先師は、十九歳より離郷尋師、弁道功夫すること、六十五載にいたりて、なほ不退不転なり。帝者に親近せず、帝者にみえず、丞相と親厚ならず、官員と親厚ならず。紫衣・師号を表辞するのみにあらず、一生、まだらなる袈裟を搭せず、よのつねに上堂・入室、みなくろき袈裟・裰子をもちいる。 『正法眼蔵』「行持(下)」巻