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【定義】

大乗仏教の利他行の実践に生きる菩薩が具える心であり、一切の衆生に対して、広く慈しみ、苦を滅しようとすること。

【内容】

慈悲とは慈と悲という二字から成立しているとおり、それぞれ別の意味の言葉である。慈は他に対する思いやりであり、一切の存在に幸福を与える与楽を意味する。悲は他に対する憐憫の心であり、苦しみから救う、抜苦を意味している。なお、大乗仏教菩薩四無量心を有し、それは「慈・悲・喜・捨」である。

我々は、慈悲というと、単純な「優しさ」ばかりを考えてしまうが、あくまでも仏道に向かわせる方便が慈悲であるため、厳しさも慈悲となることがある。
昔恵心僧都、一日庭前に草を食する鹿を人をして打ちおはしむ。時に人有リ、問ウテ云ク、「師、慈悲なきに似たり。草を惜シンで畜生を悩マす。」僧都云ク、「我れ若シ是レを打タずんば、この鹿、人に馴れて悪人に近づかん時、必ず殺されん。この故に打つなり。」ト。鹿を打ツは慈悲なきに似タれども、内心の道理、慈悲余れる事是のごとし。 『正法眼蔵随聞記』巻1-7

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