つらつら日暮らしWiki〈曹洞禅・仏教関連用語集〉 - 易行
【定義】

学人の負担にならずに行える安易な修行のこと。道元禅師は従来の仏祖難行を通して仏道を成就してきた事実を挙げ、易行を否定される。
今人云く、行じ易き行を行ずべし、と。此の言、尤も非なり、太だ仏道に合せず。若し事を専らにして行に擬せば、偃臥なお懶し、一事に懶ければ万事に懶し。易きを好む人、自ら道器に非ざることを知る。況や今世流布の法、これ乃ち釈迦大師、無量劫来、難行苦行して、然る後に乃ちこの法を得たまえり。本源既に爾り、流派あに易かるべけんや。好道の士は易行に志すことなかれ。若し易行を求むれば、定めて実地に達せず、必ず宝所に到らざらんもの歟。古人、大力量を具えて尚お言う、行じ難し、と。識るべし、仏道は深大なることを。若し仏道、本より行じ易ければ、古来、大力量の士、難行難解と言うべからず。今人を以て古人に比すれば、九牛の一毛にも及ばず。而もこの少根薄識を以て、縦い力を励まして難行能行に擬するとも、なお古人の易行易解にも及ぶべからず。今人の好む所の易解易行の法は、其れ是れ何ぞや。已に世法に非ず、又、仏法にも非ず、未だ天魔波旬の行に及ばず、未だ外道二乗の行に及ばず、凡夫迷妄の甚だしきというべき歟。 『学道用心集』「参禅に知るべき事」章