【定義】
仏弟子としての名前のこと。本来は、「法諱」「法名」「法号」などと呼称された。江戸時代中期から末期にかけて、「戒名」という名称が受戒した者(仏弟子)に与えられる名前として認識されるようになったようである。
特に、近代以降の曹洞宗では「受戒成仏」の観念が一部で盛んとなっており、仏道に入り成仏するにはまず受戒をして戒名をもらわなければならないとされる。なお、古来は出家者のみに与えられるものだったが、中国や日本では、在家者にも与えられるようになった。さらに日本曹洞宗では、中世には「没後作僧」の方法が存在し、現在は公式の檀信徒喪儀法で、故人の没後に授戒を行うようになることが一般化したため、死者(亡者)にも授戒され、その結果、戒名が与えられるようになった。
【戒名への誤解について(1)】
最近では、「死後の名前」と混同している者がいるが、それは短絡的である。死後に喪儀をして付ける場合が多いから、そう誤解されているが、生前に戒名を貰う人がいる以上、その定義は不当である。正しくは、先に述べた通り、受戒をされた者に対し、戒を授けた僧侶から授けられる名前である。「安名」項も要参照。
【戒名への誤解について(2)】
良く、釈迦牟尼仏が戒名を付けることはしなかったので、仏教では用いるべきでは無いという人がいるが、これは一種の原理主義的発想でしかなく、退けられるべきである。もし、同様の発想、つまり、釈尊が用いなかったため否定されるべきだ、という見解が罷り通るとすれば、現在全世界にある仏教の全てが、その存在意義を失ってしまう。よって、問題は、その一々を原理主義的発想で否定するのでは無く、現在存在している事実を肯定しつつ、一々の内容を吟味すべきである。戒名については、禅の伝灯では既にインドにて、仏教に入門する段階で名前を変えた例があるとする(一例・菩提多羅 ⇒ 菩提達磨)ため、これを事実上の戒名と見なせる。その意味では、1500年近い伝統があるといえる。更には釈尊自身にもニグローダ・カッパ命名の伝承があるため、仏弟子に相応しい名前で呼ぶようにするという意味での改名(法名)は、釈尊由来と考えて良い。
【戒名・院号・道号・位階について】
例・●●院■■○○居士
この場合、●●院が「院号(他に、軒号や庵号、院殿号・寺殿号などがある)」、■■が「道号」、○○がいわゆる「戒名」を指し、「居士」の部分は「位階(大姉、信士、信女、大居士、清大姉、禅尼、上座、他がある)」である。よって、いわゆる「戒名」というのは、「○○」のことを意味するのである。
【戒名命名基準】
戒名は必ず伝戒をしている僧侶から受けなくてはならない。僧侶が付け方を参究する場合の参考資料として、以下に幾つか挙げる。
・永久岳水『行持学全集第十二巻 戒名の知識と戒名の字鑑』(鴻盟社、1952年)
・永久岳水『曹洞宗行持の仕方叢書 法名・戒名の選び方』(国書刊行会、1939年)
仏弟子としての名前のこと。本来は、「法諱」「法名」「法号」などと呼称された。江戸時代中期から末期にかけて、「戒名」という名称が受戒した者(仏弟子)に与えられる名前として認識されるようになったようである。
特に、近代以降の曹洞宗では「受戒成仏」の観念が一部で盛んとなっており、仏道に入り成仏するにはまず受戒をして戒名をもらわなければならないとされる。なお、古来は出家者のみに与えられるものだったが、中国や日本では、在家者にも与えられるようになった。さらに日本曹洞宗では、中世には「没後作僧」の方法が存在し、現在は公式の檀信徒喪儀法で、故人の没後に授戒を行うようになることが一般化したため、死者(亡者)にも授戒され、その結果、戒名が与えられるようになった。
【戒名への誤解について(1)】
最近では、「死後の名前」と混同している者がいるが、それは短絡的である。死後に喪儀をして付ける場合が多いから、そう誤解されているが、生前に戒名を貰う人がいる以上、その定義は不当である。正しくは、先に述べた通り、受戒をされた者に対し、戒を授けた僧侶から授けられる名前である。「安名」項も要参照。
【戒名への誤解について(2)】
良く、釈迦牟尼仏が戒名を付けることはしなかったので、仏教では用いるべきでは無いという人がいるが、これは一種の原理主義的発想でしかなく、退けられるべきである。もし、同様の発想、つまり、釈尊が用いなかったため否定されるべきだ、という見解が罷り通るとすれば、現在全世界にある仏教の全てが、その存在意義を失ってしまう。よって、問題は、その一々を原理主義的発想で否定するのでは無く、現在存在している事実を肯定しつつ、一々の内容を吟味すべきである。戒名については、禅の伝灯では既にインドにて、仏教に入門する段階で名前を変えた例があるとする(一例・菩提多羅 ⇒ 菩提達磨)ため、これを事実上の戒名と見なせる。その意味では、1500年近い伝統があるといえる。更には釈尊自身にもニグローダ・カッパ命名の伝承があるため、仏弟子に相応しい名前で呼ぶようにするという意味での改名(法名)は、釈尊由来と考えて良い。
【戒名・院号・道号・位階について】
例・●●院■■○○居士
この場合、●●院が「院号(他に、軒号や庵号、院殿号・寺殿号などがある)」、■■が「道号」、○○がいわゆる「戒名」を指し、「居士」の部分は「位階(大姉、信士、信女、大居士、清大姉、禅尼、上座、他がある)」である。よって、いわゆる「戒名」というのは、「○○」のことを意味するのである。
【戒名命名基準】
戒名は必ず伝戒をしている僧侶から受けなくてはならない。僧侶が付け方を参究する場合の参考資料として、以下に幾つか挙げる。
・永久岳水『行持学全集第十二巻 戒名の知識と戒名の字鑑』(鴻盟社、1952年)
・永久岳水『曹洞宗行持の仕方叢書 法名・戒名の選び方』(国書刊行会、1939年)
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