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【定義】

面山瑞方禅師が記した、仏祖正伝の大戒について論じた著作。全1巻、享保9年(1724)8月に、肥後の清潭寺にて書かれたものだが、20年余り経過した延享5年(1748)2月に永平寺42世・円月?江寂禅師の序を得て刊行された。現在このテキストは、『曹洞宗全書』「禅戒」巻で見ることが可能である。また、面山禅師は、本書に対する批判などを考慮し、後に『仏祖正伝大戒訣或問』を記した。

【内容】

本書の内容は、宗門所伝の大戒菩薩戒)について、様々な経論によって、主要の事項を註解しながら、その伝承や戒義を明らかにしたものである。面山禅師は、本書撰述の動機に、末法の世にあって、祖師の伝統を理解しない者が多いことを嘆いている。

上中下の三巻から成る本書は、仏祖正伝菩薩戒は、釈迦牟尼仏を戒源とし、嫡嫡面授二十八伝して達磨大師に到り、達磨西来の後に、歴代の祖師が相承して二十三伝、天童如浄に到って、道元禅師に継承されたことを示された。

さらに、達磨の伝戒については、天台宗の光定や最澄の所説を挙げ、更に鎌倉時代の状況として、栄西禅師・明全和尚・道元禅師・東福円爾・心地覚心・虎関師錬などの例を挙げて、菩薩戒が伝承されてきた様子を明らかにした。それによって、面山禅師は、天台宗の円頓戒と、仏祖正伝菩薩戒とは、趣を同じくすることを示した。

この趣意に依って、総論・声聞菩薩二僧差別・声聞菩薩二戒勝劣・共声聞漸修菩薩・不共声聞直往菩薩・直往菩薩戒大綱という順序に、それぞれ経論や祖録から引きながら、更に面山禅師自身の見解を付して、要訣を示した。下巻では、直往菩薩十六条戒・授受軌則・持犯要義・懺悔大意・菩薩行願について、十六条戒に関する大乗経典の文証を中心に菩薩戒の内容を示している。

面山禅師の本書によって、天台宗の円頓戒と、宗門の菩薩戒とが、その所伝や内容が同様であるという見地が展開され、宗門の大戒について論じられる素地となった。また本書が撰述された頃、甘露英泉が『尸羅敲髄章』を示すなどしており、宗門に於ける禅戒論は、まず教宗との交通を探るところから始まったことが理解できる。

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