つらつら日暮らしWiki〈曹洞禅・仏教関連用語集〉 - 不落因果
【定義】

訓ずれば、「因果に落ちず」ということ。因果から超然としてとらわれの無いことを意味する。中国禅宗の「百丈野狐話」にて採り上げられる。道元禅師は『正法眼蔵』「大修行」巻では「たとひ不落因果の祇対、たとひあやまれりとも、かならず野狐身に堕すべからず」として、まだ救いようがあると評しているが、「深信因果」巻では「不落因果は、まさしくこれ撥無因果なり、これによりて悪趣に堕す」として、完全に批判している。道元禅師は『正法眼蔵随聞記』の段階で因果歴然の道理を示されるが、その展開として「大修行」巻では大修行底の人の因果に落ちざる様子を肯定しつつ、「深信因果」巻では改めて因果歴然として「不落因果」を批判し、「不昧因果」を肯定したと考えられる。