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【定義】

弥勒はマイトレーヤ(maitreya:サンスクリット語)の音写で、慈心に因むことから慈氏菩薩ともいう。釈尊入滅後、56億7千万年後に成仏するとされ、未来仏?の位置付けである。
一切衆生の、授記をうるとき、弥勒も受記をうるなり。しばらくなんぢ維摩にとふ、弥勒は衆生と同なりや異なりや、試道看。 『正法眼蔵』「授記」巻

【内容】

曹洞宗における弥勒信仰だが、多岐に渡るため列挙しておきたい。

◎未来仏として

十仏名の中に、「未来仏」として名前が出ている。
当来下生弥勒尊仏 『赴粥飯法』

なお、現在の大本山永平寺の本尊は三世仏であり、未来仏は弥勒如来とされる。

◎袈裟の伝承

元々禅宗では、釈尊から摩訶迦葉尊者が附属を受けて、弥勒仏まで袈裟(金襴衣)を伝えるとされるが、その信仰は受容されている。
このゆえに、迦葉仏の袈裟、いま釈迦牟尼仏、著しましますに、長にあらず、ひろきにあらず。今釈迦牟尼仏の袈裟、弥勒如来、著しましますに、みぢかきにあらず、せばきにあらず。 『正法眼蔵』「袈裟功徳」巻

◎誓願の証明

瑩山紹瑾禅師は、弥勒菩薩から誓願を証明されたとする。
一願は菩提心を生生に発し、本師宝慶寂円和尚の所に於いて、諸共に、慈氏菩薩の証明を為せし故に、身命を顧みず、生生世世、本願の如く護持すべし。 『洞谷記』

更に、瑩山禅師の夢に弥勒菩薩が現れたとした。
弥勒夢に入り、青蓮華の大座を与え、転生すること三生、而も接引飛空して、諸天妓楽して弥勒の前に奉送し、導いて、兜内院に参じ、而も不退転位に至る。 『洞谷記』

このように弥勒が夢の中に入ってきて、瑩山禅師を導いたという。

◎羅漢信仰への展開

羅漢(応供)とは、釈尊入滅後、弥勒成仏まで「正法」を護持する存在とされたが、曹洞宗では羅漢(応供)信仰へと展開し、道元禅師・瑩山禅師による「羅漢供養」が知られ、更に、現状の朝課に「応供諷経」が編入されている。
三明六通、末法を正法に回し、五力八解、群生を無生に導き、山門の二輪常に転じ、国土の三災永く消せんことを。 「応供諷経」回向文

◎弥勒下生の年代について

江戸時代の学僧・面山瑞方禅師が、「弥勒下生年数諸説不同考」(『面山広録』巻14)と考察し、『弥勒上生経』『弥勒来時経』『処処経』『法苑珠林』『新婆沙論』『賢劫経』の六本を比較検討した。
上件六説皆同じからず、則今彼を難じ、此を取れば、此に背き、彼に就く。但、当来の年数、須く大概を論ずべし、瑣細を以て久近を議せずして、可なるか。 「弥勒下生年数諸説不同考」

以上の6本では「五十億七千六十万」や「五十六億七千万」など多様で、最も長い年数は「六十億六十万」までとなっており、確かに不同だが、面山禅師は詳細を論じるべきでは無いという立場を主張した。

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