つらつら日暮らしWiki〈曹洞禅・仏教関連用語集〉 - 当願衆生
【定義】

『華厳経』「浄行品」の140(訳によっては141)の四句偈に見える定型句で、衆生が様々な行を行う時には必ず3句目以下のことを思い、誓願すべきであるという句。原意に従うならば「当に願うべし、衆生」と訓ずるべきだが、慣例に則り、現在の曹洞宗でも、「当に願わくは衆生とともに」と訓ずる。
華厳経浄行品云、手執楊枝、当願衆生、心得正法、自然清浄。 『正法眼蔵』「洗面」巻

【内容】

【定義】でも記したが、「当願衆生」は「当に願うべし、衆生」と訓ずるところ、これを「当に願わくは衆生ととも(共)に」と訓じている。これについて、大内青巒居士が作ったものとされていたが、典拠を見出したので報告しておきたい。明治時代、各宗派や、仏教青年会などで「礼讃文」という字句を読んで、諸会を開式することがあった。そこで、その「礼讃文」は「人身受け難し、今已に受く」から始まる一節をもって三帰依を促し、続いて「三帰礼文」を唱え、「開経偈」を続け、末尾は「普回向」で終える。なお、この全文が訓読されており、「当願衆生」は「当に願わくは衆生とともに」と訓読されている。そして、この訓読を含めて大内青巒居士の制作であった。
本会は又会員諸氏の仏教徒として会場の秩序を守り、威儀の端粛恭敬ならんを必要と認めしより、兼て仏教全体に通ずる講場の方規を制定せんことを大内講師に謀りしに、同講師は大に之を賛し、直に之れを制定し、講場略規として印刷に附し、広く会員に頒付せらる、 『仏教講話録 明治二十六年仏教講話集』大日本仏教青年会・明治26年

以上のように、明治25年から始まった大日本仏教青年会の夏期講習会で使う「講場の方規」として「礼讃文」が制定されたことが分かる。