【定義】
道元禅師の『正法眼蔵』の巻名の一。95巻本では17巻、60巻本では12巻。仁治2年(1241)夏安居日に、興聖寺で道元禅師が慧達禅人に書いて授けた法語である。なお、仁治2年5月13日に、懐弉禅師が首座寮で書写したことを示す写本もある。
【内容】
本巻は、75巻本・12巻本には見えず、60巻本にのみ確認される。「菩提薩埵四摂法」と同じ位置付けとなる。奥書から、門人の慧達禅人が出家したことに因み、執筆、授与されたものと推定されている。なお、慧達という法名は、六祖慧能禅師の門人・法達と1字共通しており、法達が『法華経』を学んでいた者であったため、慧達も天台宗などで『法華経』を学んでいた者か。巻名は、中国禅宗六祖慧能禅師が門人の法達に示した「心迷法華転、心悟転法華」に由来するが、両語の意味は以下の通り解釈されている。
・いはゆる法華転といふは、心迷なり。心迷は、すなはち法華転なり。しかあればすなはち、心迷は法華に転ぜらるるなり。
・心悟転法華といふは、法華を転ずるといふなり。いはゆる、法華の、われらを転ずるちから究尽するときに、かへりてみづからを転ずる如是力を現成するなり。この現成は、転法華なり。
本巻は、『妙法蓮華経』全28品から、その肝要となる語句や概念を列ねて文章としている。道元禅師の『妙法蓮華経』観を知る一巻であると同時に、縦横無尽に『妙法蓮華経』本文を使いこなすという意味で、経文よりも境涯に重きを置いた提唱と見ることも出来る。
なお、60巻本であるため、永平寺5世・義雲禅師の頌と著語が残るが、以下の通りである。
第十二法華転法華 被月照翫月
明月の一輪万象を呑む。却って還た万象蟾光を発す。任它順逆迷悟の類。祗だ是れ法華の法華を転ずるのみ。
頭尾龍と相せず、蛇互いに契科し諍う。虚空と万象と、法華の法華を転ずるなり。
道元禅師の『正法眼蔵』の巻名の一。95巻本では17巻、60巻本では12巻。仁治2年(1241)夏安居日に、興聖寺で道元禅師が慧達禅人に書いて授けた法語である。なお、仁治2年5月13日に、懐弉禅師が首座寮で書写したことを示す写本もある。
【内容】
本巻は、75巻本・12巻本には見えず、60巻本にのみ確認される。「菩提薩埵四摂法」と同じ位置付けとなる。奥書から、門人の慧達禅人が出家したことに因み、執筆、授与されたものと推定されている。なお、慧達という法名は、六祖慧能禅師の門人・法達と1字共通しており、法達が『法華経』を学んでいた者であったため、慧達も天台宗などで『法華経』を学んでいた者か。巻名は、中国禅宗六祖慧能禅師が門人の法達に示した「心迷法華転、心悟転法華」に由来するが、両語の意味は以下の通り解釈されている。
・いはゆる法華転といふは、心迷なり。心迷は、すなはち法華転なり。しかあればすなはち、心迷は法華に転ぜらるるなり。
・心悟転法華といふは、法華を転ずるといふなり。いはゆる、法華の、われらを転ずるちから究尽するときに、かへりてみづからを転ずる如是力を現成するなり。この現成は、転法華なり。
本巻は、『妙法蓮華経』全28品から、その肝要となる語句や概念を列ねて文章としている。道元禅師の『妙法蓮華経』観を知る一巻であると同時に、縦横無尽に『妙法蓮華経』本文を使いこなすという意味で、経文よりも境涯に重きを置いた提唱と見ることも出来る。
なお、60巻本であるため、永平寺5世・義雲禅師の頌と著語が残るが、以下の通りである。
第十二法華転法華 被月照翫月
明月の一輪万象を呑む。却って還た万象蟾光を発す。任它順逆迷悟の類。祗だ是れ法華の法華を転ずるのみ。
頭尾龍と相せず、蛇互いに契科し諍う。虚空と万象と、法華の法華を転ずるなり。
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