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48 :おにたけ:2011/08/10(水) 09:47:34.21 ID:t2zqNUp0

■告白
「ごめんね、あやせちゃん……でも、京ちゃんは悪くないの」
「本当ですか?だって麻奈実さん……」
「おねがいがあるの、京ちゃんと二人にしてくれないかな……あやせちゃん。本当にごめんね」
小さな声だが決意を込めた麻奈実の言葉に、あやせは引き下がらざるを得なかった。
納得はしてないようだったが、あやせは麻奈実にメールか電話を下さいねと言って、そっと部屋を去っていった。
あやせが立ち去った今、残された二人。俺と麻奈実に沈黙が訪れる。

その重苦しい空気を破ったのは麻奈実の方だった。
「京ちゃん。今から私、馬鹿なことを言うね。きっと信じられない…ううん信じなくてもいいから聞いて」
涙声でようやく口にしたその言葉のあと、麻奈実は俺に語り始めた。
「私、妊娠してるみたいなの」
「!?」
絶句という状態を俺が味わったのは、これが人生初だった。
言葉を失った俺をよそに、麻奈実は俺の目を見ながら話してくれた。

半年前に電車の中で、普段の周期とは違うのに生理が来たこと。
その日に、駅や学校で何度も不思議な下痢に見舞われたこと。
家に帰って風呂場で身体を洗っている最中に女性器が傷つき血が出ていたこと。
そして、その日の夜に部屋の中でレイプされる<夢>を見たこと。

それが全ての始まりだったという。
その後ずっと生理が不順になり、幾度も悪夢に悩まされたと言う麻奈美。
妊娠検査薬では陰性だが、どんどん膨らむ腹部と悪阻のような吐き気。
ただことではないと思い始めた矢先の三日前、この部屋で寝ていて再び悪夢をみたという。

「あのね…知らないおじさんが部屋の中で私の身体にエッチなことしながら言ったの……」
言葉を詰まらせ、大粒の涙を流して話す麻奈実。
「お腹の赤ちゃんは、私とその知らないおじさんの子だって。時間を止めて私が知らないうちに何度もエッチしたって」
そう告げて、麻奈実は布団をはだけて、俺にボタンが張り詰めるぐらい膨らんだパジャマの腹部を見せた。
麻奈美の腹部は確かに不自然に膨らんでいる。
麻奈美が本当に妊娠?そんなバカな。知らない男に時間を止められて子どもができたって?
俺は麻奈美に向かって冗談半分に『太ったんじゃないのか?』と言っていたことを思い出して自分の発言を悔いた。

「ま、麻奈実……」
「やっぱり信じないよね。おかしいよね私」
目を伏せ、大きく息を吐く麻奈実は、小さく肩を落とす。
ともすれば、そのまま消えてしまいそうな雰囲気すらある。
「俺は信じる。麻奈実が俺に嘘をついたことはないしな。それにお前の顔を見れば分かることだ」
その言葉に嘘偽りはない。俺は全面的に麻奈実を信じることにした。
たとえそれが麻奈実の勘違いや、自己の精神防衛のため<虚言>であっても、俺に対しては<嘘をつかない>はずだから。
「京ちゃん……だってわたし、わたし……エッチしたことないんだよ!それなのに」
「わかってる。俺は麻奈実を完全に信じてる。とにかくだ、俺と一緒に病院に行こう。いますぐ」
そう強く宣言した俺に、何者かが耳元でささやいた。

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