おほよそ山水をみること、種類にしたがひて不同あり。いはゆる水をみるに、瓔珞とみるものあり。しかあれども、瓔珞を水とみるにはあらず。われらがなにとみるかたちを、かれが水とすらん。かれが瓔珞は、われ水とみる。水を妙華とみるあり。しかあれど、華を水ともちいるにあらず。鬼は、水をもて猛火とみる、濃血とみる。龍魚は宮殿とみる、楼台とみる。あるひは七宝摩尼珠?とみる、あるひは樹林牆壁とみる、あるひは清浄解脱の法性とみる、あるひは真実人体?とみる、あるいは身相心性とみる。人間、これを水とみる、殺活の因縁なり。 『正法眼蔵』「山水経」巻、「一水四見」