つらつら日暮らしWiki〈曹洞禅・仏教関連用語集〉 - 典座
【定義】

六知事の一。禅院で衆僧の食事を掌る職位のこと。なお、道元禅師は次のように示される。
就中、典座の一職は、是れ衆僧の弁食を掌る。 『典座教訓

【内容】

道元禅師は『典座教訓』『知事清規』「典座」項の中で、典座職についての細かな指示を行い、また道心が篤い者が多いことなどを示しながら、禅師御自身の修行に於いても、典座に逢ったこと(一般的に「椎茸典座」と呼ばれる)によって、大きな前進をすることができたことを示している。
山僧聊か文字を知り弁道を了ずる事は、乃ち彼の典座の大恩なり。 『典座教訓』

知事清規』「典座」項でも、詳細な行法が示される。また、典座の法を日本に伝えたのは、自分自身であるとされる。
我が日本国寺院典座の法、大仏初めて伝う。前来、未曾有。 『永平広録』巻2-138上堂

なお、以上のように示されてはいるが、栄西禅師の開いた建仁寺にも典座職はあったようだが、機能はしていなかったとされる。
山僧帰国より以降、錫を建仁に駐すること一両三年、彼の寺愗かにも此の職を置く、唯だ名字のみ有りて、全く人の実無し。未だ是れ仏事なることを識らず。豈に敢えて道を弁肯ならんや。真に憐憫すべし、其の人に遇わずして虚しく光陰を度り、浪りに道業を破ることを。曾て彼の寺此の職の僧を看るに、二時の斎粥都て事を管せず。 『典座教訓