最近、静かに売れている本で新谷弘実著の「病気にならない生き方」という本をご存知でしょうか。
昨年９月に発行され、今年の２月には１６版を重ねています。
帯によると新谷さんは「全米ナンバーワンの胃腸内視鏡外科医」ということで、この著者の本はロングセラーになることが多いようです。最近ＴＶなどにも出ていらっしゃいます。
「世界一受けたい授業」などにも出て、ますます本が売れそうです。
この本では主に胃腸に焦点を当て、“胃相、腸相の悪い人に健康な人はいない”と言い切っています。
実はこの中で緑茶を飲むことが健康に（胃に）悪い、と言う部分があるのです。
このことが医学界の新常識になったらこわいですね。
この部分を引用してみます。
『緑茶を例に見てみましょう。
たしかに緑茶に多く含まれるカテキンには、殺菌効果や抗酸化作用があります。
そのため日本茶をたくさん飲んでいれば長生きするとか、ガンの予防につながるという
ストーリーが生まれました。でも私は、こうした「カテキン神話」にかねがね疑問を
抱いていました。それは先にも触れましたが「お茶をたくさん飲む習慣がある人の胃相は悪い」という臨床データが出ていたからです。
カテキンはいくつか結合すると「タンニン」と呼ばれるものになります。
タンニンというのは（中略）非常に酸化しやすい性質を持っており、熱湯や空気に
触れることにより容易に「タンニン酸」に変化します。そしてタンニン酸には、タンパクを凝固させる働きがあります。
ここからは私の仮説ですが、こうしたお茶に含まれるタンニン酸が、胃粘膜に悪い
影響をおよぼし、胃相を悪くしているのだと考えられます。』
そしてそれが胃がんにつながると書いているのです。
この手の本の影響力も馬鹿になりません。例えば、日本茶講座などで、この本を読んだ人から
「緑茶は胃の粘膜を荒らし、ひいては胃がんになる可能性もあると読んだのですが・・」
などという質問が出る可能性もあります。
この本では、色々と問題点があります。ひどいのは個人的な仮説にもとづいて断じている点です。
実は昨年、静岡産業大学名誉教授の富田勲先生にメールで、上記のようなことについてお尋ねしました。
その時の返事はこうでした。
『カテキンがタンニン酸に変化して・・・の件についてですが、カテキンが３−５分子ぐらい重合して生成するタンニンに
収斂作用があることが 知られています。 空腹時には影響がありますので、食事と一緒か、ミルクを入れて飲むほうが良いでしょう。』
ということでした。
そのこと自体は間違いではない、ということですね。しかし、書き方におおいに問題があります。
いかにも緑茶のせいで日本人の胃相が悪い、というかのような言い分はかなりおかしい。
アマゾンの書評の中にそのことに触れた部分があるので引用します。
消化器内科医ですが・・・, 2005/10/30
レビュアー： HITSP (北海道)
いわゆる新谷式大腸内視鏡挿入法（フッキングザフォールド）のビデオを見て勉強した世代です。３０歳代にしてすでに億万長者であった"彼"がこんなにもストイックな生活をしていたのか！と言う１種の驚きはあります。
大変面白い本ですが、気になる点がいつくかあります。その中で２点上げておきます。
★日本人の"胃相"が悪いのは"日本茶"のせいだ、としている点。
胃粘膜萎縮の最大の原因は”ピロリ菌感染”によるもの、というのが現在の常識。日本人に”胃相”の悪い人が多いのは、米国と比べて日本ではピロリ菌感染者が非常に多いからです。日本茶（カテキン）のせいにするのは、いかがなものか？と思います。
ピロリ菌が発見されたのは８３年、研究が本格化してきたのは９０年代。一方"彼"がこの理論を構築したのが７０年代から８０年代にかけて、と言うことを考えると、仕方ないかな、とは思いますが・・・。
★すべての病気が、あたかも"生活習慣に原因がある"かのような表現が目立つこと。本田三奈子も”生活習慣”のせいで白血病になったのか？ということになってしまいます。ちょっと極論過ぎますね。
・・いかがでしょうか？我々にとっては、“仕方ないかな”では済みませんけどね。
と、書いている今日は２月２５日で、新谷さんが「世界一受けたい授業」に出ちゃいました。そして・・
言わなきゃいいのに、言っちゃいました！
・・お茶のカテキンが胃に悪く、ガンになる可能性があるって・・。クソッ。
この本を読んでみたい方はご連絡くだされば、お貸しします。
by Udo
昨年９月に発行され、今年の２月には１６版を重ねています。
帯によると新谷さんは「全米ナンバーワンの胃腸内視鏡外科医」ということで、この著者の本はロングセラーになることが多いようです。最近ＴＶなどにも出ていらっしゃいます。
