【定義】
『
信心銘拈提』の語句の出典などを研究した文献。「痴鈍者」或いは「山陰の鈍者」などとも名乗った
万回?一線に関わる。『
続曹洞宗全書』「注解一」巻に延享4年写本を底本にした翻刻が収録されている。
【内容】
本書の成立については不明な点が多いが、管理人所持の、万回一線が寛保2年に
大本山總持寺方丈にて書写した『
信心銘拈提略抄?』には「外に事略在り」と示し、その関連性を示す。また、愛知学院大学禅研究所所蔵の『信心銘拈提事略』写本の巻末には「寛保三年〈癸亥〉春三月吉辰日 謹書之」との奥書が見えるため、これを完成年次と捉えることが出来る。
また、『
曹洞宗全書』「解題」に本書の詳細な解説(担当・河村孝道先生)が示されるが、
天桂伝尊
禅師系の万回は、天桂の
宗風に則り、60巻本『
正法眼蔵』を縦横に用いて、『信心銘拈提』の註釈を行っていることも特徴的である。