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【定義】

後醍醐天皇が、總持寺瑩山紹瑾禅師に対して、元亨年間(1321〜24)に下した十の問いのこと。總持寺に伝わる『十種勅問』は、元亨2年(1322)に報答されたと考えられている。また、永光寺にも異本が伝わるが、そちらは『十種疑滞』と呼ばれる。上記2本以外にも、『帝尊問答(外題は『瑩山国師十種疑滞』)』と呼ばれ、元亨元年(1321)に報答されようとした本が確認されている。現在は、両方ともに『曹洞宗全書』「宗源(下)」巻などに収録され、容易に閲覧可能である。

【内容】

後醍醐天皇は、臨済宗法灯派の孤峰覚明を使いとして、瑩山禅師に対し禅宗に於ける十の疑問を問い質したという。それが、現在總持寺に伝わる『十種勅問』として知られている。内容は、以下の項目である。

1.祖位教位同別
2.達磨乗一葉蘆
3.不立文字及文字禅
4.死四大分散堕獄何物
5.父母霊受供物乎
6.世尊成道時迷人同覚耶
7.金剛経出諸仏耶
8.大通仏十劫坐道場今時人成仏道耶
9.清浄不入涅槃破戒不堕耶
10.趙州無字公案工夫

なお、同じ事態を背景にした異本が『十種疑滞』として永光寺に伝わる。こちらは、元応2年(1320)に行われたものであるという。その項目は以下の通り。なお、總持寺本と同じ場合には、それを「同上○(○は總持寺本の数字)」示す。

1.洞済二家異
2.達磨浮一葉疑(同上2)
3.同上6
4.信心徳疑問
5.同上10
6.経転不転疑
7.同上8
8.同上5
9.維摩経文疑(同上9)
10.四大平等身地獄天宮差如何

また、この勅問に答えたことにより、後醍醐天皇は瑩山禅師に対して紫衣を賜ろうとし、更に勅額を下して「曹洞出世之道場」という綸旨を下した。なお、本著作に関しては、その写本の様子などから不明な点が多く、未だにその内容が結しているとは言い難い。

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