「世界一受けたい授業」などにも出て、ますます本が売れそうです。
この本では主に胃腸に焦点を当て、“胃相、腸相の悪い人に健康な人はいない”と言い切っています。
実はこの中で緑茶を飲むことが健康に（胃に）悪い、と言う部分があるのです。
このことが医学界の新常識になったらこわいですね。
この部分を引用してみます。
『緑茶を例に見てみましょう。
たしかに緑茶に多く含まれるカテキンには、殺菌効果や抗酸化作用があります。
そのため日本茶をたくさん飲んでいれば長生きするとか、ガンの予防につながるという
ストーリーが生まれました。でも私は、こうした「カテキン神話」にかねがね疑問を
抱いていました。それは先にも触れましたが「お茶をたくさん飲む習慣がある人の胃相は悪い」という臨床データが出ていたからです。
カテキンはいくつか結合すると「タンニン」と呼ばれるものになります。
タンニンというのは（中略）非常に酸化しやすい性質を持っており、熱湯や空気に
触れることにより容易に「タンニン酸」に変化します。そしてタンニン酸には、タンパクを凝固させる働きがあります。
ここからは私の仮説ですが、こうしたお茶に含まれるタンニン酸が、胃粘膜に悪い
影響をおよぼし、胃相を悪くしているのだと考えられます。』
そしてそれが胃がんにつながると書いているのです。
この手の本の影響力も馬鹿になりません。例えば、日本茶講座などで、この本を読んだ人から
「緑茶は胃の粘膜を荒らし、ひいては胃がんになる可能性もあると読んだのですが・・」
などという質問が出る可能性もあります。
この本では、色々と問題点があります。ひどいのは個人的な仮説にもとづいて断じている点です。
実は昨年、静岡産業大学名誉教授の富田勲先生にメールで、上記のようなことについてお尋ねしました。
その時の返事はこうでした。
『カテキンがタンニン酸に変化して・・・の件についてですが、カテキンが３−５分子ぐらい重合して生成するタンニンに
収斂作用があることが 知られています。 空腹時には影響がありますので、食事と一緒か、ミルクを入れて飲むほうが良いでしょう。』
ということでした。
そのこと自体は間違いではない、ということですね。しかし、書き方におおいに問題があります。
いかにも緑茶のせいで日本人の胃相が悪い、というかのような言い分はかなりおかしい。
アマゾンの書評の中にそのことに触れた部分があるので引用します。
消化器内科医ですが・・・, 2005/10/30
レビュアー： HITSP (北海道)
いわゆる新谷式大腸内視鏡挿入法（フッキングザフォールド）のビデオを見て勉強した世代です。３０歳代にしてすでに億万長者であった"彼"がこんなにもストイックな生活をしていたのか！と言う１種の驚きはあります。
大変面白い本ですが、気になる点がいつくかあります。その中で２点上げておきます。
★日本人の"胃相"が悪いのは"日本茶"のせいだ、としている点。
胃粘膜萎縮の最大の原因は”ピロリ菌感染”によるもの、というのが現在の常識。日本人に”胃相”の悪い人が多いのは、米国と比べて日本ではピロリ菌感染者が非常に多いからです。日本茶（カテキン）のせいにするのは、いかがなものか？と思います。
ピロリ菌が発見されたのは８３年、研究が本格化してきたのは９０年代。一方"彼"がこの理論を構築したのが７０年代から８０年代にかけて、と言うことを考えると、仕方ないかな、とは思いますが・・・。
★すべての病気が、あたかも"生活習慣に原因がある"かのような表現が目立つこと。本田三奈子も”生活習慣”のせいで白血病になったのか？ということになってしまいます。ちょっと極論過ぎますね。
・・いかがでしょうか？我々にとっては、“仕方ないかな”では済みませんけどね。
と、書いている今日は２月２５日で、新谷さんが「世界一受けたい授業」に出ちゃいました。そして・・
言わなきゃいいのに、言っちゃいました！
・・お茶のカテキンが胃に悪く、ガンになる可能性があるって・・。クソッ。
この本を読んでみたい方はご連絡くだされば、お貸しします。
by Udo
このページへのコメント
yww8j9 I truly appreciate this blog post.Thanks Again.
本の貸し出しありがとうございました。
座ってしっかりと読む気にならない稀有な本でした〜
超斜め読み〜
まあ、この方の食事療法で感謝している人もいるのだからしょうがないっちゃしょうがないけど確かに有働さんの言うように「クソッ」ですね。
しかも、茶業を生業とされているのだから・・・！
もしブルーベリーとサラタマが槍玉に上がるようなものならさらに容赦はしないぜっ！って感じです。
これって茶業では、そのまま放置ですか？？？
水面下で何か動きがあるのかしら？