曹洞禅・仏教に関するwikiです。人名・書名・寺院名・思想・行持等々について管理人が研究した結果を簡潔に示しています。曹洞禅・仏教に関する情報をお求めの方は、まず当wikiからどうぞ。

【定義】

戦後の宗侶の再教育を目指していた曹洞宗宗務庁教育部が、1950年から刊行していた『曹洞宗通信講座』を再編集し新規の原稿も加えて1955年(昭和30)1月に『曹洞宗教育叢書』として刊行した。全7巻。各巻巻末には、当時の曹洞宗教育部長・遠藤霊洋老師の「後記」が掲載され、『通信講座』から『曹洞宗教育叢書』へ移行した経緯が示されている。
今回"曹洞宗教育叢書"七巻を刊行し、宗乗余乗を中心として編集した。特に"通信講座"になかつた、学道用心集、正法眼蔵面授の巻を新たに駒沢大学教授榑林皓堂先生にお願いして書下しを加えた。 「後記」

以上から、従来の内容に加え、『学道用心集』、『正法眼蔵』「面授」巻の講義が、榑林皓堂先生によって加えられた様子が分かる。なお、元の『通信講座』全体を再編したのでは無く、【内容】に書いた通り、部分収録となっている。本書の意義は、以下のように示されている。
思うに敗戦十年、祖国の精神的再建いまだならず、むしろ至るところ撞着している逆説的矛盾を見る時、正しい宗教的精神力こそ、その源泉ではあるまいか。その意味に於て現代の大きな課題にこたえる宗教は如何にあるべきか――これは共通の現代人の苦悩であるとしても、特に吾々仏者は十分に三省し研鑽し、その解答は常に用意されていかねればならない筈だ。本叢書はそれへの一つの大きな機縁とし、役立つことを念願して編集された。 「後記」

非常なる決意が感じられる文章であり、本叢書を通してより良き宗侶を育てたいと願う、当時の宗門当局の姿勢が見られるものといえる。

【内容】

本叢書は全7巻であるが、発刊日は全て同じにしている。また、各巻の内容は以下の通り筆者名(敬称略記)・書名を挙げる。なお、各項目の末尾には、元の『通信講座』の収録巻数を挙げて、対照しておく。

●第1巻

・榑林皓堂「永平大清規講義」(第1〜8巻)

●第2巻

・衛藤即応「正法眼蔵弁道話講義」(第9・10巻)
・榑林皓堂「正法眼蔵道心講義」(第11巻)
・佐藤泰舜「参同契講義」(第12巻)
・佐藤泰舜「宝鏡三昧講義」(第13巻)

●第3巻

・榑林皓堂「永平初祖学道用心集講義」(書下し)
・榑林皓堂「正法眼蔵面授講義」(書下し)

●第4巻

・川瀬臥牛「普勧坐禅儀講義」(第12巻)
・安藤文英「坐禅用心記講義」(第9〜11巻)
・榑林皓堂「伝光録講義」(第13巻)

●第5巻

・保坂玉泉「現代各宗綱要総説」(第8・9巻)
・衛藤即応「現代各宗綱要各説」(第10〜13巻)

●第6巻

・水野弘元「日用経典解説総説」(第1〜4巻)
・保坂玉泉「日用経典解説各説」(第5〜7巻〉

●第7巻

・増永霊鳳「日本禅宗史」(第6〜8巻)
・宇井伯寿「インド仏教史」(第1巻)

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