【定義】
尊宿たる僧侶の
遷化に際して行われる
喪儀法。他の喪儀法に比べて規模が大きい場合が多い。多くの事情を鑑み(
寺院の大小や、その僧侶の立場など)て適切な規模を決めて行われる
修行である(規模の問題は、「
仏事」項参照)。
【内容】
禅宗で
喪儀法が儀礼的に明文化しているのは中国雲門宗の僧侶によって編集された『
禅苑清規』であるが、その段階で既に
喪儀法は尊宿喪儀法(尊宿遷化)と
亡僧喪儀法(亡僧)とに分かれていた。そして、それが現代まで基本的に踏襲されている。なお、現状の『
行持軌範』に「尊宿喪儀法」が組み入れられたのは、大正7年(1918)6月の改訂時に於いて、「臨時行持法の末に尊宿喪儀法を追加す」(カナをかなに改める)とある通りである。
また、
日本曹洞宗で最初に
修行された「尊宿喪儀法」は、おそらく
道元禅師の遷化時であろう。
同(建長5年9月)十二日、申刻に方丈に入涅槃の儀式の如く、茶菓珍饈灯燭備えて供養を致し、法事を勤行す。孝礼悉く之れ在り。 『建撕記』
この後は多くの
僧侶が遷化時に同法を修行したと考えられ、また徹通
義介禅師や、
瑩山紹瑾禅師など、一部の僧には「
喪記」という喪儀時の記録集(配役や差定、遺物の分配などの記録)が残る。
【差定】
現行の『曹洞宗
行持軌範』では、
尊宿の
遷化から始まり、随喜された方々への御礼まで含めた
差定となっている。
・示寂
・維那告報
・遺経読誦?
・門牌?
・主喪
・訃状?
・遺嘱?
・請仏事之儀?
・請喪司諸職?、請諸仏事師?
・牓
・入龕(1)
・移龕(2)
・鎖龕(3)
・掛真(4)
・対真小参(5)
・大夜念誦
・起龕(6)
・出喪
・奠湯(7)
・奠茶(8)
・秉炬(9)
・山頭念誦
・荼毘
・収舎利
・安位諷経
・設斎
・遺贈?
これらは、一応「九仏事(各項目の
(数字)が該当)」を基本として挙げたが、もちろん、「
仏事」項にて示した通り、寺院の規模や
尊宿の立場などで「仏事」の数は九から減らされることがある。