二式局地戦闘機「閃電」/二式単座戦闘機乙「毘沙門」

 昭和17年度における日本陸軍の戦闘機情勢は芳しいものではなかった。
 機体の大半は旧式化してしまった九七式戦闘機であり、ようやく生産に入ったばかり新鋭機であるキ−43「隼」もキ−44「鍾馗」も満足のいく性能ではなかったためである。
 幸い龍神様の降臨による日米戦回避によって一息つくことができたため、陸軍ではより満足のいく次世代機の開発を急ぐことになるが、問題となったのはそれが完成するまでの間に訪れる戦力ギャップを埋めるための機体をどうするかであった。
 そんな陸軍の苦悩に目をつけたのが三菱である。
 当時、トラブルが続いていた十四試局地戦闘機(J2M1)に見切りをつけ始めた海軍に対し三菱側が代案として検討していた「金星搭載の零戦」を陸軍に提案したのである。
 陸軍としては、すでに十分な生産実績があり、かつ陸軍が持っていない20ミリといった強力な火力を持つ機体であることは十分魅力的なものであった。
 しかし、元々は海軍開発の機体であり、そのうえ陸海軍の間で未だ提供についての交渉もまとまっていないエリコン機銃に金星エンジンを搭載した代物となれば難航することは明白であった。
 こうした流れの中、水面下で陸海軍の接触が何度か行われることとなったのだが、予想に反して海軍側は現状の零戦の生産に支障がないのなら「金星搭載の零戦」を陸軍側で生産するのは特に問題はないとの結論を出してきた。
 これは、対米戦回避によって急激な軍備増強に待ったがかけられたことで、海軍の航空機生産数が減少し、エリコン機銃と金星エンジンの供給数に余裕が出たためであった。
 最終的には、将来は陸軍側で生産設備を構えるものの、当座は海軍よりエリコン機銃を供与し、機体については中島での零戦ラインを陸軍向けとして転用することで決着がつけられることになった(注1)。
 そして、まずは海軍で「金星搭載の零戦」を正式採用することし、二式局地戦闘機「閃電」(A6M4-J)の名前が与えられた。
 実際のところこの名称は書類上だけのもので、あくまで「元々海軍の機体を陸軍向けとして提供している」という形とするためのもので、海軍機として生産された機体は存在しない(注2)。
 陸軍のキ番号では元々陸軍向け「雷電」に与えられていた65番を与えられることとなり、機体の採用名称については皇紀二六〇二年に採用された事でキ−44とかぶることから、キ−44を二式単座戦闘機甲「鍾馗」とする一方、キ−65については対比するかのように二式単座戦闘機乙「毘沙門」とすることで決着がつけられることとなった。
 もっとも、さすがの陸軍でも「この名前はねーよ」という意見が多数昇っている。
 一般的にはニシキセン(ニシキタンセン)で通ったが、他にニシキタンオツ、タンオツ、タンセン、ロクゴー等々様々な名前で呼ばれている(一例として、ある部隊では毘沙門天を信仰していた上杉謙信にかけてケンシンと呼んでいたらしい)。

機体略号 A6M4-J/キ-65
 全幅 12m
 全長 9.1m
 全高 3.6m
 翼面積 22m2
 発動機 金星51型/ハ-112(離昇1,300hp)*注3
 最高速度 575km/h
 上昇力 6,000mまで7分
 実用上昇限度 10,300m
 降下制限速度 630km/h
 航続距離 全速30分+950km(正規)/全速30分+1900km(増槽あり)
 武装 海軍九九式一号20mm機銃/陸軍二式二十粍固定機関砲 短 ホ-7 2挺 *注4
  海軍九七式7.7mm機銃2挺

 データーは先行生産型のもの。
 量産機は海軍機銃(7.7mm)の代わりに八九式7.7mm機関銃を搭載している。
 基本的には機体は着艦フックを外した零戦二一型であるが、改良型として零戦三二型相当の機体に八九式の代わりにホ-103を搭載することを検討したものや、近く形になる金星五四型を搭載する案、あるいは機首武装をやめ翼内にホ-7とホ-103を搭載する案などが検討されている。

注1:海軍側としてみれば、陸軍枠で航空ラインの維持が可能ということが協定締結に当たっての一番のポイントであった。
 ただし、いろいろもめ事はあったらしく、それを黙らせるためにキ−44との模擬空戦が行われている。

注2:プロット上は海軍機としては生産されない予定であるが、作者(龍神様の中の人)の話の都合で急展開することがあります(笑)
 もっとも、そんな機会があったとしても少数で終わる予定。
 そもそも必要なら普通に「艦載機型の金星搭載零戦」が作られるはずですから(ぉ

注3:史実だと金星54型相当であるが、龍神様世界では51型相当の品がハ−112となった。

注4:海軍九九式一号20mm機銃と陸軍二式二十粍固定機関砲 短 ホ-7は同じものである。
 ちなみに、九九式二号20mm機銃が二式二十粍固定機関砲 長 ホ-17と同じものとなっている。

補足:海軍が九九式二〇亠―討魘〕燭靴紳紊錣蠅卜Ψ海らはホ-103が提供されている。

 作者補足
 SSスレ6時点において、先行量産型が竜州に到着。
 陸軍航空隊に配備。
2010年10月23日(土) 01:56:40 Modified by nadesikononakanohito




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