つらつら日暮らしWiki〈曹洞禅・仏教関連用語集〉 - 髻中
【定義】

「髻中の宝珠」などとも呼称されるが、王者のもとどりの中に、宝珠が収められていること。ここから、仏陀の真の教えは隠されているものの、努力によって必ずそれが与えられることの喩えとして用いられる。出典は『妙法蓮華経』「安楽行品」。
如し勇健にして 能く難事を為すことあるには 王髻中の 明珠を解いて之を賜わんが如く 如来も亦爾なり 「安楽行品」

道元禅師はこの一節を用いて提唱されたことがある。
正当恁麼時、あるひは虚空にかかり、衣裏にかかる、あるひは頷下?におさめ、髻中におさむる、みな尽十方世界一顆明珠なり。ころものうらにかかるを様子とせり、おもてにかけんと道取することなかれ。髻中・頷下にかかるを様子とせり、髻表・頷表に弄せんと擬することなかれ。 『正法眼蔵』「一顆明珠」巻

意味としては、一顆明珠とは尽十方界そのものの普遍的事実であるが故に、「裏」「内」「中」にこそあるという提唱である。