つらつら日暮らしWiki〈曹洞宗関連用語集〉 - 扇子
【定義】

扇のこと。僧侶が涼を取るために使われるだけではなく、説法の時の仏具としても使われる。他には、拄杖?払子如意竹箆、などがある。

【内容】

何本かの竹や木や鉄などを骨としてその本を要で綴って広げて紙を貼り、折りたたみが出来るようになったものである。中国で扇と言えば団扇のことであり、折りたたみができるのは日本の創始である。

仏具としての扇で、現在使用されているのは、普通の扇子と異なり、親骨の中程から上部を外に反らして開いているものがあり、中啓と呼ばれる。これは首座法戦式などで、首座が持つことで知られるが、扇子を持つ第一座が第二座などと問答して、どちらが扇子を持つかを競うことがあり、古来法戦式では「扇子商量」として恒例となっていた。

なお、問答の際に扇を使った例としては、『正法眼蔵』「現成公案」巻に引用された麻谷宝徹禅師のものがある。
麻浴山宝徹禅師、あふぎをつかふちなみに、僧きたりてとふ、風性常住、無処不周なり、なにをもてかさらに和尚あふぎをつかふ。師云く、なんぢただ風性常住をしれりとも、いまだところとしていたらずといふことなき道理をしらず、と。僧曰く、いかならんかこれ無処不周底の道理。ときに、師、あふぎをつかふのみなり。僧、礼拝す。

しかし、これは中国の事例であるため、おそらく扇=団扇のことだったと思われる。また、道元禅師は興聖寺で行った上堂で、ただ一度だけ扇子を使っている。
上堂に、挙す。古人、扇子を拈起して云く「你に任す、千般の巧、終に両様の風無し」と。師云く、興聖、即ち然らず。你に任す千般の巧、更に万様の風を看る。遂に扇子を放下して云く、大衆而今、是、作麼生、と。『永平広録』巻1−63上堂

ここでも、もし中国の方法で行ったとすれば団扇であろうし、日本で手に入る物を使ったとすればいわゆるの扇子だった可能性が高い。しかし、文面からでは判断はできない。