まことにそれ、袈裟は三世諸仏の仏衣なり。その功徳無量なりといへども、釈迦牟尼仏の法のなかにして袈裟をえたらんは、余仏の法のなかにして袈裟をえんにも、すぐれたるべし。ゆえいかんとなれば、釈迦牟尼仏、むかし因地のとき、大悲菩薩摩訶薩として、宝蔵仏のみまへにして、五百の大願をたてましますとき、ことさらこの袈裟の功徳におきて、かくのごとく誓願をおこしまします。その功徳、さらに無量不可思議なるべし。 『正法眼蔵』「袈裟功徳」巻