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【定義】

竈はかまど、竈公とは、竈の神のこと。調理を行う際、その竈の火を守護してくれる神のことで、特に日本曹洞宗では、道元禅師の家訓以来、この神を祭り、諷経功徳回向することが求められている。

【内容】

現在の『行持軌範』では、竈公諷経について、典座が飯や菜を調える際(10時頃が想定されている)に、行者に竈公へ諷経させることを定めている。

【読誦する経典等】

・『大悲心陀羅尼

回向文
上来、大悲心陀羅尼を諷誦する功徳は、当山竈公真宰回向す、法を護り人を安んぜんことを。

【歴史的伝承】

この諷経については道元禅師が細かく定めるところでもあるので、それも合わせてみていきたい。そもそも、調理を司る「典座」の作法や心得を定めた『典座教訓』では、「竈公諷経」についての記述は、簡潔である。
米を択び、菜を択ぶ等の時、行者諷経して竈公に回向せよ。 『典座教訓

上記で見るように、この「諷経」の内容は知られないが、別に典座の進退を定めた『知事清規』では、この諷経についても詳細が示されている。
米を択び菜を択ぶ等の時、行者諷経して竈公に回向せよ。いわゆる諷経とは、安楽行品・金剛般若・普門品・楞厳呪・大悲呪・金光明空品・永嘉の証道歌・大潙の警策・三祖の信心銘、等なり。随宜に諷経して竈公に回向するなり。回向に云く、上来某経を諷経す。また云く、上来諷誦する功徳は、当山竈公真宰回向す。法を護し人を安ずる者なり。十方三世一切諸仏、諸尊菩薩摩訶薩、摩訶般若波羅蜜。堪能の行者を請して、諷経頭と作す。 『知事清規』「典座」項

この一文を見ると、ほぼ現在のような諷経が行われていた可能性がある。現在では『大悲呪』だけだが、当時はそれ以外にも多くの種類の経典や祖師の言葉を読誦して、回向文(写本を見ても、当時は訓読されていない)を唱え、略三宝(若干文言に同異あり)を唱えるところまで同じであり、法要に堪能な行者が、諷経をリードする所などは、現在の維那の配役を想起せしめるところである。

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