呟き尾形の個人的な資料です。

第十八計 擒賊擒王「賊を擒えんには王を擒えよ(ぞくをとらえんには、おうをとらえよ)」

 三国志で有名な、曹操は。生涯に何度も死地に陥るほどの敗北を喫しています。
 たとえば、濮陽に立てこもっていた呂布の討伐に向かった時のことです。
 城内に内通者を作って、攻撃の手はずを整え、夜陰にまぎれて東門に接近したとたん、呂布の軍が打って出ました。
 敵の策にはまった曹操が「はかられた」と気付いた時には呂布の騎馬に囲まれていましたが、曹操は何とか危機を脱しました。
 逆に呂布は、この戦いで見事に曹操を敗走させたものの、肝心の曹操を取り逃がした。
 そのために、呂布は、態勢を立て直した曹操によって四年後に滅ぼされてしまいました。
 いくら、戦でカ等とも、敵の大将を倒さなければ勝った事にはならないというよい例だといえるでしょう。


 擒賊擒王とは、敵の主力、或いは中枢部を壊滅させなければ本当に勝ったことにはならないという考え方をもっています。
 どいうことかといいますと、小さな局地的勝利を積み上げてもそれは最終的な勝利に結びつくこととは別です。
 たとえ、全勝していながら主力を叩けず、敵の主力に被害をあたえられなければ、単に、手負いの虎を放って山に帰すだけのことで、傷が治れば、再び虎は舞い戻ってきます。
 つまり、小さな局地的な勝利を得たと浮かれて、手を緩めると、相手は息を吹き返して反撃に転じ、かえって敗北の要因になります。
 そうならないために、相手の息を吹き返させないような手を打たなければなりません。
 そのためには、相手の大将を倒して、敵の組織力を無くすこと、そして、相手の反撃の意志を打ち砕かなければならないということだといえるでしょう。
 相手の大将を倒すということは簡単な事ではありません。
 ただ、そのヒントが、中国の漢詩で有名な杜甫の詩の中にあります。
 「人を射んとすればまず馬を射よ、賊を擒えんとせばまず王を擒えよ」
 です。
 日本では「将を射いんとすれば、馬を射よ」という諺にもなっています。
 意味は、目的を果たすには、その周囲にあるものから、手をつけていかなければならないという意味です。

 よく、目的と目標を混同するな、と戦略家は言います。
 目的とは、実現しよう、到達しようとして目指す事柄です。
 目標とは、なしとげようとして設けた目当てです。
 たとえば、盗賊団を捕まえることを目的とします。
 そのための目標として、盗賊の頭目を捕らえて、盗賊団の組織
力を奪うことが挙げられます。
 つまり、目的は達成すべき状態に対して、目標は、その過程
における手段の段階であるといえるでしょう。
 つまり、敵を潰滅させるには敵の中枢を撃破して主将を捕ら
えろと言うことわけです。
 逆に言えば、いくら敵の末端をもぎ取っても敵の、指揮系統
を絶たなければ本当の勝利にはならないと言うことにもなりま
す。
 相手のの人数が如何に多かろうと、相手の主将さえ討ち取れば
連動した組織的な活動ができなくなり、烏合の衆と化します。

 さて、現代においては、擒賊擒王は、どのような活用方法
があるでしょうか?
 それは、日常的によくあることです。
 それは、ずばり、交渉です。
 交渉するということは、ある事を実現するために、当事者と話し合うことですが、当事者を説得するということです。

 擒賊擒王が活用できる場合は、相手が、自分が交渉しようとすることにステレオタイプを持っていたり、疑心暗鬼に陥っている場合は、どんなに論理的、客観的に説明しても聞いてもらえません。
 そんなときは、 相手を説得する場合、直接相手を口説き落とそうとするよりも、の相手に影響力のある人物にアプローチする方が有効です。
 会社を取り仕切る社長を落とそうというなら、社長を尻に敷いている奥さん。
 商戦であれば、家財の財布を握っている奥さんをターゲットに絞る。
 異性を口説き落としたければ、異性の親友か家族。
 といったものです。
 まずは、口説き落とす相手が誰を頼りにしているか、誰を信頼しているかをみきわめ、擒賊擒王をつかえば、成果はあげられるでしょう。




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呟き尾形の孫子の兵法自転

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