【定義】
江戸時代、推翁禅扣が記した禅戒論の著作。天保12年(1841)に刊行された、全1巻。
【内容】
著者である推翁については、生没年など何も分かっていないが、本書については、推翁が天保12年に、京都の行解庵で著述したものである。内容は、十六条の
仏戒について、
懺悔・
三帰戒・
三聚戒・
十重禁戒・
捨身・
血脈・
勧戒・
戒壇と八章に分けて、和文でもって一般に広く示そうとしたもの。
なお、同著の末尾の記述を見ると、
月舟や
面山に対する尊崇の念などが示され、思想的な問題は、そのような先駆者の著書を拝読すべきであるとしている。また、因縁話200余を交えて、善悪因果の道理を説明するなどしている。現在では、『
曹洞宗全書』「
禅戒」巻にて、そのテキストを見ることができる。