つらつら日暮らしWiki〈曹洞禅・仏教関連用語集〉 - 愛名
【定義】

名誉を愛すること。道元禅師は、仏道から遠ざかる心として批判する。
先師天童?和尚は、越上人事なり。十九歳にして、教学?をすてて参学するに、七旬におよむでなほ不退なり。嘉定の皇帝より紫衣師号をたまはるといへども、つひにうけず、修表辞謝す。十方雲衲、ともに崇重す、遠近の有識、ともに随喜するなり。皇帝、大悦して御茶をたまふ。しれるものは奇代の事と讃嘆す。まことにこれ真実の行持なり。そのゆえは、愛名は犯禁よりもあし、犯禁は一時の非なり、愛名は一生の累なり。おろかにしてすてざることなかれ、くらくしてうくることなかれ。うけざるは行持なり、すつるは行持なり。六代の祖師、おのおの師号あるは、みな滅後の勅諡なり、在世の愛名にあらず。しかあれば、すみやかに生死の愛名をすてて、仏祖の行持をねかふべし。貪愛して禽獣にひとしきことなかれ。 『正法眼蔵』「行持(下)」巻