丹霞天然禅師は木仏をたく、是れこそ悪事と見えたれども、是れも一段の説法施設なり。この師の行状の記を見るに、坐するに必ず儀あり、立するに必ず礼あり、常に貴き賓客に向かふがごとし。暫時の坐にも必ず跏趺し、叉手す。常住物を守る事眼睛のごとくす。勤修するもの有れば必ず加す。小善なれども是れを重くす。常図の行状勝レたり。彼の記をとどめて今の世までも叢林の亀鏡とするなり。 『正法眼蔵随聞記』巻4-8