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【定義】

師から印可証明を受けた弟子に対し、伝法するための儀式のこと。現在の曹洞宗では、『曹洞宗宗制』により、7日間の加行を行うことが定められているが、その6日目の深夜に行われるのが「伝法式」であり、『伝法室内式』を使って行われなくてはならない。

【内容】

最近ではこの儀式については、余人の伺い見ることを禁ずるというような伝承があるためか、非公開の場合が多い。ただし、道元禅師の時代から同様に非公開であったかは、不明である。
この仏法相伝の嫡意なること、一代にかくれなし。如来、むかし霊山会上にして、正法眼蔵涅槃妙心無上の大法をもて、ひとり迦葉尊者にのみ付法せし儀式は、現在して上界にある天衆、まのあたりみしもの存せり、うたがふべきにたらず。 『弁道話

また、永平寺3世・徹通義介禅師が、道元禅師や懐弉禅師から聞書したことをまとめた『御遺言記録』を見ると、懐弉禅師の口から、秘密裏に行われた伝法式について語られている。ただしこれが、懐弉禅師の本意だったのか、それとも、義介禅師及びその系統に連なる者が自らの権威を確立せんがために作り上げたことなのかは、判別が出来ない。
同三日、堂頭和尚嗣書並びに袈裟を伝うる事、委細を示して言く、「先師の内家(室内)に此の事に至りて能く知る者は只だ我れ一人而已。余の人の知るは總じて一人も無し。此の事に至りて伝法す可き者、人は之れを知るなり。露命定まらざるが故に之れを示す。我れ此れを記せず、汝此れを記す可からず、只だ憶持して忘れざれ云々」

更にいえば現行の『伝法室内式』は、この『御遺言記録』の後半部分の「伝法式」を原型に、更に下った時代に作り出された行法であると推定され、道元禅師に近い時代には、伝法と伝戒とは区別されず、しかも、たった1日のみの加行で行われていた可能性が高い。

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