り茶」である。
茶粥は地域によって作り方に若干の違いがあるが、米を洗い煎じ出した番茶に塩加減をして炊く。
茶粥は西日本が中心となっているが、「奈良茶粥」「紀州茶粥」「碁石茶粥」が知られている。
▼奈良茶粥
振り茶は抹茶のように茶筅で泡立てる茶のことで、「ボテボテ茶」「ブクブク茶」「バタバタ茶」が知られている。
「ボテボテ茶」は煮豆・佃煮・漬け物を混ぜて食べるし、「ブクブク茶」は泡の上に砕いた落花生を振りかけてから飲む。
▼ブクブク茶
いずれも、茶が飲み物であり食べ物であった時代の名残りという説もある。
【番茶の歴史】
緑茶の輸出が奨励されていた明治時代、番茶は政府による規制によって淘汰されていった。
当時の茶業界最大の課題は粗悪不正茶つまり番茶の追放であって、明治17年の茶業組合準則を発布して番茶を取り締まり、20年には強制力をもつ規則へ改正して番茶が規制された。
こうして経済的に優れた煎茶の生産振興がなされる影に、番茶は駆逐されていった。
余談になるが、釜炒り茶も取締りの対象とされていたが、大正末期にロシアへの輸出品として釜炒り茶が有望視されたので、釜炒り茶風の蒸し茶として考案したのが｢蒸し製玉緑茶｣である（玉緑茶のルーツは別にあると私は考えている）。
今日の多様化する食の時代だからこそ、多様な番茶に価値が見いだせないだろうか。
生産される茶の多くが煎茶であり、煎茶を始めとしたリーフ茶が低迷している現状を考えると、番茶の多様性に注目する価値が十分にあると思われる。
地方で受け継がれている番茶は、生活習慣や食文化に根ざして飲み継がれてきた「日常の茶」である。
番茶が存在する意味を考えたい。
written by お茶の虫
このページへのコメント
qervq4 <a href="http://rarvvszyxmtt.com/">rarvvszyxmtt</a>, [url=http://bmftdlytzrly.com/]bmftdlytzrly[/url], [link=http://dchuxupgwphq.com/]dchuxupgwphq[/link], http://uemdjecfivsy.com/