第41回TREEセミナー予告

11月25日(木)17:00 〜 18:00
場所:東邦大学理学部5号館5209教室(東邦大学理学部へのアクセス

分断化された森林地域におけるアカゲラの個体群維持機構

森 さやか Sayaka Mori
東大院・農・生物多様性/日本野鳥の会・自然保護室

要旨
 人為的な生息地の破壊や改変は,外来種の侵入と共に生物多様性減少の主要因であると考えられている.そうした危機が問題視される現代において,動物の個体群維持機構を解明することは,生態学の主要課題のひとつであるだけでなく,様々な分野における野生生物や生息環境の管理,保全などの実際的な問題解決のためにも必要性が高まっている.
 個体群のサイズは,増加をもたらす出生と移入と,減少をもたらす死亡と移出の4つの人口学的パラメータのバランスで決定される.見かけ上は同じように個体数が維持されている個体群でも,これらのバランスが異なれば生物学的な意義は大きく異なる.したがって,個体群維持のメカニズムを知るためには,人口学的パラメータの変動パターンを把握することが不可欠である.人口学的パラメータの変動は,適応度を最大化するような個体のふるまいから創発されると考えられる.個体のなわばり環境選択,繁殖,移動,分散といった行動は時空間的に変化し,ハビタット構造も時空間的に変化する.つまり,これらの間の関係に生じる時空間的な変化のパターンを把握することが,人口学的パラメータの変動のプロセスを知る手がかりになる.しかし,そうしたパターンは観察するスケールによって変化することが知られている.これは,個体の適応的行動は局所の条件で決定されるだけでなく,より広域スケールの条件にも制約されるためである.こうしたスケールの問題を解決するためには,複数の空間スケールにおいて個体の行動パターンを把握することが必要である.
 本研究では,森林の分断化した農耕地域に生息するアカゲラDendrocopos majorを対象に,繁殖個体の行動を経年観察して人口学的パラメータの時空間的変動パターンを捉えるとともに,複数の空間スケールにわたって個体群維持機構を検討した.
 アカゲラでの個体群維持機構の知見は,将来的には日本固有のノグチゲラ等の近縁希少種の保全にも応用可能であると考えられる.また,アカゲラがふくまれるキツツキ類は,樹木に穴を掘る能力を持つため,森林生態系において他の多くの2次樹洞利用種への樹洞提供者として重要視されており、その個体群動態の理解への関心は高い.


ポスター:第41回ポスター

このページへのコメント

PbyOC5 <a href="http://khzfmqfnwhsv.com/">khzfmqfnwhsv</a>, [url=http://wqjktjqyaprf.com/]wqjktjqyaprf[/url], [link=http://kobocazohqed.com/]kobocazohqed[/link], http://qffowuautfvj.com/

0
Posted by qhbyhq 2013年11月21日(木) 21:12:09 返信

b5Phc6 <a href="http://bbiktzvsonxm.com/">bbiktzvsonxm</a>, [url=http://cxqkvphafufq.com/]cxqkvphafufq[/url], [link=http://fxkyedjkqxro.com/]fxkyedjkqxro[/link], http://zzoarpwjyugy.com/

0
Posted by iadttev 2013年11月15日(金) 06:47:44 返信

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

Wiki内検索

管理人/副管理人のみ編集できます