【定義】
摂律儀戒・摂善法戒・摂衆生戒の3つのこと。三聚清浄戒や菩薩三聚戒などという。日本曹洞宗では十六条戒に含める。
【内容】
本来は、大乗仏教の教説で、様々な経論に見える。特に、早い段階では『華厳経』に見え、更に『瑜伽師地論』やその異訳である『菩薩地持経』などに説かれた概念であった。中国撰述ともされる『梵網経』には採用されずに終わり、『菩薩瓔珞本業経』には「三受門」として採用された。
1.摂律儀戒とは、一切の悪事や不善をなさないことである。
2.摂善法戒とは、一切の福善を行うことである。
3.摂衆生戒とは、一切の衆生を摂受して救済利益することである。
内容的に分類すれば、1は大乗仏教でも小乗仏教でも共通する概念であり、「七仏通誡偈」の「諸悪莫作」に該当するが、特に利他を欠くため「守護戒」ともいう。また、2は「七仏通誡偈」における「衆善奉行」に該当するといえる。また、3は大乗仏教のみである。そして、1・2は自利行であるが、3は利他行である。これら3つが行われることで、自利利他の菩薩行が円満する。
面山師は、凡夫の三毒を三聚浄戒に変えて実践すべきであると解釈されている。なお、現在の日本曹洞宗では、出家受戒でも、一般の授戒でも三帰戒の次に三聚浄戒を授ける形になっている。それは、道元禅師も『教授戒文』にて説かれるところである。
なお、瑩山禅師が口伝されたという『三木一草事』によれば、当時、在家人への結縁のために授けられていたのは三聚戒であるという。
【関係論文】
・佐久間賢祐「洞門三聚浄戒考」、『印度学仏教学研究』46-1、1997年
摂律儀戒・摂善法戒・摂衆生戒の3つのこと。三聚清浄戒や菩薩三聚戒などという。日本曹洞宗では十六条戒に含める。
【内容】
本来は、大乗仏教の教説で、様々な経論に見える。特に、早い段階では『華厳経』に見え、更に『瑜伽師地論』やその異訳である『菩薩地持経』などに説かれた概念であった。中国撰述ともされる『梵網経』には採用されずに終わり、『菩薩瓔珞本業経』には「三受門」として採用された。
1.摂律儀戒とは、一切の悪事や不善をなさないことである。
2.摂善法戒とは、一切の福善を行うことである。
3.摂衆生戒とは、一切の衆生を摂受して救済利益することである。
内容的に分類すれば、1は大乗仏教でも小乗仏教でも共通する概念であり、「七仏通誡偈」の「諸悪莫作」に該当するが、特に利他を欠くため「守護戒」ともいう。また、2は「七仏通誡偈」における「衆善奉行」に該当するといえる。また、3は大乗仏教のみである。そして、1・2は自利行であるが、3は利他行である。これら3つが行われることで、自利利他の菩薩行が円満する。
このゆへに菩薩の三聚浄戒と云は、一切の善を捨ずして修せんと誓ふ、これを摂善法戒と名く。これは、凡夫の貪欲のこころを、しなをかへて用ふるなり。又一切の悪を断じてなさじと誓ふ、これを摂律儀戒と名づく。これは凡夫の瞋恚のこころを、品をかへて用ふるなり。この悪をなさざると、善をなすとの二つの功徳を、一切衆生の為に回向して、畢竟して無辺の衆生を、のこりなく度しつくさんと誓ふ、これを摂衆生戒といふ。これは、凡夫の愚痴のこころを、しなをかへて用ふるなり。 面山瑞方『自受用三昧』
面山師は、凡夫の三毒を三聚浄戒に変えて実践すべきであると解釈されている。なお、現在の日本曹洞宗では、出家受戒でも、一般の授戒でも三帰戒の次に三聚浄戒を授ける形になっている。それは、道元禅師も『教授戒文』にて説かれるところである。
三聚戒有り。摂律儀 諸仏法の律する所の窟宅なり、諸仏法の律する所の根源なり。摂善法 三藐三菩提の法、能行所行の道なり。摂衆生 凡を超え聖を越え、自を度し他を度すなり。是を三聚戒と名づく。
なお、瑩山禅師が口伝されたという『三木一草事』によれば、当時、在家人への結縁のために授けられていたのは三聚戒であるという。
介公いわく、唐土の在家の男女に受戒の事あり。これは三聚戒を授く。わが朝の結縁に潅頂するがごとし、と。
【関係論文】
・佐久間賢祐「洞門三聚浄戒考」、『印度学仏教学研究』46-1、1997年
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